
全ての居住空間から中庭を望む!
住宅密集地で叶えた開放感溢れる住まい
広い中庭で建物をロの字に囲うスタイルで
1階・2階共に外からの視線を遮断
Fさんとの打ち合わせを振り返り、葛西さんはこう語る。「Fさんの希望は、周囲の視線が気にならない、中庭のある家でした。ここでは、それ以上細かい要望はあえて聞いていません」。最初に細かい間取りなどを聞いてしまうと、家の形が決まってきてしまう。それを避けるため、最初は大まかな要望を聞き、そこから提案を行うのが葛西さんのスタイルなのだという。
もともと、外部空間を上手く取り入れることを得意とする葛西さん。そこで提案したのが、中庭を広く取り、その中庭をロの字型に建物で囲うというプランだった。ここで特に気を遣ったのが、建物の高さや、窓の配置だったという。
「近隣の家の窓の高さを全て調べたうえで、どの部屋からも外と目線が合わないよう、窓の配置や高さをとことん工夫しました」と話す葛西さん。そのこだわりの結果、果たしてどんな家ができあがったのか。次からその詳細をご紹介しよう。
部屋の中と中庭を自由に行き来しつつ
バーベキューやキャンプを楽しむ暮らし
右手に開放的な中庭を眺めながら7ⅿほどある細長い廊下を進むと、その先に横長のリビング・ダイニングスペースが。さらに先の廊下を進むと、奥様の趣味室と、Fさんが趣味のゲームを楽しむ部屋がある。リビング、寝室からは直接中庭に出ることができるようになっており、室内と、外部空間である中庭を自由に行き来できるのも魅力のひとつ。旦那様が喫煙されるということで、たばこを吸いに気軽に外に出られる環境はとても便利なのだという。
中庭をなるべく広く取るため、廊下や水回りなどはコンパクトに抑えられている。
リビングの先にある階段を上ると、2階にあるのは主寝室と、事務作業を行う部屋。寝室にはホテルライクなふかふかのカーペットが敷かれており、掃きだし窓から見える中庭の視覚的な広がりもあって、独特の浮遊感を感じる。2階の窓から外を見ても、見えるのは中庭のみ。外の視線がまったく気にならないため、カーテンも必要ないのだという。
設計事務所としてスタイルを限定せず
お客様の要望を柔軟に叶えていきたい
今回の家づくりにあたっては、「提案したことはほぼそのまま受け入れてもらうことができ、とてもスムーズに進めることができました」と話す葛西さん。もともと葛西さんのところにはmizuiro architectsのデザインを気に入って来てくださるお客様が多く、「自由に提案してほしいです」と言う方が大半なのだそう。
「mizuiro architectsという社名は、お客様によっていろいろな色になりたいという想いを込めてつけられているんです。うちはこういうスタイルです。と決めずに、お客様のご要望に沿った家づくりをしていきたいと思っています」と語る葛西さん。「これからも、近隣に溶け込み、閉鎖的になりすぎない家をつくっていきたい」と、熱い想いを語ってくれた。
間取り図
基本データ
| 作品名 | 中佃の家 |
|---|---|
| 所在地 | 青森県青森市 |
| 敷地面積 | 362.36㎡ |
| 延床面積 | 138.29㎡ |
| 家族構成 | 夫婦 |
| 施主 | F邸 |
撮影:JIGEN FOTOGRAFIAR
設計者情報
この建築家が建てた家
この実例を見た人はこちらも読んでいます

土地の制約は中庭を抱くことで豊かさに 自然を感じながら暮らす鎌倉・谷戸の住まい
神奈川県鎌倉市の谷戸に建つ、KATIS建築設計事務所・石川さんの自邸。約100㎡の土地、建蔽率40%という制約に対し、石川氏が導きだした解は「中庭を抱く凹型の建物」だった。この選択により、室内の三面に抜けが生まれ、光と風を招き入れ、各ゾーンが有機的に繋がる。中庭を介して家族の存在を感じられる大きなワンルーム。制約を豊かさに転換した、建築家の思考と技術が凝縮された住まいだ。

子育てのしやすさに妻も納得!経年劣化を生かした中古団地リノベ
自ら建築デザイナーとして活躍する金刺久順さんが引っ越しに際して下した決断は、中古団地をリノベーションすることでした。経年劣化を活かしつつ、外部環境をうまく内部に引き込んで出来上がった家は、“団地”へのノスタルジーを残しながら生まれ変わった新たな空間でした。

川のせせらぎも、もはや我が家! 自然と一体の家づくりの極み
自然が好きで、山と海にひとつずつ家がほしいというQ さん。まず手に入れたのは、近くを多摩川が流れる土地でした。人の手が入っておらず木が生え放題の場所を、どうしたら川が楽しめる家にできるのか、Qさんはガーデナー建築家、勝田さんに期待をかけました。

海を楽しむ和のリゾート。貸別荘の運用を 見据えた設計で居心地も利便性も極上に
海沿いに別荘を建てたいと望まれたお施主さま。設計を依頼したのは、地元の南房総エリアで活躍する建築家の島﨑さんと石井さんだ。土地の特徴に心得があり別荘建築の経験が豊富だからこそ、海を満喫でき過ごしやすい別荘ができた。不在時は貸別荘としても運用。当初からプランに組み込むことで高い利便性が実現した。

遊ぶ、眺める、家族で家を楽しみ尽くす、中庭の存在とは!?
この家に住むIさんは、造園の仕事をしていたため、緑の楽しみ方をよく知っていました。子どもたちが思いっきり走り回れる芝生の広場、お風呂につかって眺める坪庭、自分で手入れする前庭。家族と暮らす新たな住まいはたくさんの緑で彩られていました。

土間やテラス、自然と徹底調和。客も長居する居心地作りに納得!
四季折々の木々や草花などの大自然を味わえる「国営武蔵丘陵森林公園」に三方を囲まれた里山に、佇むように居を構えているMさん邸。豊かな自然の恵みを存分に活かした住まいは、「第2回 埼玉県環境住宅賞」の最優秀賞を受賞しました。

オンオフがスムースでハッキリ!こんなオフィス兼用住宅が欲しい
Hさんご一家は「ご夫婦+お子様2人」の4人家族。長らく都内のマンションで暮らしてきましたが、お子様の成長に伴い居住空間が手狭になり、さらに、ご自身の仕事を集中して行える環境を自宅内に設けたいという思いから、一戸建てオフィス兼用住宅の新築を決意しました。

親子三代で、星が見える家に住む家族は、ぜったい幸せ!
とある住宅地の一角に、道行く人の目を引く外観の建物ができました。まっ白な外壁に散りばめられた大小の窓枠が特徴的な二世帯住宅です。名付けて「マドワクの家」。この家には外からの見栄えの良さはもちろんのこと、室内にも、狭い敷地に、6人の大人が快適に暮らせるための工夫がたくさん詰まっていました。

緑に寄り添う窓辺を、旗竿地で。理想の職住一体をかなえた陶芸家の住まい
旗竿地につくられた陶芸家ご夫妻の住居兼アトリエは、柔らかな光と緑に彩られ、仕事と暮らしのバランスも取れた心地よい空間。旗竿地というハードルを見事にクリアしたオノ・デザイン建築設計事務所 小野喜規さんの、秀逸なアイデアと感性を紹介する。




