
住んでたことが一生の思い出に。
豊かな空間性が自慢の集合住宅
すべての住戸に大きな窓を3つ標準装備
「すべての部屋に大きな窓を3つ作っているんです。共用廊下側にも思い切って窓を大きく取りました。そうすれば明るいし、人の気配を感じられるマンションにしたいと思ったので。」
そう言われて良く見ると、廊下側にも大きな窓がはめ込まれている。ただし、窓を開けたらすぐ通路とはなっていない。小さな吹き抜けを隔てて通路があるから、これならプライバシーも問題なさそうだ。むしろ、一階まで見通すことができる吹き抜けが、気持ちいい風を運んできてくれる。
窓からは中庭、そしてもう一棟の建物が見え、その建物に設置されたカラフルならせん階段が2つとも見渡せる。開放感にたっぷり満たされて、何とも気持ちがいい。
「設計するときは、敷地に対してどういうものをセットするか考えます。住んだときにどんな暮らしをしてほしいかをイメージしますね。」
いくら窓が大きくても、開けたときの景色がイマイチという物件はたくさんある。しかし、このマンションでは開けたときの景色までワンセットで設計されているところに、長谷川氏の細やかな心遣いが感じられる。
仕切りを動かせばワンルームに仕様変更できる
正方形の部屋は珍しいが、こうして見るとかなり使い勝手がよさそうだ。コルビジェやシュレーダーの家などもイメージしながら設計したという。
間取りが変えられないのが一般的な賃貸マンションで、こうした仕様は借り手にはありがたい。インテリアだけでなく間取りまで変えられる楽しさがある。
マンションの建物というと、味気ない長方形のコンクリート建築が一般的だろう。しかし、T様のマンションには生き生きとした表情にあふれている。共用通路のあちこちには植え込みスペースがあり、いたる所で緑が目に入る。
通路の目隠しとして使われている飾り壁には、赤や黄色でカラフルにペイントされた装飾が施されている。極めつけは、らせん階段だ。ぐるぐると上がって部屋にたどり着くこの面白さ。1棟に2つ付いており、パラソル部分の形をそれぞれ変えているのもまた可愛らしい。
このような楽しいデザインについて、二人は言う。
T様:
「せっかくの広い敷地だから、単調なマンションではなくて、いろいろなものがあるマンションを作りたかったんです。結婚されて間もないくらいの若いご夫婦が多いので、こういう遊びが多いデザインはいいなと思います。」
長谷川氏:
「住宅メーカーが最初に作った設計図はワンルームの設計だったんですが、もっと明るく広く楽しい設計にしたいと思いました。狭くても中庭を作ったり、部屋の両サイドの窓をどちらも外部空間につながるように作ったり、開放的な設計にしようとご提案しました。」
広い敷地面積を全部使い切って設計にするために、建ぺい率や敷地境界、緑地の問題など、さまざまな建築規制をクリアしながらアイデアを凝らしたという。
他にも、このマンションには個性的なものがたくさんある。たとえば、駐車場アプローチ。建物と建物の間を敷地の奥にある駐車場に向かって長い車道が続いている。美しくうねった車道沿いには、緑の木々が美しい。これも設計の工夫を重ねる中で生まれたアイデアだったが、ほかのマンションにはない美しい景観を添えることになった。
「当初は噴水も作る予定があったんですけどね。これは今後のお楽しみです。」
そう言って、二人は笑う。
基本データ
| 施主 | 集合住宅 |
|---|
設計者情報
この建築家が建てた家
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