
悠々たる美しい佇まい。
ハイエンドな暮らしを彩るモダン邸宅
佇まいに風格と表情を添える、
こだわりのコンクリート打ち放し
建築家の渡辺純さんが設計したこの家は、地下1階・地上3階建て。重層長屋形式の2世帯住宅で、2階~3階が施主さま世帯、1階と地下1階は賃貸世帯となっている。
都心の人気住宅街に自邸を建築すると決めた外国人の施主さまは、「日本でよく見るコンクリート打ち放しの家をつくりたい」との要望をもっていた。しかし、研ぎ澄まされた上質なモダン建築を得意とする渡辺さんは、この家を「よくあるコンクリート打ち放しの家」にしなかった。
まず、形が美しい。四角い箱をジェンガのように積み重ねた意匠性の高いフォルム。エントランス前は上階が4mも跳ね出し、宙に浮かぶように見える。
施主さまのリクエストであるコンクリートの外壁は、職人の手作業によるビシャン斫り(はつり)仕上げ。コンクリートに含まれる砂や石が現れてざらついた質感になり、有機的なニュアンスが生まれる。
家の顔であるエントランスまわりは、横筋目入りの洗い出しコンクリート。エントランス前のアクセント壁は、スギ板の型枠で斜めに木目をつけたコンクリート打ち放し。よく見るとスペースごとに仕上げが異なり、強い主張はないのに奥深い。
このコンクリートの質感に、澄みやかな清涼感をプラスするのがガラスだ。2階中央にはレトロクラシカルなガラスブロック。エントランス上部の2階、3階の窓には、透明度が高くクリスタルのような輝きをもつフランス・SAINT-GOBAIN社製の高透過ガラス。
間口をゆったり取った贅沢な造りと端正なフォルム、吟味された素材が調和する佇まいには気品すら漂い、街の景観までもがランクアップするかのよう。美術品を愉しむように、しばらく眺めていたくなってしまう。
多彩なくつろぎスペースで、
家族や友人との時間を豊かに過ごす
一方、ご家族5人で暮らす施主さま世帯は、1階エントランスから階段を上がった2階と3階。2階には広々した来客用リビングのほか、家族のためのファミリーリビング、ダイニングキッチン、大きなルーフバルコニーがある。
驚くのはダイニングキッチンの広さだ。来客用リビングと同じくらいの床面積を取り、壁沿いには間接照明入りのガラスの食器棚。隣家の豊かな緑を望む窓際には、長いコーナーカウンターもある。聞けば、3階に子ども室はあるものの、施主さまはキッチン内にお子さまたちの勉強スペースを設けることを望んだのだそう。木漏れ日が入るコーナーカウンターで勉強するお子さまを、奥さまが温かく見守る幸せな日常が目に浮かぶ。
ダイニングキッチンの先には、ルーフバルコニーと一体感のあるファミリーリビング。ルーフバルコニーは開閉可能なオーニング付きで、屋外パーティーを楽しむアウトドアリビングとして大活躍。家族や友人との憩いの舞台になる空間はどこも居心地がよく、暮らしの1つ1つのシーンを豊かなものにしてくれる。
骨董家具が引き立つ、
上質を極めたシンプルモダン
来客用リビングにある岐阜・虔山社製の立体タイルを使った壁も、シンプルな空間に上品な華やぎをもたらす。この壁は穴を開けた立体タイルを透かし積みにした贅沢なもの。文句なしに美しく、施主さまがお好きなシノワズリのインテリアとも好相性。格調高い希少な家具に、焼き物であるタイルならではの高級感や温かみがとてもよく合うのだ。
渡辺さんはいう。「私は、建築はあくまで住まうことの“うつわ”だと思っています。施主さまはシノワズリの素晴らしい家具や小物をたくさんおもちでした。ですからこのお宅では、それらを建築的に支えることを目指しています」
あるインテリア誌の編集者はこの家を見て、「こんなに趣味がいいお宅は見たことがない」と驚いていたという。どんな高級家具も、何の変哲もない急ごしらえの空間に置かれたら台無しだろう。だが品格あるシンプルモダンに徹したこの家は違う。個性的なシノワズリ家具を引き立てる、最高の“うつわ”となっている。
施主さまはこの邸宅を大変気に入り、渡辺さんは施主さまの紹介でご友人の住まいも設計することになった。「大切な人の家づくりも、この人になら託せる」。良質なモダン建築を知り尽くした渡辺さんがつくる住宅は、住まう人にそう思わせる魅力にあふれている。
基本データ
| 所在地 | 東京都渋谷区 |
|---|---|
| 敷地面積 | 318.64㎡ |
| 延床面積 | 552.20㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども3人 |
| 予算 | 1億円台 |
| 施主 | J.N.邸 |
撮影:Toshiharu Kitajima
設計者情報
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