
HIYOSHI-K
設計者情報
敷地は周囲を住宅に囲まれた谷のような極端に細長い場所だった。そんな場所で求められたのは、明るく、風通しの良い家。セオリー通りに南にまとまった庭を取ると、庭に面さない奥の部屋は谷底のように暗くなってしまう。そこで、細長い敷地をあえて細長く分割し、東に光の落ちる庭を取った。そして、更に細長く、千切りをするように、東から、部屋、階段、スロープと建物のボリュームを縦に三分割した。そうする事で、全ての部屋はその庭に面する事ができ、庭からの光を享受できる。また、細長い敷地に対して、庭、部屋、階段、廊下をあえて細長くすることで、一般的なスケールの住宅には無い「長さ」や「距離」が感じられる、ちょっと遠い場所が生まれる。すぐ上とか、すぐ隣に見えている場所にすぐには行けない、近くて遠い、遠くて近い、そんな距離感が広さとはまた違う拡がりを与えてくれる。同時に、この住宅では表と裏を意識した。空が近く、木の床、高い天井で、温かく明るい表の空間。地面が近く、土間の床、低い天井で、静かな落ち着いた裏の空間。直方体のボリュームを床スラブと階段で斜めに立体的に分割した二つの世界を長いトンネルが繋いでいる。もう一つ、この表と裏は床の隙間の細長い窓で繋がっている。この窓には一般的なアルミサッシを使用した。現代の日本の住宅で欠かせなくなったアルミサッシは、特別な意味を持つに至ったと思う。それは内部と外部を間仕切る絶対的な境界。安価で施工も容易い絶対的な境界を、内部と外部、表と裏、水回りと床下に、ヒエラルキー無く多用する事で、無意識に刷り込まれた境界線を曖昧にする。表と裏の世界、ぼやけた境界、段々畑のようなスキップフロア、坂道のような階段、トンネルのようなスロープ、小さな箱に詰め込まれた様々な要素が谷を明るく照らしてくれる。家の中の至る所から子供の遊んでいる姿を見ることができる、文字通りの明るい家となった。
間取り図
基本データ
- 作品名
- HIYOSHI-K
- 所在地
- 神奈川県
- 家族構成
- 夫婦+子供2人
- 敷地面積
- 148.37㎡
- 延床面積
- 112.83㎡
- 予算
- 2000万円台
設計者情報
この建築家が建てた家
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70㎡というコンパクトな敷地の中で面積を確保するために、平面は敷地をオフセットさせた形をベースとした。北東と北西の隣地境界線側には北側斜線の制約がある。まずは斜線制限ギリギリの断面形を立ち上げた。そして必要と思われる高さとなったところで、南東道路に直行する棟を設けた。棟からは屋根下の空間に適切と思われた緩急二種類の勾配で折り返すこととした。結果として人通りの多い南東道路に対して、切妻の家形の構えをとる少しだけ屋根が複雑な、3階建ての外形が出来上がった。 室内は閉じることが必要とされた部屋以外を全て繋がった空間とすることで、建主が求める「おおらかさ」に答えようとした。3層を貫く螺旋階段を含んだ吹き抜けを設け3つの階を結びつけた。その上でそれぞれの階の様相の違いにより、縦につながるワンルーム空間に様々な生活の場を作りだすことを考えた。 1階は南東道路側に駐車スペースを設け、残りを室内とした。室内は、水廻り以外を4本の柱が立つワンルーム空間として作った。柱間には建具の脱着を想定したレールなどを装備し、建具の付け外しでワンルーム空間から、四つの分節した空間(三つの子供室+玄関ホール)に様変わりできる可変的な空間として作られている。 2階は南東の道路から見て奥となる北西側をダイニングキッチンとして、表となる南東側は切妻の屋根形状に沿った二層吹き抜けのリビングとした。南東道路に面したバルコニーもリビングと同じような屋根形状に沿った二層吹き抜け空間としている。 3階は閉じた主寝室の前に小さなホールを設け、建主のリモートワークスペースとした。リビングからのある程度の距離感を求められたので、吹き抜けに対しては一旦壁で仕切り、小窓で繋がる空間とした バルコニーの軒天井は構造材と野地板をあらわしとした。勾配が急な棟の北東側では、梁は構造上は斜めの柱として扱われ(60度を超えると柱扱い可)、やや勾配が緩い南西側ではリビング側からの持ち出しの梁として扱われる。その扱いの違いが軒天井にあらわれている。 バルコニーは北東の隣地側には壁で閉じ、隅切りと南東道路側に対しては一旦開いた構えとした。その上で金属でフレームを作り、1.1mまでをルーバーで覆った。さらにその上に簾が取りつけられるような金物を設け、簾の開閉で外部からの視線の侵入量の調整を可能にした。 準防火地域内の木造3階建ては多くの場合、準耐火建築物として構造体を石膏ボードで包む必要がある。そのため予算の制約がある住宅の場合は、ビニルクロスの白い壁と天井という単調な仕上げとならざるを得ないことが多い。 この住宅では外壁の開口部制限をすることなどで、準耐火建築物とすることを避けて法に適合させることができた※。 その結果1階の独立柱や、1・2階の梁などを石膏ボードの被覆無しとすることが可能となった。また外壁を構成しない壁については仕上げの制約がなくなりラワン合板を直接貼ることが可能となった。その結果ひとつながりの空間の中で様々な異なる生活の場を作るということを、仕上げの扱いでも補強することができた。 またこの内装材などの扱いは、素材感を活かした家づくりを望まれた建主の気持ちに答えようとした結果でもある。 ※建築基準法施行令第136条の2に規定されている「3階建て建築物の技術的基準」

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敷地は新しく造成された住宅地に位置し、計画を始めた頃はまだ周囲に空き地が多く残り、そのためか建ちつつある住宅はまだ街並みに関心が殆ど払われていない建物ばかり。殺伐とした街並みが形成されつつありました。 設計当初、中庭形式のL字型あるいはコの字型の周囲の環境から閉ざしたプランから考え始めましたが、プラン自体の明快さになかなか至ることができずにいました。 そんなある日、6角形の外形を敷地の中心に置いたところ、全ての室がそれぞれの関係性を保ちながら有機的に展開する、ワクワクするプランが見えてきました。また4角形の敷地と建物の間にできた余白に植栽を施すことで窓先の景色として上手く機能するばかりか、その植栽が街区にとって緑地として貢献できるような、庭に包まれた住宅が出来上がりました。 6角形の辺に沿って回遊できるプランは居場所が連なることで空間的に奥行きを感じさせています。多くの居場所を散りばめることで6角形という強い形を忘れさせるような、やさしい印象の住まいになったと思います。

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完全分離型の2世帯住宅の計画。 3階建てが立並ぶ、都心の住宅地。築40年近い施主の両親が住んでいた実家を建替え、両親と同居できる完全分離型(玄関、水回りが別々)の2世帯住宅にする計画。2世帯住宅にするといっても、土地の大きさは24坪で前面道路が約4mのため建てられる床面積が、160%にまで減ってしまい、合計の床面積40坪弱の中に、2世帯合計で6名、5部屋+納戸、LDK2つと水回り(洗面やお風呂)を別々に入れ込む難易度の高い設計となった。1F~3Fまで吹抜がるある案や、スキップフロア等様々なアイディアを検討した結果、施主の希望もあり最終的には、1Fは親世帯、2,3Fに子世帯で過不足なく個室もとったシンプルなプランにまとまった。 敷地は間口よりも奥行きが長い長方形の土地。周囲3方を3階建てや2階建てに囲まれていて日射の条件が悪い状況だった。周囲の2階建ても将来的には3階建てに建て替わることが予想されるため隣地からの採光も期待できない。そのため前面道路側から最大限採光できること、道路と家の関係性に着目して設計を進めた。 「世帯を丁度良く繋げる」 2世帯住宅の問題点は、世帯間の距離感だ。一体的すぎても良くないし、離れすぎていても味気ない関係となってしまう。玄関も別々な完全分離型の2世帯住宅は階によって分断されてしまうため、この分断された距離感を丁度良くつなげる方法として、道路側にたくさんの大きな開閉窓設け道路側のスペースを介して間接的につながるような計画とした。大きな窓は採光の役目も果たしている。 前面の4m巾の前面道路は車通りが少ないので、子供たちの遊び場となっていて、その庭のようなスペースから家をみると、個々に設けられた窓から両方の世帯の窓やそれぞれの部屋が一度に見えて子供が遊んでいる風景と家の内部の上下階の空間が間接的につながる。すべての窓には庇がついており、雨でも窓を開けることができる。窓を開ければ、ダイレクトに道路(街)と繋がることができる。 3階建ての住宅の場合は、道路側にバルコニーがくるこが多く、居住空間と道路(街)との間に隔たりができるような状態が多いが、本立地では丁度良い巾の静かな前面道路があったので、思い切ってダイレクトに居住空間と街が繋がることができる計画とした。街との距離が近づくと近所の人との距離感も近づいてくる。ずっと前からこの土地に住んでいる施主や環境との兼ね合いが合致したのでできる計画だが、居住空間を街から隔離するのではなく開くことによって、単純な4mの道路と家の前の駐車場が近所の人たちや子供たちや世帯間の憩いのスペースとなった。 なお、道路側の壁耐力はスチールブレースによって担保され、耐震等級も2以上の数値でクリアしている。 空調の計画は第三種(自然吸気、機械排気)だが、1Fの親世帯エリアの床にガス温水式の床暖房を設置し、暖かい空気が上階へと流れるようにしており、また最上部で集熱した空気を、基礎内に戻して家全体の空気の循環を測り、自然の熱エネルギーも利用した効率よい空調、断熱の計画としている。3階建てにありがちな上下階の温度差を緩和している。施主曰く、冬でもエアコンいらずで過ごせるとのこと。 休みの日は、子世帯が前庭で遊んでいるのを、窓ごしに祖父母が見ている。 窓を開けて会話をしたり、テレビを見ながらぼんやりと外を眺めるなど。。 特徴的に設けられた庇のついた窓が、2世帯住宅での世帯同士や街と家との心地よい関係をつくることを願っている。

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中山のロの字のコートハウス
高松市西部。五色台のふもとに広がる田園風景を走る「さぬき浜街道」沿いに、牧歌的なロケーションの中で異彩を放つ箱型の建物が目に入ってくる。とことんシンプルさを追求したスタイリッシュなデザインが印象的な平屋で、底抜けに明るいご夫婦と4人姉妹の子どもたちがにぎやかな毎日を過ごしている。 建物は中庭を取り囲む回廊状にすることで、家全体に光と風を効率よく取り込むともに、周辺からのプライバシーを確保。さらに、交通量の多い幹線道路の騒音抑制にも成功している。 家族が集まるLDKは、大胆な勾配天井を施した心地よい空間。中庭を望む大きな窓から差し込んでくる陽光を受け、シナベニヤの天井やメープルの床板が優しく光を拡散させている。その中でもLDKの主役としてキッチンの前に鎮座する巨大なカウンターテーブルの存在感は圧巻。 LDKから洗面、浴室、子ども部屋への移動もスムーズで、家族6人が一緒に居ながらも窮屈さを感じない居住空間を実現している。

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