
家族4人で一日中、真鶴の絶景を満喫。
仕事も余暇も同時に楽しむための住まい
環境がよく、東京から通いやすい真鶴に
海が見える別荘を持ちたい
合同会社 team AeO一級建築士事務所の德家統さん、明美さん夫妻にコンタクトがあったのは、いよいよ候補となる土地が見つかったときだった。「この別荘は建築家に頼んでみようと、お嬢さまがネットなどでかなりリサーチしたそうです。KLASICに掲載された記事がわかりやすく、きっかけのひとつとなったとおっしゃってくださいました」と2人。お施主さまのご両親に代わり、お嬢さま夫妻が中心となっての「真鶴のすまい」づくりが始まった。
購入した敷地には既存の建物があった。築年数は古いが鉄骨造だったことからリフォームして使うこともまず検討された。しかし調査の結果、耐震性などクリアしなければならない課題がたくさんあることが判明し、既存の建物は解体して新築することを選択。
ご両親とお嬢さま夫妻の4人で過ごす別荘で、来客もある。いつかは引っ越して来たいという要望もあった。引っ越しが実現するかは分からないが、コロナ禍を経て一般的になった2拠点居住の可能性も考えられる。そこで、別荘といっても日常的にきちんと暮らせる設備を整えることを意識したという。
伝え忘れなどがないように、要望は夢も含めて全てリストアップしてもらった。その上で最優先としたのは、「お風呂に入りながら海が見たい」というお父さまの願いだ。2人は他の要望も考慮し、それならば日中、活動している時間帯においても海が眺められるほうがよいだろうとLDKを2階に設定。浴室は1階の、海が一番よく見える位置に設けた。浴槽に入ってリラックスした姿勢で眺望を楽しめるよう、1階全体の床の高さと浴槽の横の窓の高さは綿密に検討したという。お風呂の出来栄えを一番気にかけていたというお父さまが「文句なしの出来栄えだ」と喜んでくださったと、明美さんが嬉しそうに語ってくれた。
LDKを2階に配置し
開放的で、豊かに過ごせる空間をつくる
まず建物は、真鶴町のまちづくり条例である「美の基準」から勾配屋根としなくてはならない。そこで、LDKは屋根の形を反映し、高い天井の空間に計画した。また、天井のさらに上に梁の機能を果たす木材を並べる「登り梁」を採用。本来ならば天井に見える梁がなく、高さを確保しながらすっきりした印象を得た。さらに、柱や壁のない開放的なワンルームを実現できたのは、1階に浴室や寝室を集めたからこそだといえる。
さらに2階には、居住空間と一続きになるテラスを設けた。軒が深くゆったりとした広さのテラスは、まさに拡張したリビングのように使用できる。それだけではない。視線を遮るものなく海の絶景を楽しんでほしいと、テラスの角に立てられることが多い、軒を支えるための柱をなくした。床がフラットに繋がっており、室内から自然な流れで外に出られるのも魅力的だ。
海に向かって縦長に配置した「真鶴のすまい」。そのフォルムをそのまま生かしたLDKでは、縦長のラインを強調すべく床はヘリンボーン模様で貼った。室内に方向性が生まれ、視線が気持ちよく海まで伸びる。
LDKでの具体的な要望は主に3つ。まず、皆さま食べることが大好きということから「ダイニング空間を大切につくる」。そして、お料理がお好きなお嬢さまのために「広々とした、機能的なキッチンを設ける」。もうひとつは「思い思いに過ごせるようにしたい」ということだった。
そこで2人は空間の中心にダイニングを配置。ゆとりをもって使える6人掛けのダイニングテーブルと、窓側には造り付けで3人掛けのシートをデザインした。シートの座面を開けると収納があり、PCやスマホを充電するための電源も備わっているっているため、そこで十分仕事もできる。
お嬢さまこだわりのキッチンは贅沢な広さがある。2つ設けられたシンクのうち、1つが庭に面した窓に向かっており、四季折々の眺めを楽しみながら洗い物ができて嬉しい。見入ってしまうほど美しいタイルを一角に貼るほかは、アイボリー系の優しい白を使いたいと希望されたお嬢さま。レンジフードも白を選び、空間をまとめた。
家づくりのすべてをトータルに設計。
だからこそ叶えられた、満足度の高い住まい
ご高齢のご両親に配慮して、エレベーターを設置した。2階で降りると、正面にはディスプレイシェルフがあり、お出迎えの場としての雰囲気づくりに役立っている。また、シェルフはダイニングのシートから流れるように続いているため、ダイニングでちょっと物を置きたいときにも便利で活用の幅は広い。
先述の通りこの敷地には既存の建物があったが、同じく梅や桜、柚子など様々な樹木などを有した庭もあった。「それは、敷地の魅力でもあり、プランニングにおいて難しい部分でもあります。ただ、真鶴にはこうした敷地が当たり前に多く存在しているんですね」と明美さん。数多くこの土地の設計を担ってきたからこそ、この「真鶴のすまい」でも地形や既存の植栽を最大限に生かした魅力的な空間をつくり出せたのではと話す。
特に玄関は、緻密に計算された位置に大きな正方形の窓が計画され、来る人は家に踏み入れたとたんに目に入ってくる庭の樹木から四季を謳歌することができる。同時に敷地の広がりも感じ、この別荘で過ごす豊かな時間を期待するだろう。2階のテラスは海側だけでなく庭方向にも延長し、庭を眺めながらお茶を楽しむことも可能にした。
家具や建具まで2人がデザインした「真鶴のすまい」。上質な木材を贅沢につかった、味わいのある別荘ができた。ほかにも、椅子や照明器具などのセレクトに至るまでトータルに設計できたことが、結果としてお施主さまの満足度の高さにつながったとのこと。もちろん、建物の性能面においても抜かりなく、住宅性能評価の必須項目において最高等級を得た。
「家族全員で居心地よく、すっかりくつろいでいます」とお施主さま。これからもこの「真鶴のすまい」で、かけがえのない時間を過ごされていくことだろう。
間取り図
基本データ
| 作品名 | 真鶴のすまい |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県足柄下郡真鶴町 |
| 敷地面積 | 647.1㎡ |
| 延床面積 | 173.63㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども夫婦 |
撮影:淺川 敏
設計者情報
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