
様々な高さと向きでつながる箱が生みだした
変化にあふれる快適な暮らし。その秘密とは
箱型の部屋を、高さと向きを変えて接続する
すべての要望と提案内容を実現できるプラン
2人はもともと、ゲンジアーキという設計事務所を運営していた。しかしその後、活動の幅が建築だけでなく空き家の活用などの社会問題解決にまで広がってきたため、社名をCircle designに変更した。
現在は青森事務所を古川さん、横浜事務所を源さんが担当し、2拠点で東北地方や首都圏を中心に幅広く活動している。男女の異なる視点が活かされることもあり、拠点は離れているが2人が協力して対応しているそうだ。
お施主様は、事務所のホームページを見て連絡をしてきた。
初期段階からこだわりたいポイントがある程度明確で、主な要望は
・掃除と管理がしやすいサイズの家にしたい
・広い収納スペースがほしい
・ビルトインガレージは必須
というものだった。
逆に、それ以外はある程度おまかせの部分も多く、“一般的な建売住宅のような家ではないものにしてほしい”という希望くらい。そこで古川さんと源さんは“日曜日の過ごし方”や“趣味や集めているもの”などのヒアリングを繰り返し、夫婦でファッションやアートに興味があり、たくさんの服を持っていることや、夫の趣味がDJであることなどを把握した。
その結果、この作品には
・音楽が楽しめるDJブース
・絵などが飾れる壁
・家族がそれぞれの時間を過ごせる場所
・大きな窓がある壁面
などを組み込むこととなった。
基本的な要件が固まった後、どのようにプランを作っていったのか。
2人は建設予定地を確認し、要望にはなかったが大切だと思われるものをお施主様に提案した。
1:近くにある都市公園の美しい緑を借景として活用すること
2:その景色を楽しむために、リビングを公園側に向け、大きな窓を設けること
3:前面道路の交通量が多いため、視線カットの対策をとること
4:冬期の除雪作業による騒音に配慮し、寝室を道路から離れた位置に配置すること
その後、基本要件と追加提案をすべて実現できるプランの検討を重ねた結果、誕生したのがこのプランだ。
各部屋を箱にわけ、それらを高さや向きを変えながらつなぎ合わせるという独創的なプランが、こうして誕生した。
次章で主なポイントをご紹介しよう。
コンパクトな空間をスキップフロアで接続
回遊動線で繋がる、高さや向きが異なる部屋
実は当初、古川さんと源さんは“一般的な建売住宅のような家ではないものにしてほしい”というお施主様の要望に戸惑っていたという。どの程度まで尖ったプランやデザインにしてよいのか、そのレベルがわからなかったからだ。そこで2人は、尖ったレベルが異なるいくつかの案を出し、お施主様がどのレベルまで許容できるのかを理解することにした。
そしてお施主様が選んだのは、もっとも尖った案。
“箱をつなげる”というプランは、この案に含まれていた。これであれば、外観のデザインも、室内のレイアウトも、一般的な家とは大きく異なるものになる。しかし単純に、特異なデザインを狙ったものではなかった。そこには緻密に計算された“必然”が内包されていたのだ。
たとえば、生活の中心となるリビングの床を1.5m高くすることで、交通量が多い前面道路の通行者の視線をカットできる。リビングの箱にある窓を都市公園に向けることで、公園の緑を借景として楽しむことができる。
各部屋の箱の大きさは、必要とする広さと容積を計算して設定した。それらがすべてリビングの箱に接するようにすることで、どの部屋からもアプローチしやすくなる。リビングを吹き抜けとすることで、各部屋にいる人の気配を感じることも可能になった。
公園の四季を家の中で感じ、家の中では各部屋にいる人の気配を感じる。外と中、そして中と中のつながりを適切な距離感で感じることができるのだ。
建物の中心には大量の服を収納できるWICを配置した。窓がなく、光が入らなくても問題がないからだ。その分、各部屋の箱は外側に配置され、明るい光を取り込めるようになっている。
プランの特徴は、近隣との関係性にも及ぶ。たとえばこの作品の屋根は、意図的に低く設計されている。お施主様が白い外壁を希望したので、建物は特徴ある外観と相まって、実際の大きさよりも存在感や圧迫感を感じることが予見された。また、隣家の日照を考えると、少しでも影響が少ない方が好ましい。これらを考え、屋根をできる限り低くしたのだ。このように配慮された家は、当然ながら住民が良好な近隣関係を築くために役立つ。
ここでご紹介した内容は、各所に散りばめられた工夫のごく一部だ。詳しい情報はぜひ、写真の説明文をご参照いただきたい。
高断熱・高気密のエコハウスで多い四角い家
性能は保ちつつ、意匠性が高い家を作りたい
青森市出身の古川さんは、幼少期にほぼ断熱がない家に住んでいた。その時の寒さを我慢しながらの生活体験から、エコハウスには強い思い入れとこだわりがあるという。
エコハウスの実現には、エネルギーロスを最小限にする設計や各種の計算だけでなく、施工の精度も重要な要素となる。サークルデザインでは工事中の段階でも気密部分の施工を特に厳しくチェックし、気密測定も行いながら現場を監理している。
現代では高断熱・高気密はあたり前。しかし効率を追求すると、どれも似たような四角い家になってしまう。そうではなく、意匠性でも特徴がある家を作りたいと考えているという。
まさに今回ご紹介した作品も、この考えを体現したものだと言えるだろう。
自分が出した要望をすべて実現するだけでなく、より快適な生活のために数多くの提案をしてくれる建築家を探している方。あるいは東北地方のような寒さが厳しいエリアで、省エネ性能の高いエコハウスを安心して任せられる建築家を探している方。そのような方は、一度コンタクトしてみることをお勧めしたい。
基本データ
| 作品名 | 連箱の家 |
|---|---|
| 所在地 | 青森県五所川原市 |
| 敷地面積 | 217.93㎡ |
| 延床面積 | 130.79㎡ |
設計者情報
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