
もはや建築物ではなくアート。
約200㎡のマンションを美しくリノベーション

佐竹 永太郎
さたけ えいたろう
STAR
東京都 北区
クライアントの課題を美しいデザインで解決する。 ビジネスにおいては事業の成功を美しいデザインで課題解決する私たちは、住まいづくりにおいては、美しいデザインで、住む人らしい豊かなライフスタイルの実現をお手伝いをしています。 クライアントを絵とするとわたしたちは、その絵を引き立てる額縁職人といえるでしょう。
リノベーションに求めたものは“既成概念にとらわれず、住まいの可能性を探る”こと
「住まいづくりにおいては、美しいデザインで、住む人らしい豊かなライフスタイルの実現のお手伝いをしています。施主の方を絵とするならば、当社はその絵を引き立てる額縁職人といえるでしょう」と佐竹さん。
「単に、“建築”というハードを手掛けるだけでは、施主の方の豊かなライフスタイルを実現させることはできません。そこで当社では、“STARHOME”というワンストップサービスを提唱しています。具体的には、施主の方が求めている“インテリアデザイン”“家具”“アートのコーディネート”“備品を含めたディスプレイデザイン”をすべてコーディネートし、空間をプロデュースしています。住まう方それぞれの豊かなライフスタイルを実現するためには、“STARHOME” のようなワンストップサービスが必要だと考えています」と佐竹さん。
“建築”というハード以外の工程はインテリアコーディネーターに依頼するケースもあるが、佐竹さんが率いるSTARはこの領域もカバーしている。施主と画廊に同行するケースもあるという。“すべてをコーディネートすること”を標榜するSTARの本気度が窺い知れるだろう。
「A邸をリノベーションするにあたり、Aさんのご希望は“既成概念にとらわれず、住まいの可能性を探りたい”とのことでした。さらに“ゲストをお招きする機会が多い”“お父様から譲り受けたケニアのアート”や、“お祖母様が使用していたというLOUIS VITTON製のアンティーク品”を住まいに取り入れたいといったご希望をお持ちでした」
建築物をアート作品に近づけることなら、多くの建築家が実現できるかもしれない。しかし、“既成概念にとらわれず、住まいの可能性を探りたい”という、Aさんの希望を叶えるためには、単にA邸をリノベーションするだけでなく、Aさんのご家族から譲り受けたアート作品やアンティーク品が調和する空間をつくりださなくてはならない。そのためには、Aさんのライフスタイルや、持ち合わせている感性を完全に理解し、想像を超えるものをつくりだすことが求められる。それはつまり、よりさまざまな要素をより高い次元でトータルコーディネイトすることを意味しているのだ。求められるスペックやハードルが高い案件であることは容易に想像がつく。
マンションの一室をリノベーションするという行為を、ひとつのアート作品へと昇華させる
敢えてエントランスに上がり框を設けず、モルタル仕上げの外部のような空間をつくりあげたのだ。さらに、ダイニングやリビングの入口に幅1830mm×高さ2220mmの両開き扉を造作。これにチークの無垢材と鉄製の取っ手を組み合わせることで、A邸に調和しつつも、シンボリックな存在となった。この扉を開けると奥のリビングまで自然と視線が行き渡り、オープンキッチンが訪れる人を迎える演出となっている。
リノベーション以前は、A邸はおよそ200㎡という広さがありつつも、3箇所あったトイレ、狭い廊下とダイニングキッチン、住まいの中心に設備機器が設置してあるなど、決して使い勝手がよいとはいえない空間だった。
「Aさんはご自宅にゲストをお招きするのが好きな方です。以前はゲストが細い廊下を進み、誤って寝室に入り込んでしまうこともあり、パブリックとプライベートなスペースを区分して確保する必要があると考えました。そこで、A邸の北側にパブリックなスペースを、南側にプライベートなスペースを集約させました。また、壁を移設して水回りとクローゼットのレイアウトを変えることにしました。さらに、エントランスから主寝室への動線上にウォークスルークローゼットを配置。エントランスとオープンクローゼットとの間にある隠し扉を閉めれば、ゲストが寝室に迷い込んでしまうこともありません」と佐竹さん。
この隠し扉という手法は、主寝室や書斎兼ゲストルームの入口にも用いられ、パブリックとプライベートなスペースを区分するうえで重要な役割を担っている。
主寝室は、Aさんの「徹底的に心地良い空間にしたい」という要望に応えるべく、毛足の長いシャギーカーペットを敷きつめた。2色のファブリック張りで壁を仕上げ、トイレおよび洗面スペース、シャワーブースを一体にしたコンパクトな水回りを隣接させた。このシャワーブースは、普段、シャワーしか使わないAさんのために、水圧ではなく水量で調節し、快適に使える工夫がされている点も興味深い。
そして、Aさんが“お父様から譲り受けたケニアのアート”とお祖母様が使用していたという“LOUIS VITTON製のアンティーク品”は西側のリビングに置かれた。この空間に、Aさんが以前から大切に使っているというレザー張りの黒いソファと、エタノール暖炉がビルトインされている造作テレビボード、既存の床に墨モルタル金ゴテ仕上げを施している。これらのアイテムが絶妙なバランスで1つの空間に“調和”していることに驚かされるばかりだ。
Aさんがこれまで身につけてきた審美眼と、その世界観をさらなる高みへと導いた佐竹さんの手腕があってこそ、A邸のリノベーションが実現したことは間違いない。決して、青天井に予算を掛ければA邸と同じ世界観ができあがるというものではない。吟味に吟味を重ね、理想の住まいを追求していく。すべてを高次元で融合させることを求められたA邸のリノベーションは、じっくりと時間を掛けて煮詰められていったようだ。事実、設計に1年半を要し、依頼から完成までに3年という年月を掛けたという。
施主が理想とする豊かなライフスタイルを実現するためには、“STARHOME”のように、すべてをひとりの建築家とそのチームに委ねられるワンストップサービスがあればこそ、絶妙なバランスと、調和の取れた住まいが実現する。A邸は、施主であるAさんと佐竹さんの共同作業によってつくり出された、まさに“アート作品”なのだ。
基本データ
| 所在地 | 東京都 |
|---|---|
| 施主 | A邸 |
設計者情報
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