
いつまでも成長し続ける
“手づくり感”いっぱいの平屋住宅
太陽と風の恵みを採り込む住まいに
移住先として選んだ場所は、都心から約2時間の千葉県茂原市。最寄り駅から徒歩40分、広大な田園風景に民家が点在する長閑な環境が気に入り、この地に約200坪の敷地を購入した。「新しい生活でやりたいことがたくさんあったので、できるだけ広い土地がほしかったんです」というご夫妻は、一方で、思い描いた住まいのイメージを形にしてくれる建築家を探していた。
そんなとき知人から紹介されたのが、建築家の加藤哲也。過去に加藤さんが設計した家を見て、「遊び、暮らしとも細部までこだわった“大人の住まい”を実現しれくれそう」と加藤さんへの依頼を決めたという。
実は、ご夫妻の希望として「光と風をいっぱい採り込める平屋」ということ以外、漠然としていた。「家づくりは、例えるなら、真っ白なキャンパスに絵を描くようなもの。風景を見ながら、自由に何を描いてもよいと思う」とNさん。つまり「コンセプトにとらわれず、可能性を広げたい」という発想だ。そんなご夫妻と、お二人の思いを察して加藤さんは打合せを重ね、プランニングを徐々に具体化していく。
試行錯誤の末、決まったプランのかたちは「H」の字を上からみたイメージ。「模型を見て『これだ』と納得しましたね」とご夫妻は口をそろえる。高い採光性と通風性を実現させるのに、「H」型は理にかなっている。それぞれの部屋からの眺めも楽しめそう。キッチンを軸にした広いリビング空間をハブにして仕事場、寝室、水場、ゲストルームの各部屋が接続するコンセプトが気に入った。というのも、ご夫妻はともにフリーランスで、「仕事に没頭できつつ、お互いの気配を感じられる空間」を希望していたのだ。
ダイニングキッチンを中心に、南面に大きな開口を持つ横長のリビング、東の両端に仕事部屋と寝室、西の両端にゲストルームと水廻りを配した間取り。「H」のくぼみ部分には、東にテラス、西にエントランスを設けている。さらに、玄関ホールが特徴的で、右にも左にも進めるようになっている。「行き止まりをつくらないよう意識したら、こうなりました」とご夫人。元気に走り回る愛犬と暮らすこともあり、自由に“回遊”できる動線は家族のお気に入りだ。
そのほか、デザインにもご夫妻のこだわりがつまっている。柱や梁、壁の構造材はすべてあらわし。「木の温もりにあふれた空間にしたかった」こともあるが、それ以上に強かったのが「仕上げは自分たちで」という希望だ。壁に色を塗ったりタイルを貼ったり、「建てたときの思い入れを残しておきたかった」とNさん。そんな気持ちを汲み取ったうえで、加藤さんは「ご夫妻にできること」を明確にアドバイス。Nさんのコンセプトを理解して施工してくれた田中兄弟工務所の存在も大きい。施主と建築家、工務店という関係を超えた、3者の固い信頼関係がうかがえる。
新築して約8年たつN邸だが、いまでも壁を塗り替えたり、新しい棚をつくったりと、「家づくりは現在進行形」という。これからもご夫妻は、“キャンパスの絵”を思い通りに描き続けるつもりだ。
“手づくり”で「思いを形にしたい」
“手づくり”のなかでもNさんが特にこだわったのが薪ストーブ周り。リビングの一角に、自身で購入したレンガを敷き詰め、ご夫婦で薪ストーブ周りをつくりあげた。Nさんは、「レンガをカットしたりきれいに並べたり、想像以上に大変でした」と振り返るが、「作業自体が楽しく、また思い通りに仕上げることができました」と満足そうなご様子。
さらに、Nさんは薪をしまっておく小屋まで敷地内につくった。燃料も手づくりで、毎年、薪用に仕入れる丸太などの木材を割る作業も楽しみという。
光と風をいっぱい採り込めるエコな家
【加藤 哲也さん コメント】
田畑や草花、四季折々に変化するこの風景のなかに、昔からそこにあったと感じられるような家になってほしいという思いで設計しました。この土地を選んだ夫妻が一日でもはやくこの地で望み通りの生活ができるようにと願ってのことです。
【夫婦 + ペット】
加藤さんは、言葉で表現しにくい希望まですぐに感じ取り、スケッチで描いてしれくれるなど、本当に私たちのことをよく理解してくれました。根本的な価値観が似ているのかもしれません。一緒に家づくりをした仲間であり、絆を感じています。
基本データ
| 家族構成 | 夫婦 |
|---|---|
| 施主 | N邸 |
設計者情報
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