
たっぷりの採光と経年を楽しむ
二世帯の秘策は外観で一目瞭然!?
中庭を作って隣地と建物の距離を確保し、南向きの大開口
Sさん家族の要望は、両世帯共通して「明るい空間づくり」。特に、日中家にいることが多い親世帯の日当たりをどのように確保するかが大きな課題だった。「2世帯4世代という大家族は今まで手掛けたことがなかったので、まずはそれぞれの生活スタイルから健康状態まで、詳しく伺いました。誰かが空間的な犠牲になることなく、全員が快適に過ごせる空間を作るためには、綿密なヒアリングが必要でした」。
その甲斐あって、出来上がってきた提案は、両世帯が明るいリビングで過ごせる2世帯3階建ての住宅。子世帯のある2・3階には、南に面した弧を描く大きな開口と吹抜けが設けられ、大きなデッキは家族の洗濯物を干すのにも十分すぎるスペース。天井までに窓の外は遮るものがなく、空が見渡せる開放感いっぱいの明るい空間。窓を支えるバックマリオンが伸びやかさをさらに演出している。
アイランドキッチンはご夫婦こだわりのオーダーキッチンを採用。「大手メーカーキッチン含め気づけば計7社も検討して、細部を詰めました。何度も一緒に足を運び、最終的には満足度の高いものを設置することができました。
LDKの一角には和室コーナーを作り季節ものを飾ったり、ゲストルームにしたり、洗濯物を畳んだりとそのライフスタイルにあった空間作りが可能。「部屋のどこかに極力畳を入れるようにしています。日本の子どもたちに畳の手触りを知ってもらいたいですからね」。
3階の個室については最初から区切るのではなく、家族構成と共に変化する間取りを意識し、将来間仕切りが付けられるよう準備。個室が必要になるまでは広々した居室として使用したり、ウォークインクローゼットとして活用したり、子供の遊び場としてなど、フレキシブルに対応できる。家の中でも無機質になりがちな廊下も、S様邸ではタモ集成材を使った温かみある本棚を製作し、「本の道」として活用。廊下の一角にギャラリースペースを作るなど、遊び心もいっぱいだ。
親世帯の住む1階は、将来的なバリアフリーのため、「リビングを通らず玄関から祖母の寝室へ直接いけること」「寝ながら中庭を眺められること」「水回りに行きやすい導線確保」「トイレと洗面脱衣室の間仕切りが撤去可能なこと」など、細かな所まで配慮されている。今は孫と一緒に遊ぶ芝張りの中庭は、将来デッキを張って居室と床レベルを合わせれば、車いすでの移動も楽々だ。
外観はいくつもの素材案の中からファサードは銅板菱葺きを採用。道路面にはあえて窓を設けず、銅板の存在感と連続性の美しさが際立っている。「施工直後は、ピカピカでしたが、現在は茶褐色に落ち着いた色に変化しました。今後も変化し続け、いつかは緑青になればと考えています。家も家族の皆さんと共に育ってほしい、素敵になっていってほしい”。そんな願いを込めています」。
近くに行く時は、必ずSさん邸を見に行ってしまうという清水さん。「どんな色に変化したのか楽しみで(笑)。だんだん汚れるのではなく、だんだん良くなる家なんです」。
【清水 義文さん コメント】
「こだわりとバランス」の両立をテーマに、住まい手が心から満足する安心快適な住宅を目指す。じっくりと話を聞きながら、その人ならではのコンセプトハウスを提案するので、一軒として同じ家はない。「住まう人、使う人の可能性が広がるような建築を通じて、人々の暮らしを豊かにしていきたい」がモットー。
【親夫婦+子世帯】
私たちの実現したいことを一つ一つ丁寧に聞いてもらいつつ、取捨選択を含め相談に乗ってもらい、上手く一つの形にまとめていただきました。私たちが考えに至っていない将来に対する備えまで、細部に渡り考えを巡らせてくださりました。住み始めてから約半年、自然と生活になじみ、住み心地の良い家ができたと感じています。今後も末永くお付き合いしたいと思っています。
基本データ
| 家族構成 | 夫婦 |
|---|---|
| 施主 | S邸 |
設計者情報
この建築家が建てた家
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