
家族の声が届く、20坪の狭小2階建て
田園風景の中に佇む「大きな窓の小さな家」

齋藤 史博
サイトウ フミヒロ
さいとう建築工房
福島県 福島市
私は主に木づくりの住宅を設計しています。 自然素材を活かし、光の差し方・風の流れ等その土地の気候風土を読み解き、居心地のよい住宅を提案します。 お客さまの要望や意見を何度も伺いながら発想を膨らませ、お客さまの理想を超えた住宅を創造すると共に、 「自分たちで作った家」と思ってもらえるような設計の進め方をします。 それは、家に愛着を抱いて住んで頂きたい、家族で家を育てていってもらいたいという思いからです。 まずはお気軽にご相談下さい。 そしてあなたの家づくりのお手伝いができればと願っております。
「小さく建てる」を制約ではなく
可能性として捉え、設計する
今回紹介するのは、ご実家の一部を解体し建て替えた自宅兼仕事場。「夏や冬の過ごし方も含めて、生まれ育ったこの場所を一番知っている設計士は自分」の想いを胸に、周囲の環境、そして自分自身との対話を重ねながら、理想とする暮らしを丁寧に描いていった。
建てられる土地の広さに限りがあるため、その制約をコントロールしつつ、いかに魅力に転換していくかがカギとなった家づくり。
「敷地の奥まった場所に小さく建てなくてはいけないからこそ、どうしたら明るくなるか、広く感じられるかをとことん考えた家です。空間のつながりを大切に設計することで『家族の声が聞こえる家にしたい』というイメージも形にできました」。
そう齋藤さんが語る20坪の狭小2階建て。設計者かつ住まい手としての、どんな視点や工夫が盛り込まれているのだろうか?
建物のない東側に大きく開き
光と借景を取り込んだ2階建て
「大きな窓の小さな家」が建つ福島市は、吾妻連峰をはじめとした雄大な自然が広がるエリア。四季折々の自然景観、山々に囲まれた盆地特有の気候条件とどう向き合うかも、外観のデザインや内部空間を考える上でのファクターとなった。
「建築地の東側には市街化調整区域の休耕田が広がり、将来にわたり建造物が建つことはないことから、大きな窓を設け、朝日と借景を取り込む計画としました。東側の眺望を最大限に生かすため、大きな窓と吹抜けを設ける2階にLDKをレイアウト。親世帯が暮らす平屋が南側に隣接するので、採光を確保する意味でもリビングは2階がベストだと考えました」。
東に向かってダイナミックに開けた窓は、遠くから見てもひときわ目を惹く齋藤邸のシンボル。玄関は反対側に設けてあるものの、大きな窓のある東側が住まいの顔、ファサードとしての役目も果たしている。
「東側の外壁は鎧張りのレッドシダーで仕上げ、経年変化を楽しめるようあえて無塗装に。メンテナンスを考えて塗装を希望されるお客様が多いのですが、木って思った以上に耐久性があるんですよ。それを伝えられたらと実験的な要素も含めて無塗装を選びました。東側を外に開いた一方で、西側と北側は、夏のジリジリした西日と冬の季節風(吾妻おろし)に考慮して開口を最小限に。屋根材と同じ黒色のガルバリウム鋼板を外壁まで下ろし、閉じた外観としています」。
天井高のメリハリで広がりを演出
「用途を重ねた」多目的なLDK
天井高は一番高い所で4.15m、ロフト下の低い所で2.1m。この高低差のメリハリによって、延床面積以上の広がりを体感できる仕掛けとなっている。
また、狭小住宅で心地よく暮らすために必要だと齋藤さんが挙げるのが「用途を重ねる」こと。使い方をかっちりと決めず、多目的に利用できるように設計しておくことで、ひとつの場所にいくつもの機能を持たせるという考え方だ。
齋藤邸ではLDKの中心にソメイヨシノの天板の大きな造作テーブルを据え、家族団らんのリビング、食事を楽しむダイニングとしてフル活用。時には齋藤さんが図面を広げて仕事をしたり、お子さんが勉強をしたりと、暮らしの中心として愛される場所になっているそうだ。
「パントリーをつくる余裕がなかったので、テーブルの下部を食器棚や食品庫として使っています。広いテーブルの上に出来上がった料理を全部並べることができて配膳もスムーズ。何かをする時は自然とこのテーブルに集まり、家のどこにいても家族の声が聞こえる理想としていた暮らしが叶っています」。
「自分たちでつくった家」と
お客様が誇れる家づくりを
そんな信念のもと、自邸以外にも個性豊かな住宅を手がけている齋藤さん。一邸一邸、オリジナルの物語を紡ぐ家づくりでは、その出発点となる「対話」の時間を何より大切にしているという。
「おすすめできない要望が出てきた時にはその理由をきちんとお伝えしますし、これまでにやったことがなくても『面白そう!』と思ったらそのアイデアに乗っかってみることも。『自分たちでつくった家』とお客様に感じていただき、住まいの完成後は気持ちよく育てながらずっと大切にしていってほしい。私だけの想いでつくった家では絶対にそうならないからこそ、お客様の声を柔軟に受け止め、自分の設計に取り入れていくバランス感覚を大事にしたいと考えています」。
陶芸や料理にも興味があるという齋藤さんは、あらゆる料理を引き立てる「シンプルな器」こそが、自らが設計する住まいの理想であると話す。ある日はお肉や魚を、またある日にはサラダやデザートを。何を載せても馴染み、用途が固定されない器のように、どんな暮らしも受け止めてくれる大らかな家。
思い描く理想の家がある方も、自分に似合う家を建築家と一緒に探したいという方も。齋藤さんとの対話にワクワクしながら、家づくりという特別な体験を思いきり楽しんでほしい。
基本データ
| 作品名 | 大きな窓の小さな家 |
|---|---|
| 所在地 | 福島県福島市 |
| 敷地面積 | 301.34㎡ |
| 延床面積 | 70.32㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子供1人 |
| 予算 | 〜2000万円台 |
設計者情報
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