
窓に大自然、室内にアート!
別荘こそ愛着のあるものに囲まれたい
アーティスト作品を二人三脚で再編集した別荘づくり
「計画にあたって、Fさまがやりたいことがあるとおっしゃって。お持ちだった丸いステンドグラスを使った仕掛けですね。まず、そこからプランが始まりました」と渡辺さん。ステンドグラスを玄関ポーチの天井にはめ込み、2階に上がると、それがテーブルの天板になっている。そんな仕掛けをFさまは考えていた。
このステンドグラスは、Fさまのアートコレクションのひとつ。日本にはないデザインに魅了され、ご自身の経営するフラワーショップにも同じアーティストの作品を置き、自宅にも数多くのコレクションがある。毎日の暮らしと切っても切れないほど愛着をもっているコレクションが、家づくりのたいせつな部分として、コンセプトとなっていった。
そんなFさまにとって大切な作品の数々が、この別荘ではあらゆるところに使われた。玄関ポーチの丸いステンドグラスを筆頭に、照明、ベッド、チェア。家具から建具まで、インテリアのほとんどにしつらえられている。
渡辺さんはアートを引き立てるように家をつくっていった。地元では相当の審美眼の持ち主として知られるFさまは細かい部分まで目が利くが、建築の専門家ではない。別荘全体として作品がいきるようにするためには、渡辺さんの建築家としての働きが欠かせなかった。
この別荘に使われた作品のなかには、もともとのFさまのコレクションに加え、この別荘のために作ってもらった作品もある。たとえば、照明。渡辺さんがスケッチを書いて図面に落とし、海外のアーティストに送ると、図面をもとに製作された作品を送ってくる。この別荘自体がアーティストと渡辺さん、Fさまのコラボレーションによるアート作品とも言えるかもしれない。
しかしFさまも、ときには同じアーティストの作品でも美的感覚にそぐわないときがある。この別荘のためにつくられた大きなオブジェも、イメージと違うと言って3つに切ってしまった。そんな紆余曲折もへて、Fさまの感覚が反映された作品として別のところで生きることになった。
実は、この別荘の反対側の土地が空いており、Fさまは即決で購入したというのだ。生活空間でもある別荘よりも、よりギャラリーに近い空間を構想しているという。アートをふんだんに使った第二弾の計画も、現在着々と進行している。
桜島、温泉郷の豊かな自然を最大限に楽しむ四方の窓
実は、ここに土地を探したのはFさまが昔からよく利用している乗馬クラブに近かったという経緯があった。乗馬クラブの周りで良い土地がないか探していると、はす向かいに見つかったため、即決したのだという。寝室はちょうど、その乗馬クラブの方角にあたる。朝カーテンを開けると、窓から馬場の状況が見えるようになっている。
景色の良さもさることながら、この場所の長所は敷地内を温泉が通っているということ。ゆったりと広めにとった浴室では、いつでも掛け流しの温泉が楽しめる。お湯の温度は高いが、前々からこの地に馴染みのあるFさまは、その扱いも慣れたもの。豊かな自然とアートに心癒される、最高の別荘になった。
基本データ
| 所在地 | 鹿児島県霧島市 |
|---|---|
| 敷地面積 | 306.52㎡ |
| 延床面積 | 105.08㎡ |
| 家族構成 | 一人暮らし |
| 施主 | F邸 |
設計者情報
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