
憧れだったあのグレードが叶う
建築家と共につくる「ちょうどいい家」
多彩な経歴と経験から、設計だけでなく
標準仕様部材の選定までも任される
実は不動産会社にこのモデルハウスを含む、全ての区画の建物の設計とデザインを溝上さんは任されていた。そればかりか、外壁や屋根、断熱材の選定、壁紙やフローリングといった内装、照明、キッチン、お風呂はどのメーカーで、何シリーズを使うのかといった、部材の標準仕様の策定から施工業者の選定まで全て溝上さんに委ねられていたのだ。
標準仕様の策定や施工業者の選定はいわば費用との兼ね合い。収益にも直結する重要な部分だ。そのため、本来であれば、不動産会社が独自に決めることが多い中、溝上さんは全てを任された。最終的な判断は不動産会社が行うとはいえ、その実力がいかに信用されているかがわかるだろう。
溝上さんが信頼される要素の1つに、豊富な知識と経験がある。実は溝上さん、建築士としてのキャリアの大半を住宅の設計にのみ費やしてきたわけではないという。設計事務所で設計に携わることはもとより、ゼネコンでは現場監督を、工務店では木造の注文住宅の設計や管理、不動産会社ではマンションや戸建ての企画販売など、建築に関わる様々な業種の会社で、多岐にわたる業務に従事してきた経験をもつ。そのため、部材の仕入れや施工に関しても確かな知識と、人脈・コネクションをもっているのだ。
素敵な家を設計する建築家は数多くいる。建築工法や使用する部材の性能についての知識をもつ建築家もいることだろう。しかし、部材の仕入原価や作業工賃といったところまで知り尽くしている建築家は、ほんの一握りだ。
設計に関する腕と、価格を含めた部材への知識、大工や工務店といった人的コネクションをもつ溝上さんは、最強の建築家といっても過言ではない。だからこそ、上質でありながらもリーズナブルな価格で住宅の提供ができるのだ。
そんな溝上さんに家づくりをお願いすることになった、Tさん邸を見ていこう。
わずか4.5畳の中庭が叶えた
明るい室内とバーベキューができる暮らし
玄関を入ると、回り込むようにしてオープンタイプのシューズインクロークがある。
「扉はあえてつけませんでした。ベビーカーなどを置くのであれば、扉がないほうが便利ですし、部材の費用も抑えられます。回り込む配置としているので玄関を開けたときに丸見えということもありません」と溝上さん。
使い勝手とコスト面への配慮を両立させてしまうのが、溝上さんのすごいところだ。
反対側に目をやると、高級感あるスケルトン階段。踏板を大きな鉄骨で支えているかのように見えるが、実はこれは木製。「このような階段にすることで、部屋の設計の自由度があがりますし、デザイン性も高まるので、不動産会社に提案をして採用していただきました」と溝上さん。
鉄骨階段であれば、原価で100万円を超えるといわれるが、溝上さんは木製の既製品をみつけ、数分の1の価格で、同様のクオリティーを実現してみせた。
中へと進むと目に入るのが、4.5畳の中庭だ。この中庭は、もともとのプランには無かった提案。「庭で、友人を招いてBBQをしたい」というTさんの要望に対し溝上さんが導いた答えだった。
「外には車2台分のスペースが必要で、周りの家も迫っています。そのため、庭は広くは取れず、BBQをするにも人目が気になるでしょう。であるならば、家をギリギリまで広げ、中庭を設けることで解決できるのではと考えたのです」と溝上さん。
中庭は、BBQのためだけではない。家族でランチをしたり、小さな子供が安心して遊ぶためのスペースにもなる。何より、空から降り注ぐ陽光を導き、室内を明るく照らしてくれるという効果ももたらす。
ときには、コスト増となる標準外の仕様を提案してでも、施主の要望を叶える。もちろん、施主の予算を確認した上で。そしてそれ以上の結果をもたらすのが、溝上流なのだ。
この中庭を取り囲むように、水回り、LDK、和室を配置し、回遊できる間取りとした。キッチンからは、中庭の様子、そしてその先の玄関の様子が見て取れる。炊事をしながら、家族の帰宅が感じ取れるという配慮も忘れない。
またキッチンには、コンセントを標準装備。調理家電の使用にも便利だ。さらには、キッチン前方と横にカウンターを設けた。このカウンターはテーブル代わりにもなり、バーカウンターや作業台のほか、テレワークスペースや子供が大きくなったときのスタディーコーナーとしても利用可能だ。
Tさん邸をひとことで表すならば、「ちょうどいい家」。使われている部材や仕様は、建売のような安っぽさはなく、高級感が漂う。それでありながら、おしゃれすぎず使い勝手がよい工夫が散りばめられている。
この出来栄えにTさんも「私達に寄り添って、予算内で理想の家を実現してくれた」「プライバシーを守りながら開放感ある家に仕上がった」「ゲストからも『いいお家だね』と言われた」とのコメントを寄せてくれた。
「建売よりも自分たちの思いを反映させたい。とはいえ、何もかもオリジナルでなくても良いから、費用を抑えたい」と、建売住宅と注文住宅で悩む人は多い。そんな人々にとって「ちょうどいい家」を溝上さんはつくってくれる。
基本データ
| 作品名 | 中庭をロの字に囲む家 |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県福岡市 |
| 敷地面積 | 132.31㎡ |
| 延床面積 | 110.96㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども1人 |
| 予算 | 2000万円台 |
| 施主 | T邸 |
撮影:OKBee Factory/岡部 将人
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設計者情報
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