
サカイデザインネットワークの写真集3
設計者情報
撮影:アトリエあふろ(糠澤武敏)
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この建築家が建てた家
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Plasum Ogikubo

堺スイミー総合クリニック
大阪の堺市に開業した「堺スイミー総合クリニック」である。 内科、外科、美容医療といった複数の診療科目があり、ビル内の限られた区画に多数の医療諸室を機能的に計画している。地域の利用者が落ち着ける居場所であること、清潔感と心穏やかな空間を両立することをコンセプトに設計を行なった。 クリニック名は絵本の『スイミー』(レオ・レオニ作)に由来する。そこで、スイミーの物語をヒントに設計することを考えた。スイミーは1匹の小さな魚の物語であるが、スイミーだけが他と異なる個性を持っている。クリニックの空間にも、たくさんある部屋の中にひとつだけ雰囲気の異なる部屋をつくった。その部屋は凹凸した暖かいベージュ色で、白い医療空間とコントラストを生みながら安らぎや落ち着きをつくりだす。凸凹は本を置いたり、待合ベンチになったり、診察室への出入口になっていたりと、利用シーンに合わせて様々な使い方ができる。診察室や施術室は白を基調とし、最新の医療設備に対応している。清潔感と落ち着ける空間の両立。心穏やかでやさしさに溢れるクリニックができあがった。

北栄キリスト教会
札幌の北区、新琴似に1981年に建てられた木造会堂の老朽化に伴う建て替えです。 旧会堂は北海道で活躍された田上義也氏による基本計画に従い建設され、外観および内部空間は独特の雰囲気のあるものでした。 新会堂の設計では旧会堂のエッセンスを持ちながら以下の点に配慮しました。 ・降り注ぐ光にあふれる礼拝堂、自然光の豊かで力強い光をやわらかく取り込む。 ・音響にこだわった計画にする。 ・旧会堂の面影を残しつつ、耐久性、耐震性の高い建築とする。 ・フレキシブルに利用できる内部空間とする。 のびやかに弧を描く大きな庇は、全ての人々を守るという「幕屋」をイメージしています。 各諸室の基本レイアウトは旧会堂を基本にしており、礼拝堂も旧会堂同様、2層吹き抜けとすることで空間的にも音質時にも豊かな祈りの空間としました。 礼拝堂上部に設けたハイサイドライトからは柔らかい光が隅々まで差し込み、要所に設けられたスリット窓からはそれぞれの空間を浮かび上がらせるための効果的な自然光が差し込むようにしました。 基礎部分は軟弱地盤における耐震性と断熱性を考慮し、地盤免振工法(コロンブス工法)を採用しています。

京都貴船 料理旅館ひろ文
京都貴船にある料理旅館「ひろ文」の改修計画である。 当旅館のある貴船は夏の川床料理で知られる名所で、峡谷に旅館が建ち並ぶエリアである。敷地周辺を歩けば、貴船川から涼しげな川音が聞こえてくる。水の神様を祀る貴船神社もほど近く、古くから山水と親しい地域である。このような豊かな自然を宿泊体験の中に入れることをコンセプトに設計を行なった。 改修計画はもともと食事室であった古家を3つの宿泊室にする計画である。訪れた人々が四季折々の自然を楽しめるように、メインとなる主室および浴室を庭と一体的に計画した。すべての浴室は庭に面して配置し、川音に耳を傾けつつ山の景色を眺めながら入浴できる空間とした。浴槽は山でとれる鞍馬石でつくり、浴槽の脇には貴船川の川石で構成した坪庭を添えている。そして坪庭には山水を引き、吐水口から直接触れることができるように設えた。お湯で火照った身体を山水で冷まして癒されるといった、宿泊体験の中で山の力を感じ取れる場所となっている。 欄間は先代から継承したものを設置して、重ねてきた時間の味わいも取り入れている。貴船の素材で和の情景をつくり、プロポーションと光によって凛とした佇まいをつくる。現代において変わりゆくものは多いが、貴船には変わらない風景がある。故郷に帰ってきたような心温まる建築を目指した。

ヤマノイエ

nuka(店舗)

朝日スポーツクラブ 貝塚スイミング
健やかで、安全に。 自然光のもとで、皆に見守られながら、泳ぐことができるプールを考えました。居合わせた皆で子供たちを見守ることができるように、エントランス、ギャラリー、プールを一続きの一体空間とし、柱のない見通しのよい空間としています。プール内のお子さんは、皆に見守られていることを感じ、安心して学ぶことができます。さらに、北面全面から安定した自然光を、南面からも柔らかい外光を取り入れることで、一体空間が自然光で満たされる清々しい空間となっています。外観は、ヨットの帆のように突き出た2本のマスト柱が建物のシンボルとなり、子供たちに親しみを感じてもらえるよう工夫しています。 撮影:母倉知樹、緋田昌重

蒲郡の店舗併用住宅

TAKENISHI TERRACE
これは、商店街に面する老朽化した貸ビル解体後の、土地利用の更新のあり方に向き合ったプロジェクトです。 敷地は大分市中心部、地元で最も古い商店街の西端。かつての賑わいは影を潜め、アーケードは通り道と化していました。この街で不動産賃貸業を営むクライアントから、解体後駐車場にする予定の敷地の一角に、小さなテナントスペースと人々が憩える公園のような居場所を作り、もう一度この界隈に賑わいを取り戻したいと依頼を受けました。 日常の延長線上にあるもの、何気ない日々の生活に彩りを添えてくれる、そのようなテナントのイメージがありました。 また、アーケードを挟んだ正面には、同クライアントが所有する複合施設wazawazaビル(※1)があり、二つの施設が連動しながら一緒に街を盛り上げていくことも要望の一つでした。 人を惹きつける空間には、作り手側と共通の認識で場を盛り上げていってくれる入居者の存在が必要不可欠だと捉え、先に入居者を決めてプロジェクトを進めるコーポラティブな場の作り方がここでは相応しいと考えました。 また、建築は小さいながらも、複数の店舗と内外に様々な居場所を作ることで、賑わいや多様な体験ができるようにしました。 そうして決まった3つの店舗は行き止まりとせず、回遊性を持たせ、いずれかの店舗を訪れた人が他店にも立ち寄る動きを促すよう丁寧に建具の位置を検討。 解体時に掘削した地盤面は埋戻さず、その形状を生かし囲まれた落ち着きのある共有スペースに。 ふらっと立ち寄れる店先空間や、季節の移ろいを感じるテラス席は、誰もが気軽に訪れる公共空間としての質を高めています。 商店街への雨の降り込みを最小限に抑えながらアーケードと建物の縁を切ることで光や風を商店街へ届ける。建物を介して表と裏がつながる。それら少しの違和感が通りゆく人々を惹きつけ、ふと立ち止まるきっかけとなっています。 wazawazaビルの増改築の過程で生まれた路地を建物内に引き込み、2棟を貫く路地もこのエリアの魅力を引き出す一端を担っています。 竣工して数ヶ月が経ち、明らかに人の流れやこの界隈を訪れる人の量が変わったと感じます。 この場所が人の流れを活性化し、現在の不安な日々の希望となるよう、設計の枠を超え積極的にこの場に関わっていこうと思っています。 ※1 wazawazaビル(WZ bldg.):塩塚隆生アトリエ 塩塚隆生氏設計により2009年完成




