
天然素材と杉の香りに包まれる!
14坪に実現した5人家族の団欒
目指したのは「合板を一切使わない家づくり」
そんなIさんの強い希望で全面的に使うことになった素材が、色つや、香りのよい低温乾燥させた国産材。柱や梁といった構造材だけでなく、下地にも杉を中心とした木材を使用。さらに科学物質の流出を避けるため、室内には木や和紙や左官といった自然由来の素材だけを使うことにしたという。一般的に室内の扉には木下地に化粧合板や科学系のフィルムシートを使用することが多いのだが、この家ではこれらも杉や和紙といった天然素材を使用。さらに押入れの中も和紙張りにするなど、細部までこだわった家づくりが進められた。
このこだわりは、家族が団らんのひとときを過ごす浴室にも生かされている。Iさん宅の自慢のひとつでもある、壁・床・浴槽までまるごと杉を使用した「木のお風呂」だ。湿気が多い浴室で杉材を使用すると、メンテナンス等の面で手間はかかる。だが、Iさんは、しっかり手入れをしながら、木の香りがするお風呂を楽しむことを選んだという。
「一般的にこれだけ木材を使うと建築費が上がってしまうのですが、今回は節材を使うことで、コストダウンをはかりました」と菰田さん。こうして予算の範囲内でありながら、Iさんの希望を叶えた家がみごと完成した。
個室スペースを最小限に抑え、家族が集う空間を確保
木造3階建てにすることで床面積を確保するという方法も考えられたが、木材をふんだんに使いたいというIさんの要望を叶えるべく、床面積は取れないながら、内装制限がゆるく柱梁を現して使用できる2階建てとするプランを提案。1階には玄関、寝室、水回りを配し、日当たりの良い2階には家族が集う食卓・居間と、子ども部屋となるロフトを設けることが決まった。
「ただ床面積を取ることよりも、Iさんの価値観や要望を踏まえて、豊かな空間を作るよう考えました」と話す菰田さん。その結果、個室スペースを抑え、その分を家族が集まれる空間に割くという明確なプランが出来上がったという。
家族ひとりひとりが自分のスペースにこもるのではなく、常に顔を合わせてコミュニケーションが取れる。そんな家族の姿をイメージして完成したIさん邸。限られた予算と条件の中で理想の住まいをつくる秘訣は「何を取り、何を捨てるか」を明確にすることなのかも知れない。
基本データ
| 所在地 | 東京都豊島区 |
|---|---|
| 敷地面積 | 46.71㎡ |
| 延床面積 | 60.18㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども3人 |
| 予算 | 2000万円台 |
| 施主 | I邸 |
撮影:新 良太
設計者情報
この実例を見た人はこちらも読んでいます

住んでたことが一生の思い出に。豊かな空間性が自慢の集合住宅
敷地に入ってすぐ「何だろう、この楽しさ!」と感じるT様のマンション。「ここは特別」とT様が言うマンションは、元・花市場だった広い敷地を生かしきった遊び心あふれる住まいだ。

緑あふれるテラスとLDKが1つになる。 家族の憩いを楽しむリゾート風邸宅
「リゾート風の空間で家族の時間を楽しみたい」。施主さまのそんな願いをかなえたのは、内と外のつながりを豊かに生み出す設計に定評のあるdesus(デサス)建築設計事務所。家づくりの新たなスタイルとなり得る「0LDK」の間取りも要チェックだ。

方形よさらば 新たな住宅のあり方を示した平行四辺形とアーチの家
「狭くても静かで安心して寛げる家」という施主からのリクエストはよくある話。しかし「庭があって開放的」「駐車スペースはマスト」という条件が加わると、そのハードルが一気に高くなる。間口10m奥行10m、2階までしか建てられない土地で、難条件をクリアし、家族の理想の家を実現したのは、「アソトシヒロデザインオフィス」代表阿蘓俊博さんが考えた、建物を平行四辺形にするという一見斬新とも思われるアプローチだった。

憧れのオーダーメイド輸入住宅が 「三方良し」の分離発注でリーズナブルに
海外の映画やドラマに出てくる素敵な家に憧れ、輸入住宅を建てたいと考える人の悩みが、その費用の高さだろう。愛知県に、他社では真似のしにくい方法で、高い品質はそのままにコストを抑えた輸入住宅を提供している建築家がいる。K2一級建築士事務所の小西勝彦さん。小西さんの家づくりに迫る。

田園風景に突如現れるモダンな平屋は、室内にも新しいLDK提案
自然に恵まれた長野県・松本の地に完成したM邸。「家族の存在を常に近くに感じられる家」というMさんの希望に応えて建築家の藤澤信也さんが提案したのは、家族が集うリビングやダイニングといった空間を「低い収納や段差などで緩く仕切る」というオリジナリティあふれるプランだった。

地域に馴染み、人も猫も楽しい毎日。 郊外の新生活を満喫する店舗兼用住宅
住宅から商業施設まで幅広く手がける建築家の吉田裕一さんが設計したA邸は、焼き菓子店を備えた店舗兼用住宅。テレワークする人、郊外に家をもちたい人、猫と暮らす人、お店をつくりたい人……さまざまな人にぜひチェックして欲しい見どころ満載の住宅だ。

『生活予想図』から生まれた!?自然素材の“行き止まりのない家
「内装から断熱材まで自然素材にこだわりたい」。小学生の息子さんを持つKさん夫妻の要望に応えて建築家の福田義房さんがつくったのは、地元・埼玉の木材など国産素材をふんだんに使った住まい。シンプルで、おおらか。住む人(や、猫)と共に変化する、家族のようなお家。

高低差のある土地をあえて活かす 設計の力で、ウイークポイントを強みに
高低差のある土地に住宅を建てる際は、切土や盛土で整形するのが一般的。しかし、あえて土地の形状を活かし、高低差を室内で解消するという方法で見事に難問を解決したのは、中尾英己建築設計事務所の中尾さんと重盛さんでした。

みんなの時間も1人のひとときも楽しい 光と笑顔あふれる大家族の家
施主は、家族6人に猫2匹という仲良し大家族。大家族の家は「リビングに集まる」か「個室にこもる」になりがち。この状況を設計の力で見事に解決してみせたのは、「環境とつながりから想像する場づくり」をコンセプトに活動する建築家、TAWs DESIGNの田辺さん。この家には、にぎやかに過ごすテラス、1人静かに過ごすインナーバルコニー、遊んでいる子供たちの様子を感じながら料理するキッチンといった、いくつもの居場所と家族の程よい距離感が心地よく共存している。
