
黒い壁のなかに白い家!?
難題をクリアしたオシャレ二世帯の知恵
一世帯の家のように見える仕掛けとは?
オーダーを受けた津野さんがまず思案したのが、限られた敷地においての二世帯住宅としての佇まい。一般的な造成地のため敷地にあまり余裕がなかったが、機能としては完全分離の二世帯住宅というオーダー。さらに、「玄関を分けたいけれども、玄関が並んだアパートのような風貌は避けたい」という要望も。一軒家としての風格は保ちながら二世帯分の機能を入れ込み、さらに採光とプライバシーのバランスもとるという難題に挑んだ。
それらを一挙に解決することになったのが、隣地との境界いっぱいに設けた、敷地の周囲をぐるりと囲んだ黒い壁だ。
「外壁と一部一体化した黒い壁は塀のようなもので、本体の白い壁との間は屋根のない坪庭になっています。この方法をとることで、建蔽率を最大限に生かして二世帯分の居住空間を確保することができました。また、黒い壁と白い壁の開口部を意図的にずらし、採光は入るけれども外からの視線は遮り開放感とプライバシーも両立しました。住宅としての機能は完全な二世帯分離ですが、坪庭空間をつくることで共有する部分もつくることができました」と津野さん。こうしたアイデアはまさに、すべてを一から作り出す建築家ならではのもの。「庭や外部空間で解決できない都市部の狭小住宅ほど、建築で何とかしないといけない」と話す津野さんの言葉どおり、制約の多い都市部の二世帯住宅の新たな可能性を感じさせる建物だ。
好きなものだけを眺めながら暮らす、お気に入りの空間に。
『Aさんご夫妻は、デザインの好みがとてもはっきりされていましたし、すでにたくさんのコレクションをお持ちでした。ここで建築まで同じテイストにしてしまうとテーマパークのようになってしまいますので、建築は控えめにし、インテリアが映えるようなキャンパスであることを意識しました。
また、これまではせっかくのコレクションが取り出しにくい収納になっていたので、効率的にたくさんのものが見渡せるような収納、空間構成にしています。収納は面積だけで考えがちですが、たとえば部屋の角に設けた小ぶりのウォークインクローゼットのように、人が入るスペースや扉の開け閉めのスペースを考えると非効率的な場合も多いのです。 Aさんの家ではなるべく細長く収納スペースを設けたり、ロフト空間を活用するなど、活用度の高いプロポーションを意識して設計しました。
Aさん夫妻の居住スペースは以前の借家より狭くなっているのですが、収納を効率的に作っているので今の家のほうがすっきり広々と使えるようになったそうです』
と津野さんは語る。
2階の子世帯空間の一部を二層に分けるという技ありプラン。寝室や書斎のスペースは限られるが、収納はしっかり機能的に設置。そのぶん、リビングルームは広く確保されたメリハリのある空間に仕上がった。
基本データ
| 所在地 | 東京都 |
|---|---|
| 予算 | 3000万円台 |
| 施主 | A邸 |
設計者情報
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