
ヤマノイエ
設計者情報
撮影:西川公朗
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この建築家が建てた家
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緑が丘自治会館
隣は郵便局、南側は近くの図書館や学校につながる車や人通りの多い道路に面している。 築80年の木造2階建て自治会館の建替えである。建主は地域への貢献の意味を込めてこれまで自治会に無償で建物を提供してこられた。 今回の建替えにあたっては2・3階を単身者向け共同住宅とし、その賃貸料で建築費を賄うという計画になっている。これまで建っていた80年という年月以上に永く使われることを目指し、建物の耐久性をあげる努力と共に、将来の間取り変更や用途変更にフレキシブルに対応出来るよう、建物は4本の鉄骨柱と梁のみで構成している。 高齢の方の利用が多い自治会館部分は、居心地良く過ごせるよう小さな庭に面したベンチコーナーを設えた。共同住宅のバルコニーにはスチール製のガラリ戸を設け、プライベート性の高い半屋外をつくり、建て込んだ住宅街にあるワンルームマンションでありながら暮らしの質を高めている。 建物正面には地域の方から寄贈されたヤマボウシが植えられた。この建物が愛着を持って末永く活用される場になることを期待している。

蒲郡の店舗併用住宅

森下のオフィス
オフィス勤務からテレワーク中心の働き方にシフトし、自宅1階の倉庫として使用していた場所を、ワークスペースに改修するプロジェクトです。働くだけでなく、ミーティングやパーティーを行えるように、様々な用途が混在している場所が求められました。 機能的な「可変性」は伽藍堂の空間に委ね、相反する要素を並列することで、ワークスペース「らしさ」を失った、どのような使用にも対応できる自由さのあるスペースを目指しました。 壁は外装材の金属波と内装材のフレキシブルボードで仕上げ、既存躯体の空気感を増幅しました。一方で人の手が触れる家具は、木製置き家具とし、躯体の冷たさとのバランスをとっています。水周りを正面に構え、ワークスペースだけでなく将来のテナントに貸出せるつくりにしています。 外部との境界にあたる建具は木製ガラス戸とし、グレーの室内に外観のプロバンスな雰囲気を引込みました。 もし住宅「らしい」場所では住宅「らしい」過ごし方を、と自然と身体が反応するのであれば、住宅「らしさ」やワークスペース「らしさ」、内部「らしさ」、木質空間「らしさ」などあらゆる「らしさ」を消すことで、身体的な自由を得られるのではと考えました。 ステイホームの呼びかけにより、暮らす場所だった住宅に、新しく「働く」と「遊ぶ」が追加されました。特に場所が限られている都市型住宅では、その用途を抱えきれなくなっています。 様々な「らしさ」とも距離を保つこの場所が、コロナ後の新しいスタンダードになれば幸いです。

GGインターナショナル保育園不動前
保育と普請 待機児童が年々増加する状況に見られる通り、乳幼児が1日の大部分の時間を過ごす場所として保育園は子供の成長過程に与える影響が大きい。子供の生活空間といっても過言ではなく、そのあり方は現代における住宅のスタイルとの対比で考えなければならない。現代の住宅は、言わずもがな日本の住文化が培ってきた様式や技術を捨ててきている。意匠としての和風というもののみならず、畳の床での床座という生活スタイルからフローリングでの椅子座への変化、大工の棟梁が丁寧につくる木の造作に溢れた空間から新建材に覆われたレディメイドの空間。経済原理と効率性にもとづく時代の変化の流れに抗うことは難しいが、多くの子供達が集まる保育園という場所において、現代の住環境が失ってしまった価値を幼児期の記憶に埋め込めないかと考えた。GG KIDSインターナショナル保育園は、英語で保育を行う保育園であり、その教育方針とも、「国際化の第一歩は自国の文化への理解である」という信条が合致した。 その信条の元、この保育園はテナントの内装だけではあるものの、内装のほとんどを木工事で行い、大工の丁寧な手仕事を活かしきることを意図した。 欄干で仕切られた通路空間、床をもつ和室など、伝統的な住宅の要素を保育スペースにアレンジしながら居場所を作っている。 奥の2層になったスペースは、大人が立てない天井高さの子供に最適化された場所として、人工芝であったり、デンと呼んでいる洞穴のようなスペースなどがあり、子供が空間自体を楽しめるつくりとなっている。デンの天井は三次曲面でできた左官の天井としている。これも職人の技あってのものである。 「普請」いまではあまり使われなくなったこの言葉を、現代に生きる子供たちの空間を作る上で再び考えてみたいと思った。

朝日スポーツクラブ 貝塚スイミング
健やかで、安全に。 自然光のもとで、皆に見守られながら、泳ぐことができるプールを考えました。居合わせた皆で子供たちを見守ることができるように、エントランス、ギャラリー、プールを一続きの一体空間とし、柱のない見通しのよい空間としています。プール内のお子さんは、皆に見守られていることを感じ、安心して学ぶことができます。さらに、北面全面から安定した自然光を、南面からも柔らかい外光を取り入れることで、一体空間が自然光で満たされる清々しい空間となっています。外観は、ヨットの帆のように突き出た2本のマスト柱が建物のシンボルとなり、子供たちに親しみを感じてもらえるよう工夫しています。 撮影:母倉知樹、緋田昌重

nuka(店舗)

MABORI-K
自宅の近くに森を作り小屋を建てたい、そんな依頼だった。自宅から歩いて行ける距離に非日常の世界を作る。遠い別荘地に時間をかけて行くのではなく、別荘地に自宅の近くへと来てもらう。駅近、住宅地でありながら、そこだけ別荘地然としてある姿は合理性の塊のようでもあり、また、古材の扉やモルタルの壁、囲炉裏や薪ストーブといった要素で組み上げられた建築は非合理性の塊のようでもある。1階には大きな木製建具で庭から地続きとなる土間、そして小上がりの畳スペースがある。畳の中心には囲炉裏があり、庭にある畑で収穫した野菜を楽しむ。地面の近い1階とは対照的に2階は空に開く。階段、リビング、個室にはトップライトがあり北側の壁に自然光を落とす。南面に張り出したテラスは外部でありながら、暖簾を下げる事により内部的な空間となる。リビングからは壁、床、天井がテラスに向かって延び、床、暖簾の隙間から光の入る優しい延長空間となる。そのテラスからは物見台へと上がれる。テラスから空へと建物を貫くような階段は空だけが見える真っ白な空間。素材感のあるこの建築に対して白い無機質な空間は違う世界への入口のようでもある。その異空間を通った先には東京湾が広がり、振り返ると富士山が望める。ここでは合理と非合理、住宅地と別荘地、新と旧、地面と空、有機と無機、海と山、様々な対照的なものが混ざり合っている。

サカイデザインネットワークの写真集3

京都貴船 料理旅館ひろ文
京都貴船にある料理旅館「ひろ文」の改修計画である。 当旅館のある貴船は夏の川床料理で知られる名所で、峡谷に旅館が建ち並ぶエリアである。敷地周辺を歩けば、貴船川から涼しげな川音が聞こえてくる。水の神様を祀る貴船神社もほど近く、古くから山水と親しい地域である。このような豊かな自然を宿泊体験の中に入れることをコンセプトに設計を行なった。 改修計画はもともと食事室であった古家を3つの宿泊室にする計画である。訪れた人々が四季折々の自然を楽しめるように、メインとなる主室および浴室を庭と一体的に計画した。すべての浴室は庭に面して配置し、川音に耳を傾けつつ山の景色を眺めながら入浴できる空間とした。浴槽は山でとれる鞍馬石でつくり、浴槽の脇には貴船川の川石で構成した坪庭を添えている。そして坪庭には山水を引き、吐水口から直接触れることができるように設えた。お湯で火照った身体を山水で冷まして癒されるといった、宿泊体験の中で山の力を感じ取れる場所となっている。 欄間は先代から継承したものを設置して、重ねてきた時間の味わいも取り入れている。貴船の素材で和の情景をつくり、プロポーションと光によって凛とした佇まいをつくる。現代において変わりゆくものは多いが、貴船には変わらない風景がある。故郷に帰ってきたような心温まる建築を目指した。


