
全室海見え、サウナも薪ストーブも完備
要望をすべて叶え、趣味を楽しめる邸宅
薪ストーブもサウナも趣味の部屋も欲しい
立地を活かし、要望を実現するプランとは
堀江湾沿いにあり、眼前に海が広がる敷地。このすばらしい立地を活かさない手はない。
お施主様からの主な要望は、以下の3点だった。
1:海がどの部屋からも見えるようにしてほしい
2:夫婦がそれぞれの趣味を楽しめる場所がほしい
3:薪ストーブとサウナを入れたい
つまり、“海を見ながら、趣味や暮らしを楽むことができる家” がテーマとなる。
この作品を設計したのは株式会社 上田英和建築設計事務所の建築家、上田英和さん。上田さんは、プラン作成の際に重視した点を次のように語ってくれた。
「抜群の立地を活かすことはもちろんですが、多くの要望をどれだけシンプルに実現できるかを突き詰めて考えました」。
そのプラン概要をご紹介しよう。
1階は主に趣味を楽しむスペースとした。メインとなるのは、海側の庭とつながる通り土間。そこに薪ストーブを設置し、暖房効率を考えて上部が吹き抜けとなる空間に。さらに夫妻それぞれの趣味を楽しむ部屋のほか、来客が宿泊できる和室や屋内ガレージが配置されている。
和室は2方向の引き込み戸で、フレキシブルな使い方が可能になっている。通常は引き込み戸を全開放し、宿泊時に閉じると落ち着いた空間へと変化する。吹き抜けに設けられたストリップ階段を登っていくと、徐々に海が見えてくる。眺望への期待感を演出するプランだ。
2階は海に向かってひらけた空間になっており、浴室、サウナゾーン、LDK、吹き抜け、ワークスペースゾーン、寝室ゾーンが配されている。すべてのゾーンが海に面し、それぞれのプライバシーレベルも考慮されている。
さらに魅力的なのが、ウッドバルコニーだ。LDKに面したウッドバルコニーは、奥行き2.7m。雨の日でも外に出ることができ、瀬戸内の絶景を楽しむ最高の環境となっている。
ほぼ最初のプランのままで完成した作品
期待を上回る提案力が生みだす、高い満足
前章でご紹介した基本プランは、ほぼすべて“お任せ”だった。つまり、3点の要望以外は、間取りも含めて上田さんが提案したものだ。そして完成した作品は、最初に提示したプランとほぼ同じだそうだ。
もちろん、お施主様が細かな事を気にせずに、すべて任せたということではない。薪ストーブやサウナがほしいなど、むしろ非常に強いこだわりがあることがわかる。
そのお施主様が一回で納得するということは、最初に提示したプランの提案内容が的を得たものであり、その完成度がとても高かったことを意味するのだ。
なぜ、そのような完成度が高いプランを提示することができたのか。上田さんはその理由をこう答えてくれた。
「私がお施主様を深く理解することと、お施主様から私を信頼していただく。その両方を実現できると、今回のように1回で了承いただくケースもあります。すべてではありませんが、このような気持ちで常に向き合っています」。
お施主様を理解するためには、表面的ではない本質的なライフスタイルの把握に注力するそうだ。そのために、とにかくコミュニケーションの量と質を高めるという。
たとえば、「和室が欲しい」という要望があった場合、目的は何で、誰がどのように使うことを想定しているのかを理解する。そうすると、落ち着いた空間が良いのか、明るい空間が良いのか、あるいは和室ではないほうが良いのかを考えられる。
一方で、お施主様に信頼されるために意識している点は少し独特だといえる。
上田さんは、とても多趣味だ。実は今回の要望にあった薪ストーブやサウナは、上田さんの自宅にも設置されている。上田さんも同じ趣味だったのだ。だから、実際に自宅へ設置している先輩として、より具体的なアドバイスができる。
薪ストーブの薪を保管する場所への動線や、サウナから水風呂、外気浴をする場所への動線などは、自宅で同じ経験をしているからこそ提案できる内容だ。
上田さんは、「たとえば自分で料理をしなければ、高いレベルでキッチンの話ができません。アウトドアが趣味だと、家の外の過ごし方を提案できます」。
「このように、私が多趣味なので、お施主様と共通の話題で信頼関係を築けることが多いですね。ご紹介頂く場合も、お施主様が多趣味な方なので私が合うのではないかというケースがたくさんあります」。
たしかにそうだろう。この他にもロードバイクなど、ここでは書ききれないほど多くの趣味や経験を持つ上田さん。その結果、いつの間にか共通の話題で盛り上がり、信頼されることが多いという。
かなり特殊な例だが、建築家とお施主様の信頼関係は、とても大きな要素のひとつとなる。その意味では、とても有効なアプローチなのではないかと感じた。
家具はすべて造作で。外構・照明もすべて
の作品で手がける理由とは
それはすべての家具を造作し、外構や照明もすべて同時に手がけている点だ。
その理由を上田さんはこう語ってくれた。
「既製品を使えば、あまり考えなくても配置できます。そうではなく、ライフスタイルに合ったものを、考え尽くして配置したいと考えています。だから造作にこだわっているのです。外構や照明も同じ考え方ですね」。
たとえばこの作品でも、リビングの本棚とテレビボードの高さを同じにしたり、照明を海に向かって等列に配置したりしている。これは、意識を海へと自然に向けるためのものだ。和室の障子と土間に接する他の引き戸は同じデザインで統一され、スッキリとした印象を与えている。階段の構造部は、隣りにある薪ストーブと同じ黒に。多くの色を使わないことで、シンプルな空間が生み出されるのだ。
この作品は、他にも数多くのアイデアと工夫に満ち溢れている。詳細は、ぜひ写真の説明文をご参照いただきたい。
最後に、お施主様の感想をご紹介しよう。
「一年間住んでわかりましたが、これほど良い家はありません。最高です」
「2階のLDKから見る海の景色はもちろん、冬は1階の薪ストーブも楽しんでいます」
「友人が和室に宿泊した際、とても落ち着いて快適だと好評でした」
いかがだろう。
自分のこだわりがある趣味やライフスタイルを理解し、実現してくれる建築家。その存在は、とても頼りになるのではないだろうか。要望が多すぎるのではないか、あるいはこだわりすぎているのではないかと感じている方は、一度コンタクトしてみることをお勧めしたい。
基本データ
| 作品名 | 堀江の家2 |
|---|---|
| 所在地 | 愛媛県松山市堀江町 |
| 敷地面積 | 234.25㎡ |
| 延床面積 | 207.75㎡ |
| 間取り | 5L DK(+吹き抜け・WIC・サウナルーム・ウッドバルコニー・屋内駐車場) |
| 家族構成 | 夫婦 |
設計者情報
この実例を見た人はこちらも読んでいます

変形敷地だからこそできた空間の広がり。 和の魅力が伝わる、重厚感のある家
古き良きものを感じとれる家をつくりたいとお考えだったお施主さま。建築家の傳寶さんは「素材のもつエネルギーを感じるような重厚感あふれる家」を実現するため、無垢の木や土塗り仕上げの外壁など素材にこだわったという。角地かつ変形敷地という敷地の条件を最大限に生かした空間構成で、暮らしやすい家ができた。

まるで十徳ナイフ あえて「狭小住宅」という選択
家族で暮らす「狭小住宅」というと、予算や土地といった制約から「やむを得ない選択だった」ということもあるだろう。そんななか、妥協ではなく「この狭小住宅に住みたい!」と思う家族が絶えない建築家がいる。新潟県で狭小住宅に特化した家づくりを行っている、ネイティブディメンションズ一級建築士事務所の鈴木さんだ。多くの人々から選ばれる狭小住宅とは、どんなものなのだろう。

これがスイートルームの居心地!多彩な使い勝手と贅沢なあしらい
「庭はいらない。夜、ゆっくりくつろげる家がいい」。多忙な日々を送るMさんの言葉で建築家の北園徹さんがつくったのは、インナーガレージや屋上テラスのあるスキップフロアの家。家族や友人との団欒も、静かなひとりの時間も楽しめる魅力的な間取りとは?

まるで自然の中で暮らしているかのよう 2階に中庭のある、混構造の家
川沿いに土地を購入され、中庭がある家で自然を感じながら暮らしたいと望まれていたお施主さま。しかし、家を貫通する中庭をつくるにはスペースが足りない。そこで建築家の平野さんは生活空間とする2階の真ん中に広々とした庭をつくることを提案。強度や排水などの課題はあったが、混構造を取り入れ実現した。

施主と建築家の共同作業で叶えた 住まう家族も猫たちも心地よく共生する家
東京・浜田山の閑静な住宅街に、「猫との共生」を設計の核心に据えた家がある。手掛けたのは設計事務所「CHA」の原﨑さん。施主は同じく建築設計をお仕事としながらも、信頼できる建築家との共同作業を選んだ。2匹の猫が互いに距離を保ちながら暮らせるよう、空間には数々の工夫が溶け込んでいる。

3人の建築家のアイディアが結集! 斜面地で実現した理想の住まい
奈良県、生駒市の斜面地に建つH邸。一見デメリットとも思える傾斜をうまく生かし、Hさんが希望する住まいを完成させたのが、atelier thuの坪井飛鳥さん、細貝貴宏さん、上田 哲史さんの3名だ。それぞれが得意分野でアイディアを出し合って進められたという今回の家づくり。その詳細についてお話を伺った。

室内空間の工夫で外観も誇らしく。三角屋根の欧風住宅が快適!
都心の住宅地は建築規制が多く、住まいを好みの構造やデザインにするのが難しい。そんな中、建築家の山本稚保子さんは緻密な計算とセンスあふれる素材使いで、ヨーロッパテイストをほどよくとり入れたデザイン性の高い住宅を設計。充実設備の快適バスルームも必見!

こだわりをさりげなさで包み込む 「静かにデザイン」された家
愛知県犬山市。一面に田んぼが広がるのどかな雰囲気のなか、温かみがあるシンプルな木の家が建っている。風景になじみながら、同時に人の目を引く不思議な魅力をもつ家だ。この家を設計した、建築家の伊原洋光さん・みどりさん夫妻が語る「静かにデザインする」という言葉の意味を、このY邸から探ることにしよう。

借景がまさにアート!夢を贅沢に詰め込む、こだわりの別荘づくり
ずっとマンション暮らしだったTさんが軽井沢に建てたのは、自然を絵画のように切り取り、家の景色の一部とした別荘だ。施主のTさんと建築家、佐藤さん。自然と融合した美術館のような家は、Tさんと佐藤さんのこだわりが詰まったアート作品だった。
