
無垢の木、タイル…、素材を生かし、
内と外を繋げるデザインに暮らし心地も追求した家
暮らしやすさを最優先しつつ、デザインにも妥協のない工夫を
「ヒアリングの中でT様の要望を積み重ねていくと、デザインへの強い憧れを感じましたが、実際は一般にイメージしやすい“家らしい家”を求めているのが見えてきました。そこで、奇をてらうような間取りではなく、生活動線のイメージしやすい、奥様にも優しいプランにすることを主眼におきました」と小川さん。ただ、それでは普通の家になってしまうので、素材の組み合わせやアクセント、窓の配置や家具のデザインなど、生活に大きく影響を及ぼさない小さなイレギュラーをさりげなく重ねることで、デザイン性を高めていった。中でも、木が好きというT様に対して、できる限り木の素材を使い、木、タイルなど、使う素材の種類が多くなる中で、いかに美しく組み合わせるかを熟慮したという。
例えば、キッチン背面のタイルは目地を工夫して陰影をつけたり、玄関側面、リビング入り口の壁のタイルを外壁と同じ素材にして、外と内との境界を感じさせないデザインにしたり。また、大黒柱は八角形に形を整え、1階の戸はT様持ち込みの無垢材を引き戸の持ち手部分に組み込んで造作。T様邸ではあえてサッシを採用しているが、外から見たときにサッシ部分が隠れるように、窓の空間を外壁面から少し内側に凹ませたり、化粧板を置いたりするなど、デザインの細かいところまで気を配った。
LDKは四角い一つの空間で広く、どかんと取ってほしいという要望に対しては、「間取りが全体的に単純になるのを防ぐため、LDKを一室にするのではなく、リビング空間はあえて少しずらしました。違う空間を演出することで、気分が変わり、生活時間にメリハリを生むためです」と小川さん。外部に開かない庭を確保しつつ、ダイニングからもリビングからも庭を感じられるようにした方が、精神的にもより広さを感じられる。T様も、結果的には「一室ではなくリビングを少しずらしたのは正解でしたね。居心地がよい場所になりました」という。
また、床下や屋根裏は、人が通りやすいように空間に余裕をもつことで、後々のメンテナンスのしやすさにも配慮。構造面でも、耐震等級は最高等級の3相当になる壁量とし、高断熱・高気密の「夏は涼しく、冬は暖かい」快適な暮らし心地を実現している。
実際に暮らしてみて、家族で団欒する時間が増えたと奥様。「ダイニングで1時間ぐらい夕飯の時間を過ごして、その後、みんなでリビングへ移動して、ソファで寝そべったりしながらくつろぐことが多くなりました」。
施主・設計士・現場監督・大工が、現場でも意見を出し合い、快適さを追求
バルコニーの天井は、窓の内側と外側で同じ材を使用し、境界を感じさせないようになっているが、ここに木を使ったのは現場監督さんの判断。また大工さんは2階主寝室のニッチ、余った材を使って可動棚をと、臨機応変に気を利かして造作。照明は電気設備工事のプロであるT様自身がすべて手掛けた。廊下の間接照明、各居室はダウンライトにするなど、デザインをくずさないよう工夫してセンス良く設えた。家づくりに携わる全員が「こうしたらもっと便利になるんじゃないか」と、前向きに考えて取り組んだT様邸。「知らない間にクオリティがあがっているんです。当然びっくりしますが、そんな現場での変更も楽しかったですね」と小川さん。
施主・設計士・現場監督・大工、みんなの力で理想以上の家に仕上がったと満足しているT様ご家族。「結婚して20年で初めての家づくりでしたが、仕事柄、数多くの家を見てきたこともあり、いいところ取りでやりたいことを存分にやれました。以前の賃貸住宅住まいの時には家事も大変で、ちょっと一息つきたいときは気分を変えるためにカフェに出かけていましたが、今は、家のダイニングでお茶している方が落ち着きます」と奥様。さらに、新しい家に住むようになって、家族みんなの表情も穏やかになったという。「収納が多いので片づけやすく、モノが散らかることも減りましたし、怒ることが少なくなったからでしょうか。それに、子どもも自分の部屋があるので集中して勉強できるようで、成績も上がったんですよ!」。
良い家は、暮らしをより良くし、家族の幸せを育んでくれる。T様邸は、そんな言葉を絵に描いたようである。
間取り図
基本データ
| 所在地 | 岐阜県岐阜市 |
|---|---|
| 敷地面積 | 240.57㎡ |
| 延床面積 | 154.3㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども3人 |
| 予算 | 3000万円台 |
| 施主 | T邸 |
設計者情報
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