
緑が丘自治会館
設計者情報
隣は郵便局、南側は近くの図書館や学校につながる車や人通りの多い道路に面している。 築80年の木造2階建て自治会館の建替えである。建主は地域への貢献の意味を込めてこれまで自治会に無償で建物を提供してこられた。 今回の建替えにあたっては2・3階を単身者向け共同住宅とし、その賃貸料で建築費を賄うという計画になっている。これまで建っていた80年という年月以上に永く使われることを目指し、建物の耐久性をあげる努力と共に、将来の間取り変更や用途変更にフレキシブルに対応出来るよう、建物は4本の鉄骨柱と梁のみで構成している。 高齢の方の利用が多い自治会館部分は、居心地良く過ごせるよう小さな庭に面したベンチコーナーを設えた。共同住宅のバルコニーにはスチール製のガラリ戸を設け、プライベート性の高い半屋外をつくり、建て込んだ住宅街にあるワンルームマンションでありながら暮らしの質を高めている。 建物正面には地域の方から寄贈されたヤマボウシが植えられた。この建物が愛着を持って末永く活用される場になることを期待している。
基本データ
- 作品名
- 緑が丘自治会館
- 所在地
- 東京都 目黒区
- 敷地面積
- 136.07㎡
撮影:小川重雄
設計者情報
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京都貴船 料理旅館ひろ文
京都貴船にある料理旅館「ひろ文」の改修計画である。 当旅館のある貴船は夏の川床料理で知られる名所で、峡谷に旅館が建ち並ぶエリアである。敷地周辺を歩けば、貴船川から涼しげな川音が聞こえてくる。水の神様を祀る貴船神社もほど近く、古くから山水と親しい地域である。このような豊かな自然を宿泊体験の中に入れることをコンセプトに設計を行なった。 改修計画はもともと食事室であった古家を3つの宿泊室にする計画である。訪れた人々が四季折々の自然を楽しめるように、メインとなる主室および浴室を庭と一体的に計画した。すべての浴室は庭に面して配置し、川音に耳を傾けつつ山の景色を眺めながら入浴できる空間とした。浴槽は山でとれる鞍馬石でつくり、浴槽の脇には貴船川の川石で構成した坪庭を添えている。そして坪庭には山水を引き、吐水口から直接触れることができるように設えた。お湯で火照った身体を山水で冷まして癒されるといった、宿泊体験の中で山の力を感じ取れる場所となっている。 欄間は先代から継承したものを設置して、重ねてきた時間の味わいも取り入れている。貴船の素材で和の情景をつくり、プロポーションと光によって凛とした佇まいをつくる。現代において変わりゆくものは多いが、貴船には変わらない風景がある。故郷に帰ってきたような心温まる建築を目指した。

森美術館
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GGインターナショナル保育園不動前
保育と普請 待機児童が年々増加する状況に見られる通り、乳幼児が1日の大部分の時間を過ごす場所として保育園は子供の成長過程に与える影響が大きい。子供の生活空間といっても過言ではなく、そのあり方は現代における住宅のスタイルとの対比で考えなければならない。現代の住宅は、言わずもがな日本の住文化が培ってきた様式や技術を捨ててきている。意匠としての和風というもののみならず、畳の床での床座という生活スタイルからフローリングでの椅子座への変化、大工の棟梁が丁寧につくる木の造作に溢れた空間から新建材に覆われたレディメイドの空間。経済原理と効率性にもとづく時代の変化の流れに抗うことは難しいが、多くの子供達が集まる保育園という場所において、現代の住環境が失ってしまった価値を幼児期の記憶に埋め込めないかと考えた。GG KIDSインターナショナル保育園は、英語で保育を行う保育園であり、その教育方針とも、「国際化の第一歩は自国の文化への理解である」という信条が合致した。 その信条の元、この保育園はテナントの内装だけではあるものの、内装のほとんどを木工事で行い、大工の丁寧な手仕事を活かしきることを意図した。 欄干で仕切られた通路空間、床をもつ和室など、伝統的な住宅の要素を保育スペースにアレンジしながら居場所を作っている。 奥の2層になったスペースは、大人が立てない天井高さの子供に最適化された場所として、人工芝であったり、デンと呼んでいる洞穴のようなスペースなどがあり、子供が空間自体を楽しめるつくりとなっている。デンの天井は三次曲面でできた左官の天井としている。これも職人の技あってのものである。 「普請」いまではあまり使われなくなったこの言葉を、現代に生きる子供たちの空間を作る上で再び考えてみたいと思った。

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