
吹抜け空間に部屋が浮く?
家族がつながる、無柱の開放的なLDK
天井が高く、柱のない開放的なLDK。
好条件な土地探しのサポートも
正確には浮いているのではなく、2階の一部がせり出しているのだが、本来ならLDKにあるべき支えの柱がない。そのためLDKは吹抜け空間に部屋が浮いているように見え、不思議な浮遊感が店舗や美術館のような洗練された雰囲気を醸し出す。
そんなK邸の魅力をお伝えする前に、まずはKさまご一家の土地購入について紹介したい。設計を担当した建築家の大塚新也さんは、家づくりの際、要望があれば土地の相談にものっており、今回もKさまの依頼で土地探しからサポート。するとKさまは、とある駅近の畑に着目した。
「その畑は確かに場所がいいのですが、純粋な畑で売地ではありませんでした。そこで所有者を調べて直接交渉したところ、畑の中で一番気に入った一角を、欲しい広さだけ購入することができたのです」と大塚さん。
こうしてKさまは、仲介業者への手数料をかけることなく願い通りの土地を購入。その後すぐ、残った畑は売りに出されてハウスメーカーが分譲住宅を建築した。直前に直接交渉できたとは、なんというベストタイミング。大塚さんのスピーディな調査と行動力の賜物といえるだろう。
吹抜け×無柱が生む4つのメリット。
耐震性も最高ランクを獲得
大塚さんによれば、K邸の吹抜け×無柱空間には4つのメリットがあるという。1つ目は、「空間の落ち着き」だ。リビングを天井の高い吹抜けにする一方で、ダイニング上部には2階の一部を配置。浮いているように見える2階がほどよい高さのダイニング天井となり、家族が落ち着いて憩える空間に仕上がった。
2つ目は「日照コントロール」、3つ目は「風の流れ」である。1階~2階に配した東西南北の窓から入る光や風が、吹抜けと、吹抜けに面した2階通路などを介して至るところに行き渡る。
4つ目は「家族の交流」。K邸はLDKの脇に畳スペースがあるが、フルオープンにできて柱もないため、LDKと畳スペースは抜群の一体感。奥さまがいるキッチン、ご主人がくつろぐリビング、お子さまが遊ぶ畳スペースは障害物なくつながって見通しもよく、家族の交流が自然に生まれていく。
ところで、木造住宅で無柱空間をつくるのは困難を極めるのに、なぜ実現できたのだろうか?
「それは、許容応力度等計算という構造計算を行っているからです」と大塚さん。大塚さんは、一般的な住宅では行われないことが多いこの計算を、手がける全ての家で実施する。
そのおかげで開放的な無柱空間ができたのだが、さらに大塚さんは、施主が不要といわなければどの住宅でも耐震等級3を取る。つまり大塚さんに依頼すれば、自動的に最高ランクの耐震性がついてくるというわけだ。声高にリクエストしなくても、住まいの最もベーシックで重要な機能を担保してくれるとは、こんなにうれしいことはない。
子どもの成長・家族の歴史を
やさしく見守る家づくり
3本の付け柱はダイニングテーブルのすぐ近く。上にはスポットライト照明とピクチャーレールも付いている。「柱を付けた壁に写真やお子さまの描いた絵を飾り、それを見ながら食卓を囲んでいただくのもいいのではないかと思い、ご提案しました」と大塚さん。
ほかにも大塚さんは、玄関ポーチにお子さまにゆかりのある木を植え、根元に照明を仕込んで軒裏にシルエットを映すといった演出も提案。「住まいは、生活する方の人生や思い出が主役です。そうした暮らしの“うつわ”にふさわしい建物になるように、施主さまには家づくりを楽しんでいただきたい。そんな気持ちもあって、家族の思いを刻めるものをついつい考えてしまうんです」と、楽しそうに話す。
先述の3本の付け柱のうちの1本は希少な木材で、全国各地に問い合わせ、関西の製材所にあった最後の1本を見つけ出したのだという。このエピソードからもわかるように、大塚さんは施主の思いを込めた住まいのためなら、労力をいとわずとことん付き合ってくれる建築家だ。だからこそ大塚さんとの家づくりは、1つ1つのプロセスがかけがえのない思い出になる。竣工を迎えて入居する頃には、すでにその家を大好きになっているはずだ。
基本データ
| 所在地 | 栃木県宇都宮市 |
|---|---|
| 敷地面積 | 190㎡ |
| 延床面積 | 130㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども3人 |
| 予算 | 2000万円台 |
| 施主 | K邸 |
撮影:アラタケンジ
設計者情報
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