
ryugon
設計者情報
冬の積雪が2mを超える新潟県南魚沼市にある、創業約50年の老舗温泉旅館「龍言」の改修プロジェクトである。過酷な冬と雪を、自然から与えられた恵みとして捉え直して活かし、雪国を象徴する新しいサスティナブルな旅館として再生することを目指した。建物は19世紀に建てられた古民家を移築してつくられていた。豪雪に耐えるための骨太で重厚な佇まいを今に残しており、一部は国の登録有形文化財に指定されている。雪国の建築は雪に対峙するために、極めて機能的で即物的な形状をもつ。龍言ではそれが過度になってしまっており、建物は暗く閉ざされていた。我々が試みたのは、その閉塞的な要素をすべて取り除くことであった。窓もなく閉ざされた長い廊下を外部化して風景や風との接点を増やし、風通しを確保するために一部の棟を解体した。徹底的な引き算のデザインを行い、建築と自然が接続されることで、歴史を引継ぎながらも、雪国の四季の豊かさという全く新しい価値を感じることのできるryugonへと生まれ変わった。
基本データ
- 所在地
- 新潟県南魚沼市
- 敷地面積
- 13,755.06㎡
- 延床面積
- 4,579.74㎡
撮影:繁田諭
設計者情報
この建築家が建てた家
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GGインターナショナル保育園不動前
保育と普請 待機児童が年々増加する状況に見られる通り、乳幼児が1日の大部分の時間を過ごす場所として保育園は子供の成長過程に与える影響が大きい。子供の生活空間といっても過言ではなく、そのあり方は現代における住宅のスタイルとの対比で考えなければならない。現代の住宅は、言わずもがな日本の住文化が培ってきた様式や技術を捨ててきている。意匠としての和風というもののみならず、畳の床での床座という生活スタイルからフローリングでの椅子座への変化、大工の棟梁が丁寧につくる木の造作に溢れた空間から新建材に覆われたレディメイドの空間。経済原理と効率性にもとづく時代の変化の流れに抗うことは難しいが、多くの子供達が集まる保育園という場所において、現代の住環境が失ってしまった価値を幼児期の記憶に埋め込めないかと考えた。GG KIDSインターナショナル保育園は、英語で保育を行う保育園であり、その教育方針とも、「国際化の第一歩は自国の文化への理解である」という信条が合致した。 その信条の元、この保育園はテナントの内装だけではあるものの、内装のほとんどを木工事で行い、大工の丁寧な手仕事を活かしきることを意図した。 欄干で仕切られた通路空間、床をもつ和室など、伝統的な住宅の要素を保育スペースにアレンジしながら居場所を作っている。 奥の2層になったスペースは、大人が立てない天井高さの子供に最適化された場所として、人工芝であったり、デンと呼んでいる洞穴のようなスペースなどがあり、子供が空間自体を楽しめるつくりとなっている。デンの天井は三次曲面でできた左官の天井としている。これも職人の技あってのものである。 「普請」いまではあまり使われなくなったこの言葉を、現代に生きる子供たちの空間を作る上で再び考えてみたいと思った。

CIRCULATION 梅田店
アパレルブランド、サーキュレーションの新店舗のデザインである。場所は大阪駅に隣接する商業施設内である。ブランドとしての洗練された印象と、落ち着いた空間をコンセプトに設計を行った。店舗全体を白とベージュのツートーンで統一し、端正な幾何学で構成している。壁面展示棚については、商品をディスプレイできるスペースであることはもちろん、表裏の関係でストックスペースを計画して店内の面積を有効活用している。その結果、ゆったりとした余白が生まれて心地よい空間となった。壁面展示棚はシンプルな白を基調に、間接照明の光やミラーを適切に配置しながら、洗練されたブランドイメージを創出している。中央什器については木古材の仕上げを取り入れて、アクセントとして優しく調和している。中央什器は店内のレイアウト変更のしやすさを考慮し、可動性を持たせ一人でも簡単に動かせるつくりとした。

サカイデザインネットワークの写真集1

森美術館
デザイナーのアトリエ兼プライベート美術館。山を背にして前方に川が流れ、周囲には田畑と農家が点在する素朴で生活感のある風景の中にこの建築はある。 「世界でもっとも美しい家」をつくって欲しいという依頼の言葉。アーチストの創作と思索の場をつくるために、風船を最大限膨らませたような、できるだけ大きな空間を用意した。 空間の大きさ、形、そこに注ぐ光、素材。そうした基本的な部分を慎重に計画し、すぐ近くに住む大工と左官が、地域で入手しやすい材料を使って作った建築。伝統的な工法を使ってはいるが、しかしこの建築は決して過去に戻ろうとしているのではない。 (撮影:中里 和人)

蒲郡の店舗併用住宅

緑が丘自治会館
隣は郵便局、南側は近くの図書館や学校につながる車や人通りの多い道路に面している。 築80年の木造2階建て自治会館の建替えである。建主は地域への貢献の意味を込めてこれまで自治会に無償で建物を提供してこられた。 今回の建替えにあたっては2・3階を単身者向け共同住宅とし、その賃貸料で建築費を賄うという計画になっている。これまで建っていた80年という年月以上に永く使われることを目指し、建物の耐久性をあげる努力と共に、将来の間取り変更や用途変更にフレキシブルに対応出来るよう、建物は4本の鉄骨柱と梁のみで構成している。 高齢の方の利用が多い自治会館部分は、居心地良く過ごせるよう小さな庭に面したベンチコーナーを設えた。共同住宅のバルコニーにはスチール製のガラリ戸を設け、プライベート性の高い半屋外をつくり、建て込んだ住宅街にあるワンルームマンションでありながら暮らしの質を高めている。 建物正面には地域の方から寄贈されたヤマボウシが植えられた。この建物が愛着を持って末永く活用される場になることを期待している。

SHOWROOM(OFFICE)

TAKENISHI TERRACE
これは、商店街に面する老朽化した貸ビル解体後の、土地利用の更新のあり方に向き合ったプロジェクトです。 敷地は大分市中心部、地元で最も古い商店街の西端。かつての賑わいは影を潜め、アーケードは通り道と化していました。この街で不動産賃貸業を営むクライアントから、解体後駐車場にする予定の敷地の一角に、小さなテナントスペースと人々が憩える公園のような居場所を作り、もう一度この界隈に賑わいを取り戻したいと依頼を受けました。 日常の延長線上にあるもの、何気ない日々の生活に彩りを添えてくれる、そのようなテナントのイメージがありました。 また、アーケードを挟んだ正面には、同クライアントが所有する複合施設wazawazaビル(※1)があり、二つの施設が連動しながら一緒に街を盛り上げていくことも要望の一つでした。 人を惹きつける空間には、作り手側と共通の認識で場を盛り上げていってくれる入居者の存在が必要不可欠だと捉え、先に入居者を決めてプロジェクトを進めるコーポラティブな場の作り方がここでは相応しいと考えました。 また、建築は小さいながらも、複数の店舗と内外に様々な居場所を作ることで、賑わいや多様な体験ができるようにしました。 そうして決まった3つの店舗は行き止まりとせず、回遊性を持たせ、いずれかの店舗を訪れた人が他店にも立ち寄る動きを促すよう丁寧に建具の位置を検討。 解体時に掘削した地盤面は埋戻さず、その形状を生かし囲まれた落ち着きのある共有スペースに。 ふらっと立ち寄れる店先空間や、季節の移ろいを感じるテラス席は、誰もが気軽に訪れる公共空間としての質を高めています。 商店街への雨の降り込みを最小限に抑えながらアーケードと建物の縁を切ることで光や風を商店街へ届ける。建物を介して表と裏がつながる。それら少しの違和感が通りゆく人々を惹きつけ、ふと立ち止まるきっかけとなっています。 wazawazaビルの増改築の過程で生まれた路地を建物内に引き込み、2棟を貫く路地もこのエリアの魅力を引き出す一端を担っています。 竣工して数ヶ月が経ち、明らかに人の流れやこの界隈を訪れる人の量が変わったと感じます。 この場所が人の流れを活性化し、現在の不安な日々の希望となるよう、設計の枠を超え積極的にこの場に関わっていこうと思っています。 ※1 wazawazaビル(WZ bldg.):塩塚隆生アトリエ 塩塚隆生氏設計により2009年完成









