
リノベvs新築!
悩み抜いた結論が、住んでからの毎日を変えた
改修と新築、悩み抜いて出した選択が豊かな生活につながる
いい場所があれば、今の家を売り、貯めてきたお金と合わせて新しく広い家に引っ越したい。それとなく気にしていたが、なかなか思うような土地に出会えなかった。おそらくこれが家を買うということでは人生で最後の機会になると思うと、簡単には妥協できなかった。そうこうしているうちに何年も過ぎてしまい、いま住んでいるこの場所で終の住処を考えようかとも思い始める。土屋さんに出会ったのはそんな頃だった。
「初めは改修でお話をいただいたのですが、改修にしては潤沢な予算をご用意されていたんですね。そこで、取り壊して新築する案も考えられるとお伝えしたところ、2回目の打ち合わせから、新築案と改修案の両方を検討することになりました」、と土屋さん。
新築案ならば西向きに建っている既存の家屋を解体し、夫婦の生活にちょうどいいサイズに減築して、南向きに建て替えることもできる。太陽光パネルを設置する話もあり、発電効率をあげることも考えられた。比較的、自由度が高いのが新築案のメリットだった。一方、改修案にもメリットはあった。躯体の部分を再利用できるため、設備や仕上げに充分な予算をかけられる。コスト面では改修案がかなり有利だった。
土屋さんは複数案を用意する手間を惜しまず、それぞれの良さを活かした案を提示した。いずれも劣らぬ案で、長谷川さんは改修にするか、新築にするかを決断する際には随分、迷い、悩んだという。
「良い家に住みたいという気持ちは、かなり昔からありました。でも、いざ決めようという段になると、これが最後という思いもあって、なかなかパッとは決められませんでしたね。土屋さんとお話しているうちに、この家を壊すのが忍びないような気もしてきて。もっと広い家に住みたいという漠然とした希望はありましたが、どうしてもここが嫌だというわけではありませんでしたから。この家は結構、気に入っていたんです」と長谷川さん。長年、住み慣れた場所でもあり、子育てを通じた近所付き合いもあった。
結局、悩み抜いて、改修をする方向に落ちついた。土屋さんと打ち合わせを進めていくうちに、改修でも印象は随分と変わることに気付き、建て替えたと同じぐらいの効果はあるだろうと感じるようにもなったという。「実は、建て替えた直後は、本当に良かったのかなと思ったりもしました。でも、これだけ考えて出した答えですから」と長谷川さん。
改修案にしたことで、予算にも余裕がうまれた。オーブンや照明など、土屋さんと吟味して新たにとりいれたものは、どれもきちんとした良いもので、生活のグレードをあ上げてくれた。ストーブに使う薪をわり、家庭菜園に挑戦し、長谷川さん自らケーキも焼く。大きな生活の変化はないが、住まいが改まり、楽しみも増えた。30年あまり暮らした思い出のつまった家は、ゆとりのある夫婦にふさわしい、スローな暮らしが楽しめる住まいに生まれ変わった。
改修案で残した緑が、手づくりの暮らしを叶える
庭には、部屋につながるデッキを設けた。遊びに来ていたお孫さんのためのプールが置かれ、ちょうどすぐ脇にたっている柿の木がデッキに影を落としている。「うまいこと、ずっと陰になるんです。この下のベンチに座っていると、涼しくていいですよ。軽井沢っていうわけにはいきませんけどね」と長谷川さん。夜になって照明でライトアップされると、また雰囲気が良いと教えてくれた。
デッキの奥には家庭菜園ができるスペースもある。家庭菜園にはちょうどトマトが実っており、キッチンにはもぎ立てのトマトがカゴに盛られていた。
【建築家のコメント】
アプローチの緑の階段は、5×緑(ゴバイミドリ)という緑化デザインを専門に手がける会社に提案を受けたものを使いました。カゴに入った土に在来種を中心にした植栽が寄せ植えされていて、こういった垂直面でも緑を育てることができるんです。アプローチの表情もやわらかくなりましたし、長谷川さんにも気に入っていただいたようで、良かったですね。
西向きの庭は、日向と日陰が見えて、かえって庭としては面白いと、以前、勤めていた事務所の所長がよく言っていて。こうやってプールを置いていても直射日光になりませんし、実際に目にすると、こういう庭のあり方もあるなと学びました。
【お施主様のコメント】
時間もできたので新しいことを始めてみようと、野菜を育て始めました。野菜は同じものを繰り返し植えると、育たないんです。次に何を植えるかを考えたりして、野菜を育てるのも意外と頭を使います。Eテレなどで勉強して、ナスやジャガイモもつくりました。トマトは2株植えましたが、順調に収穫できていますよ。
柿の木のほかに、庭には柚子や梅もあります。季節になると花もきれいなんですが、干し柿をつくったり、梅酒をつけたり。鍋ものには柚子を使います。なるべく庭にあるものを日々の生活に使って、色々な意味で手づくりの生活にしていきたいなと思っています。
薪ストーブでリビングを楽しむ、ゆったりとした暮らし
蓼科に持っている別荘で費用をかけずに薪を調達できることもあって、経済的でもあった。火が消えてからも、じんわりと暖かさが残るため、燃やしているのは夕方の6時から夜の9時ぐらいまで。揺り椅子に座って、パチパチと燃える炎を眺めるのは気分が良いと長谷川さんは言う。
基本データ
| 所在地 | 神奈川県横浜市 |
|---|---|
| 敷地面積 | 211.50㎡ |
| 延床面積 | 133.75㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども1人 |
撮影:Mizuho Hasegawa
設計者情報
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