
好きなモノと暮らす。
こだわりを持った土間のある家。
大学時代の同級生と、試行錯誤しての設計
今回ご紹介する物件は、東西に流れる玉川上水の南側に位置する更地に建てられた注文住宅で、設計は長野県にも拠点を構える設計事務所ハイランドデザインの髙橋氏。今回の施主とは大学時代の同級生という間柄のため、どのような家に住みたいのかは肌で感じ取っていたという。その仲のいい関係だからこそ生まれた魅力をくまなくご紹介していく。
玄関土間のあるお家。
玄関土間と和室をつなぎ、右手の廊下につながる式台にはスプーンカットと呼ばれる名栗(ナグリ)が施され、心地よい感触を足裏に感じる。
施主が展示場で気に入ったというスプーンカットの部材は、無機質なフローリングではなく、手作り感のある無垢材が今後十年、二十年と時を経た時に、どのような表情を見せるのか楽しみな部分だ。
玄関を開けて中に入ると、靴を脱ぎ式台に上がるまでのほんの数十秒の間に、玄関ドアの大きさ、重厚感、土間の落ち着き、式台の質感と、さまざまな刺激が五感に沁みわたり、この住宅の個性はタダ物ではないと感じずにはいられない。
二階は大きなワンルームのような造りになり、東側は大きな窓が戸袋に収納され、全開できる設計となっている。広いキッチンスペースと、そこに接するダイニング、そしてリビングがひとつの大きな箱に収められている感覚で、間仕切りがないためその開放感は格別である。
視線を北側に移すと、玉川上水の豊かな緑があり、落ち着いた空間が広がるというのは新宿から30分以内の立地において稀有な存在。そのロケーションを活かす大きな開口を採り入れたことで、二階がキッチンというアクティブなセクションを持ちながらも、落ち着いたリビングの雰囲気を共存させる。
オーダーメイドのキッチンは、北側の壁に接するコンロと、アイランド型のシンクに分かれ、またパントリーとの導線もスムーズなので毎日の料理も楽しく進められそうだ。
共に生活するものにはこだわりを。
高い天井がもたらす開放感と、東側の大開口は、視線の先に玉川上水の豊かな緑が広がり都会の喧噪から一線を画す空間だ。さらに北側は10メートル以上も他の建物から離れ、キッチンの上部、北面の大きな明り取りの窓から見える青空は気持ちに余裕と安らぎを与えてくれそうだ。
施主は車で各地へと赴き、名産品などを自らの手で購入するためなら車中泊もいとわないというこだわり派だ。キッチンに内蔵された食器棚にはそうして集められた趣味の食器が並べられ、今後コレクションが増えて行くことも予感させる楽しみな部分になっている。
落ち着きのある一階と、開放感がある二階が醸し出す異なる性格が、毎日の生活に変化を与え、単調になりがちな日々を楽しく過ごせる原動力となるポテンシャルを感じさせる。施主の希望を叶えつつ想像を超える設計で高い満足感を提供するその手腕に脱帽する物件だ。
基本データ
| 敷地面積 | 119.92㎡ |
|---|---|
| 延床面積 | 95.18㎡ |
| 家族構成 | 夫婦 |
| 施主 | X邸 |
設計者情報
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