
water hall
設計者情報
「住宅内のブラックボックス」 浴室は水を大量に扱うという性格上、水気密性の高い扉で前室(脱衣洗面室等)と空間的・環境的に強固に区画され、その内部空間は小さな開口部をひとつだけもつ外部から独立した閉塞的な箱としてつくられていることが多い。 この閉鎖的な浴室のつくりは、様々な生活が営まれる住宅のなかでも浴室をその外側での生活と一切の関係をもたないただ入浴するだけのブラックボックスのような場所にしている。 「水場」 森の中には水場と呼ばれる野鳥や野獣が体を洗い、休息し、水を飲むための水辺が存在する。 砂漠の水場であるオアシスは憩いの場という意味を持つ。 自然界のなかで水のある場所は快楽性を伴っている。 浴室もただ機能を充足するための場所ではなく、入浴という機能を超えた豊かさをもつべき場所なのではないのだろうか。 「浴室を開く」 築50年の木造家屋の浴室を改修するにあたって、浴室を生活に開くということを考えた。 具体的には浴室を区画していた間仕切りと扉を撤去し、脱衣洗面室とひとつながりの最高天井高さ約4.0mのワンルームとし、浴室上部の屋根には1m角の開口部を設け、自然光が降り注ぐ明るい開放的な空間とする。 壁天井はつやありの白塗装とし、浴室の自然光を暗い中廊下へと最大限反射するようにしている。 天高4.0mの気積の大きい空間によって、浴室の湿気を素早く乾燥させることもできる。 (入浴後10分程度換気扇をまわすことで、壁床天井が完全に乾燥状態になる) 一般的な浴室空間がもつ湿気っぽさのない、ドライで開放的なこの浴室は、入浴という機能から解放され、庭のように観葉植物を日向ぼっこさせたり、読書をしたり、ときにはお風呂に入りながら食事をとったりと、住宅内での生活と地続きの場所として使われ始めている。
基本データ
- 作品名
- water hall
- 施主
- S邸
- 所在地
- 愛知県名古屋市
- 敷地面積
- 230.25㎡
- 延床面積
- 101.45㎡
撮影:鈴木隆介
設計者情報
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