
上質なモダン建築がもたらす極上の時間。
都心に佇む羨望の高級邸宅
屋外のようなスケール感に感動。
ゲストに至福の時間を贈るおもてなし空間
「このお宅は地下1階、地上3階建て。リビングは1階のほか、2階にお子さまたちのラウンジ、3階にご夫妻専用のラウンジ、地下にファミリーラウンジがあります」と教えてくれたのは、設計を担当したJWA建築・都市設計一級建築士事務所の渡辺純さん。1階リビング以外に家族用のラウンジが3つもあるとは驚いてしまうが、外国人の施主さまはホームパーティーをよく楽しまれるため、1階は来客を意識してつくられたのだという。
その1階リビング・ダイニングは、広いテラスを囲むL字型。どちらにいても屋外のような開放感を得られる気持ちのよい空間だ。間接照明がホテルライクな雰囲気を醸すダイニングにはガス暖炉があり、炎を眺めながら歓談する穏やかな時間を演出。ウォークインのワインセラーを備えたバーカウンターやキッチンは、リビング・ダイニングと行き来しやすく、ゲストが自分でドリンクを取りに行く欧米のパーティースタイルにぴったりのレイアウトとなっている。
何より心を豊かにしてくれるのが、ガラスや白大理石を効果的に使った上品な透明感、すっきりと無駄のないラインで屋外の爽快感をダイレクトに感じる建築の美しさ。ここで過ごす時間そのものが、ゲストへの最高のおもてなしになる空間だ。
心を満たす建築の力で、
日々の暮らしを「特別な時間」に
子ども室のある2階、ご夫妻の寝室がある3階は、それぞれに専用のラウンジやバスルームも完備。3階ラウンジは大開口で広いルーフテラスに面しており、邸内にいながら爽やかな光や風を感じるリゾートホテルのよう。その傍らにある3階専用バスルームも、テラスに面した開放空間。ガラス越しの緑と外光に包まれた円形ジェットバスでのリラックスタイムは、まさに至福だろう。
「欧米の一軒家のような広い庭を取れない分、地下を活用したい」とのリクエストに応え、約100坪の敷地いっぱいにつくられた地下フロアも圧巻だ。大画面スクリーンで映画などを楽しめるファミリーラウンジのほか、施主さまのトレーニングジム、書斎、ゲストルームなど、プライベートを充実させる空間がそろう。いずれもゆったりとした造りで内装や造作家具には高級感あふれる天然木が用いられ、上質なくつろぎを誘うヨーロッパのクラシックホテルを思わせる。
つい、1階のゴージャス感に目が行くが、どのフロアも負けず劣らずのエレガントな空間ばかり。この邸宅は日常の生活シーンでさえも、建築の力で「特別な時間」に昇華してしまうのだ。
卓越したセンスと高度な設計力で、
極上のシンプルを生み出す建築家
この邸宅のような大型住宅は法規制の関係で、階段を壁で囲って独立させることが多い。しかし渡辺さんはルーヴル美術館のガラスピラミッドの設計者であるI.M.ペイ氏に師事した経験をもち、幕張メッセの設計にも携わった人物。豊富な経験で得た知見を活かし、規制をクリアしてオープンな階段を実現。上階まで空間が途切れることなくつながり、邸内を散策するような楽しみがあるミース・ファン・デル・ローエ風の住まいをつくり上げた。
細部の丁寧なデザインで、シンプルながら真に洗練された空間に仕上げている点も然り。階段の手すり壁は強化ガラスだが支えの部材が表に出ておらず、ぱっと見るとガラス~すなわち手すり壁の存在を感じない。おかげで階段や床の造形美や浮遊感が引き立ち、ブラックチェリーでつくられた2階から3階への階段などは、フロアに置かれた美しい家具のよう。こうした高度な建築美は、ミース・ファン・デル・ローエの言葉である「Less is more(より少ないことは、より豊かなこと)」を彷彿とさせる。
渡辺さんは、余計なものをそぎ落とすことで美しさを際立たせ、人の心に残る「極上のシンプル」を表現できる数少ない建築家の1人だ。住宅設計においても施主の暮らしを豊かにするのはもちろんのこと、街にとって価値あるモダン建築の提供に尽力する。
竣工時、施主さまは長年の夢がかなったと喜び、こうおっしゃったという。「私は、この家を東京で一番の住宅だと思っています」。ここは単に贅を尽くしただけの高級邸宅ではない。施主の思いに応える渡辺さんの真摯な姿勢と、高度な設計力の結晶といえるだろう。
基本データ
| 所在地 | 東京都品川区 |
|---|---|
| 敷地面積 | 320.62㎡ |
| 延床面積 | 726.57㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども4人 |
| 予算 | 1億円台 |
| 施主 | F.R.邸 |
撮影:Junji Kojima
設計者情報
この建築家が建てた家
この実例を見た人はこちらも読んでいます

可動の家具で緩く仕切ったモダンなワンルーム空間
1977年築、2LDKのマンションをリノベーションして出来上がったのは、広いワンルームに、そっと生活の補助線を引くように家具を配置した開放的な空間。リフォームに向く物件探しから家具探しまで全面的に協力したという、建築家こだわりの家づくりを覗いてみよう。

開放感抜群の、壁が少ない木造住宅。 SE構法が実現した、内部と外部が繋がる家
建築家の井水通明さんが自邸を建てるにあたり購入したのは、住宅街の高台にある土地。なにより眺望が魅力的なこの土地の特性を生かすため、SE構法を用いての家づくりを選択したという。その選択は大正解。家の中にいながら外の空気や自然の息遣いまで感じられる、毎日を楽しみながら心地よく暮らせる家ができた。

日常の光や緑を楽しむ豊かさ 最後まで自分たちらしく暮らす家
「夫婦の終の住処をつくってほしい」との依頼があったのは、交通量の多い道路に面した三角形の土地。プライバシーを守りながら、どう光を採り込むのかといった課題を解決し、「自分たちらしい暮らし」を実現したのは、Sデザインファームの鹿内さんでした。

趣味を超えた工房と理想の間取り!4年の設計期間を経た納得の家
家で仕事をしていて家事もこなすTさん。これからずっと過ごす家をつくるなら、納得のいくものにしたいと細部までこだわり抜きました。その甲斐あって、趣味のものづくりに没頭できる工房、お気に入りの椅子が映えるリビングと、どこをとっても申し分のない理想の家になりました。

《ビルの事例》光るらせん!吉祥寺のランドマークはどう出来た?
東京・吉祥寺に住むNさんは、地域活性化に向けた一つのミッションとして、テナントビル経営に着手。駅前の一等地に土地を購入し、3階建て鉄骨造ビルの建設を企画。建築家の金田崇さんに設計を依頼したことで、期待以上のビルが完成しました。

住宅密集エリアでも開放的に暮らす。 快適さ、自由さを同時に叶えた半内テラス
住宅がひしめく土地で、明るくオープンな暮らしがしたいと望まれていたお施主さま。建築家の久志さんと國定さんは、生活の中心を2階に上げ、さらにバルコニーを壁や天井で覆った「半内テラス」でそれを叶えた。快適さを追求しながら、将来を見据えた家づくりにより実現したのは、日々が愛おしくなる暮らしやすさだ。

娘が望んだ南欧風に、父が望む和の空間はどう収まったのか!?
古くなった家を建て直すことにしたHさんご一家。仲の良い家族ですが、生活スタイルや好みは親世帯と子世帯では異なります。大半は共有するけれど、それぞれがこだわるプライベート空間は残す、それがHさんご一家にとってのベストバランスでした。

広さ、使いやすさ、快適性 リフォームで手に入れた理想の住み心地
幼い頃を過ごし、一時期は賃貸活用していたというマンションに戻り家族と暮らすことに決めたnote architectsの鎌松亮さん。自分たち家族の生活スタイルに合った空間にすべく、リフォームを実施。ただ間取りを変えたのだけではなく、家族誰もが暮らしやすい空間が生まれた秘密は3つのテーマにあった。

10年ぶり二度目の家づくりは予算大幅減額 困難を克服し叶えた明るく開放的な住まい
「家は一生に一度の買い物」といわれるなか、同じ建築家に再び依頼をする施主は極めて稀だろう。思いがけない展開で二軒目の家づくりに踏み切ったMさんが選んだのは、10年前に一軒目を手がけたhaの保坂裕信さんだった。しかし順調に進むかと思われたプロジェクトに突如降りかかった予算の大幅削減。一時は実現が危ぶまれながらも、明るく開放的な理想の住まいへと昇華させた保坂さんの真価に迫る。


