
中古物件リノベの新手法!?
惚れ込んだ空間をさらに自分仕様に!
ここしかない空間をさらに変えるなら、新築時の建築家という解!
そのデッキからは美しい緑と街並みを一望。素晴らしいロケーション、ひとつひとつの空間、ディテールがほかにはないものであり、Tさんはひと目で「絶対に手に入れたい」と思ったという。
その後、この家を作った人は誰? という素朴な興味から、新築時の情報を集め出した。調べてみると、いくつもの建築雑誌に紹介された建物であることがわかり、それらのバックナンバーを取り寄せて熟読。建築家の建物への思いを知ったTさんは、「リノベーションをするならばぜひこの方に」と、購入を決める前に建築家の河辺近さんを訪ねた。河辺さんは当初、新しいオーナーから相談を受けたことに驚いたという。
「築年数が浅かったということもありますが、自分がつくった家をリノベーションするのは初めてのことですから。そもそもリノベーションが目的ならば、普通は建てた建築家のところに頼むというのはあまりないと思います。新たなオーナーさんはこの家のことをいろいろ調べてくださったようで、声をかけてくださったことはとてもうれしかったですし、奇跡のような話だと思いました」と河辺さん。
元の家そのものを気に入っていたTさんは、大きく変えることが目的ではなく、自分たちの家族の暮らしに合わせて細部をブラッシュアップさせていきたいという意向があった。
「自分としては新築時にベストを尽くしていますが、予算の関係で諦めたところもありましたので、今回はTさんのご希望に沿って当初のイメージに近づける、グレードアップさせるというリノベーションになりました。たとえば、アジアンテイストの家具をお持ちだったTさんの好みを考えて、リビングの梁にダークブラウンの突板を貼ったり、小さなお子さんの安全を考えて手摺りの格子の間隔を狭めたり、トイレを増設したり、カーポートを作ったり。
新築のときは夢が盛りだくさんですから削る作業がたくさんあるんですが、リノベーションの場合はプラスアルファ、新しいものを盛り込むという作業が主になってくる。
今回、自分の手がけた家を初めてリノベーションするという機会をいただいて、住まいづくりの新たな可能性も感じました」と河辺さん。
よりベストに近づいた住まいに、「引っ越し前日は気持ちが高ぶって眠れなかった」というTさん。価値ある住まいをよりグレードアップさせ、次の住まい手にバトンタッチした好例だろう。
建てた人:河辺近さんコメント
「設計するうえでいつも大切にしていることは、生活の動線と、動線の先に見える風景です。階段を見上げたその先に何が見えるかとか、視界が止まらないように窓を開けたり。逆に、見せたくないものは意図的に隠すこともある。窓の開け方、光の取り入れかたで、家の中にいろいろな表情をつけることができるのです。そうすることで、家の中に心理的な距離がうまれて、面積以上に広い家に住んでいるかのような感覚になる。そういう効果を考えながらこの土地の特性を考え、今回のようなスキップフロアの設計がうまれました」
基本データ
| 家族構成 | 夫婦 |
|---|---|
| 施主 | T邸 |
設計者情報
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