
日本海を一望する、高台のモダン邸宅。
天空のリビングで楽しむ「絶景との暮らし」
閉じた外観から一転。
海と空のスケール感に感動するLDK
「計画地を初めて訪れたとき、海と空の壮大な景色に圧倒されました」と話すのは、I邸を設計した『山上聖司建築設計室』の山上聖司さん。Iさまの要望に応え、この魅力的なロケーションを活かすことが設計テーマの1つとなった。
RC造2階建てのI邸が立つ敷地は、南に道路、北には海と市街地の270度パノラマビュー。南の外観はプライバシーへの配慮からほとんど窓がないが、木、石、コンクリートがバランスよく配され豊かな表情を感じられる。
箱を重ねたような立体感も美しく、中でも印象に残るのが、水平ラインを強調する大きな庇。「外観をデザインするとき、日本海の水平線のイメージが私の頭の中にありました」と山上さん。日本海を望む敷地のメリットとリンクする秀逸なデザインだ。
訪れる人を迎える玄関へのアプローチは、壁で囲われ少し閉塞感がある。それだけに、邸内に足を踏み入れると誰もが歓声を上げることになる。玄関ホールでいきなりパッと視界が広がり、真っ青な海と空が目に飛び込んでくるのだ。
感動もののプロローグを経てLDKに入ると、おそらく2度目の歓声を上げることになるだろう。高台から絶景を望む北側は一面がガラス張りで、その先には広々したウッドデッキテラス。テラス側のサッシは隠し框で仕上げてあり、壁がすっぽり抜けた天空のリビングから海を眺めているかのよう。横長の敷地を活かしているため窓幅が非常に広く、見える景色のスケール感がとにかくすごい。
無垢のホワイトオークの床材をはじめとする、上質な自然素材の内装も眺望と見事に調和。夜はあえてランダムに埋め込んだ天井のダウンライトが満天の星を思わせ、夢見心地の空間に一変する。
一角にはIさまの希望で入れた薪ストーブもあり、冬は揺らめく炎が温かな憩いのひとときを演出。空間そのものの魅力も枚挙にいとまがなく、春夏秋冬、朝昼晩それぞれに、贅沢な眺望とともに至福の時間を過ごせる住宅に仕上がった。
ホテルライクな居心地だけじゃない。
徹底的にカスタマイズした間取り
ご主人は会社経営、奥さまはスポーツインストラクター、お子さまは大学生。それぞれに多忙な日々を送り、来客をもてなす機会も多いというIさまご一家。LDKは大勢の来客に対応できる贅沢な広さで、それ以外に客間としての和室も設けている。
ダイニングテーブルは、奥さまが希望していた大サイズが規格品になく、山上さんが知人の作家にオーダー。ホワイトオークの立派なテーブルをしつらえた。奥さまはここで気持ちのよい景色を見ながら仕事の事務作業などができるが、その傍らには奥さま専用のワークスペースも。いずれもキッチンやパントリーに近く、仕事と家事を並行して進めやすい。
家事でいうと、洗濯動線もいい。山上さんは奥さまが就寝前に入浴・洗濯をする習慣だと聞き、水まわりは2階の寝室の近くに配置。1階の薪ストーブの配管が水まわりのドライルームを通り、ストーブの熱の再利用で洗濯物が乾きやすいようにもしている。
使い勝手のよい間取りだが、肩の力を抜いてリフレッシュできるスペースも豊富だ。LDKはご主人の趣味であるバイクのインナーガレージに面し、ガラス越しの愛車を眺めながらくつろげる。また、LDKにはゴロンと寝転がれる家族用の畳の間も。広いテラスも、日差しに包まれ海を眺めるティータイム、星空の下でグラスを傾けるリラックスタイムまで、心身ともに癒やされるセカンドリビング的な空間だ。
Iさまご一家のために徹底的にカスタマイズされたI邸は、ホテルライクなグレード感も、ライフスタイルに合う快適性も、気持ちをオフにできる包容力もパーフェクト。住まいに欲しい全てが備わっているといえるだろう。
高級邸宅から狭小住宅まで
住み心地抜群の家に
そこでI邸は強風・塩害対策として、1階LDKのテラスに面した大開口に厚い窓ガラスと錆びにくいアルミサッシを採用。大手ゼネコンなどでさまざまな建築に携わってきた山上さんは、こうした住まいの機能面の対策も抜かりない。空調も、ビルトインの冷暖房システム、室温を一定に保ちながら換気する全熱交換型の換気システムを導入。健やかに暮らせる環境を整えている。
取材中、「ここでこんな風に過ごしたら楽しいでしょうね」という台詞がしばしば登場した山上さん。ニコニコしながら話す姿からは、住まい手の暮らしに愛情をもって設計する温かな姿勢が伝わってきた。けれど、山上さんは豊富な実績をもつ大ベテラン。もはやI邸のような高級住宅しか手がけないのだろうか……?
すると、「決して、そんなことはないですよ」と山上さん。
「私は施主さまと二人三脚で施主さまの思いを形にし、オンリーワンの住まいをつくることが好きなんです。だから、こんな家が欲しいというイメージがある方は、気兼ねなくご相談いただけたらと思います」
もし、山上さんがコンパクトな敷地に家を建てたい若いファミリーの住宅を設計したら、どんな住まいになるのだろう。きっと、「おうちがいちばん」と毎日うれしくなるような、住まう人と設計者の思いが1つになった懐の深い家ができるに違いない。
間取り図
基本データ
| 作品名 | 浜田の家 |
|---|---|
| 所在地 | 島根県浜田市 |
| 敷地面積 | 675.04㎡ |
| 延床面積 | 442.16㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども1人 |
| 予算 | 1億円台 |
| 施主 | I邸 |
設計者情報
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