宮城県石巻市に、自然の豊かさを満喫できる邸宅が誕生した。 “南北に抜けがある、明るい自然光が心地よい家”という作品名の通り、南北の空を遮るものはない。四季を感じられる桜や楓を、室内や広いデッキから楽しむことができる。敷地の特徴を活かし、パッシブデザインの導入で環境にも優しい作品をご紹介しよう。
この建築家に外観。南北の空を遮るものがない、抜けのすばらしさを最大限に活かしたプラン。外観はシンプルに。長年住む家なので、山本さんはあまり多くの色を使わないことが多いという。土地の向きは真南を向いていなかったが、建物を真南に向けてパッシブデザインを実現した
明るく開放的なリビング。ほとんど人通りはないが、目隠しを兼ねて適切な場所に植栽を配置した。長く住む家なので、内装は使う素材を極力減らしてシンプルに。間接照明を組み込んだ正面と左のウォールナットパネルがアクセント
リビングから見たキッチン方向。開放感を得るため、階段はオープンに。手すりは造作した。キッチン右側の奥様が希望したアーチ開口を通ると水回りエリアへ。すべての照明も同時に設計し、シンプルな空間を実現した
キッチンから見たリビング方向。南側に配置された多くの窓から、明るい光が降り注ぐ。キッチン奥に配置された家事カウンター前にも大きな窓があり、目隠しと日よけを兼ねて楓が植えられている。秋にはキッチンからも紅葉を楽しむことができるだろう
キッチンの床にはタイルを採用。フローリングと比較すると、汚れが染み込まず、すぐに拭き取ることができるのが利点だ。長い間使用しても劣化がなく、キッチンマットも不要。飾り棚には好きな観葉植物などが置かれ、毎日の生活にゆとりをもたらしている
広いテラスの前に配された植栽は、目隠しのためだけではない。桜などが植えられており、四季を感じることができる
テラス上部に張り出した2階は、奥行きがある庇の機能も持つ。隣家が平屋なので、大空の抜けを楽しむことができる。テラスと建物の間にグレーチングを設けることで、排水と換気をしながらリビングと同じ高さのテラスを実現した
畳スペースの柱は、お施主様が伐採式で切り出した南三陸杉。いつまでも貴重な経験を思い出すことができるだろう。大きな窓は、北側の山々を楽しめる高さに配置した
落ち着いた配色の書斎。窓の高さは、座った時に山と空だけが見える位置を計算して配置した。壁面には有孔ボードを採用し、好きな位置に好きなものを飾ることができる
お施主様が落ち着いた雰囲気を気に入っている寝室。間接照明を配し、壁にセメント板を採用した。デザイン性に優れるだけでなく、調湿機能があるため寝室に適した素材だ