
アメリカンスタイルからイメージを広げた
インダストリアルな素材感を楽しむ家
お施主様が言語化できないイメージを
丁寧にヒアリングしてアウトプット
今回ご紹介する4人暮らしのご家族のためのお住まいも、「こだわりはあるけれど、具体化まではできていないお客様。時間をかけてコミュニケーションを取りながら、要望を引き出してほしい」という馴染みの工務店からの依頼だった。
「建築の仕事をしていない一般の方がデザインを言語化するのって、実はとても難しいことなんです。だからこそお施主様と施工会社の間に立って、お施主様が考えていることを翻訳して伝えるのが私の役割」と、建築家としてのスタンスを語る山口さん。
「リストに羅列してある箇条書きの要望について『どうしてそれがほしいの?』『これのどういう雰囲気が好きなの?』と一つひとつ深掘りするところから会話をスタートするんです。ただ希望を聞くだけじゃなく普段の生活や子育ての愚痴なんかも楽しくおしゃべりしながら、お施主様が何を大切にされている方なのかを知り、心の奥にある理想の暮らしやデザインを少しずつ引っ張り出す。とにかく沢山お話をする中で、最初は表に出ていなかった情報がどんどん出てくる。この瞬間が私は好きですし、一番大切にしている時間ですね」。
「アメリカンスタイル」という共通言語の発見が
具体的な提案&アイデアを生むカギに
さらにイメージフォトを共有してもらいながらたどり着いたのが、お施主様の好みのスタイルを言語化した「アメリカンスタイル」というキーワードだった。
「バラバラ&もやもやしていたイメージが『アメリカン』という共通言語が出てきたことでひとつにまとまり、その瞬間にその場にいた全員から『あ~!』という声が出て。めざすべきゴールが見えたことで、家づくりが一気に前進しました」。
お施主様にとっての「アメリカンスタイル」とは、木の温かさと金物の無骨さがMIXされたようなデザインを指すもの。
さらに話をする中で山口さんが気づいたのが、「ただアメリカンスタイルに見えるものを羅列するような空間を求めてられているのではなく、ポイントで好みのスタイルを落とし込んでいくようなイメージ。さらにきちんと機能的であることを重視されるお施主様」ということだった。
そうした理解のもとで提案したのが、デザインに思い入れがあるご主人様と使い勝手も意識されている奥様がやりたいことのバランスを取りながら、暮らしやすさの中に遊び心を散りばめた空間。
照明やスイッチがくっついているリビングの現しの柱や梁が緩やかに空間をつなぎ、間口の広い土間をつくることでリビングから空間が伸びてきているような玄関にしたり、ご主人様の趣味であるサーフィンボードのコレクションを各所に飾ることができるようにしたり、書斎は2階ホールとひと続きのフリースペースとしても使えるようにしたり。
デザインに意味を持たせることによって、空間はもっと面白くなる。そうした設計思想から生まれた、どんな風に使おうかと暮らしながら考えていける「余白」のある住まい。
用途が決まっていると想定以上の生活はできないけれど、自由にできる余白があれば、暮らしに合わせて使い方を変化させながらずっと楽しく生活ができる。そんな家に暮らし始めて、奥様はどんなインテリアが似合うかと日々考えるのが趣味になったそうだ。
ガス管を手すりにしたスケルトン階段など
金物の素材感を楽しむ遊び心あふれる空間
金物の素材感をアクセントにした家のシンボルと言えるのが、玄関に入ってまず目を惹く、ガス管を手すりにアレンジしたスケルトン階段。
当初はスチール製の手すりを予定していたところ、ふとガス管が目に入った際に「これを使ったら面白くない?」と話が盛り上がり、差額もほぼなかったことからプランを変更。
「ガス管を曲げてつくってみようか」「手すりに合わせて配線・配管も露出させてみよう」とアイデアがどんどんふくらみ、どこにいてもガス管、鉄管が見えるようになる配置デザインを提案。お施主様、山口さん、工務店の三者で話をしながら、クリエイティブな時間を共有して楽しんだという。
「施工会社も巻き込み、現場でもあれこれ意見を交わしながらつくり上げていくのが私のスタイル。わかりやすくなったものをデザインするだけなら誰でもできるからこそ、お客様がやりたいのはどういうことなのか、言葉にすると何なのかをかみ砕いてディレクションしていくのが、設計として介在する意味だと思っています。その作業にしっかり時間をかけるからこそ、住まう方と空間がマッチした家になり、お施主様の満足度も上がるのではないでしょうか」と山口さんは話す。
建築家と施主の立場を超え、友人のように
親密な空気の中で楽しんだ「共同作業」
そんな山口さんとお施主様との打合せは、友人同士のおしゃべりのように和気藹々。たとえば造作洗面の仕様について話す際にはその場でスケッチをしながらデザインを一緒に考えるなど、すべてが一方的な提案ではなくチームでの共同作業。
「工事が進み内装が出来上がっていく現場でいつも嬉しそうに進行状況を報告してくださり、完成へのワクワク感がより増したことを覚えています」というお施主様の言葉からも、建築家と施主という立場を超え、同じ目線・熱量で家づくりを楽しんだ様子が目に浮かぶ。
「土地の広さや予算もあり、構造やデザインで諦めたこともゼロではありませんが、現実的な話も最初の段階からしっかりすることで、納得した状態でお施主様自身に取捨選択していただけました。『できますよ、やりましょう』と期待させておいて、後出しで『これだけの金額がかかりますがいいですか?』では信頼を失ってしまいます。必要な説明をしっかり事前に行いながらお金の面まで丁寧にケアしていく。それによってお客様が納得できるベストな家づくりをお手伝いする。建築家としてそこまでやりきる姿勢をこれからも続けていきます」。
名古屋と東京にオフィスを構える山口さんだが、フットワーク軽く全国エリアに対応。現在は関東、東海、関西でプロジェクトがあるという。
施工会社を自分で決めてからの依頼でも、山口さんに紹介をお願いするのもいずれもOK。どんな想いも大らかに受け止めてもらい、心と心が通う人間味あふれる家づくりがしたいと考えている方は、ぜひ気軽にお問合せを。
撮影:小松正樹
間取り図
基本データ
| 作品名 | HON |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府 |
| 延床面積 | 92.70㎡㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子供2人 |
施主コメント
工務店からご紹介いただいた山口さん。お会いしてみて笑顔がとても素敵で話しやすい雰囲気をお持ちの方だったので、緊張や不安もすぐに軽くなりました。
イメージ通りにつくっていただいた外観はもちろん、室内も想像以上におしゃれ。山口さんが提案してくださった窓の配置やデザインのおかげで、光の入り方や空間を広く見せる抜け感が素晴らしいんです。
予算に合わせたコンパクトな注文住宅ですが、4人家族にちょうどいいサイズ感で、その分、お庭をつくることもでき、BBQやプールも楽しめる大満足の家になりました!
設計者情報
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