
コンクリート打ち放しを室内からも楽しめる
大きな箱に包まれた、入れ子構造の家

藤原 慎太郎
ふじわら しんたろう
有限会社 藤原・室 建築設計事務所
大阪府 大阪市天王寺区
「おもしろい空間」 普通の間取りでも、住むにはこと足りる。店舗だって、おしゃれな家具と照明を置くだけでもよいかもしれない。しかし、巷に安価な物件があふれる一方で、決して安価ではない建築設計もまた求められている。 世の中にはおもしろい空間が欲しいという人がいて、 おもしろい空間をつくりたいと思っている私たちがいる。 そこに他にない体験性があるだろうか。 それは使う人の人生や生活、イメージに合うだろうか。 過ごす人の真の望みを形にして、おもしろい空間をつくりたい。建築によって、日々の景色は変わる。生活はきっと楽しくなる。20年近く実例を積みかさね、その確信は日に日に増していく。

室 喜夫
むろ よしお
有限会社 藤原・室 建築設計事務所
大阪府 大阪市天王寺区
「楽しげな空間」 建築をご依頼いただく際、十人十色のご要望をいただきます。それは眺めの美しさであったり、居心地の良さであったり、あるいは機能性の高さであったり、実にさまざまです。 その度に、建築について考えながら、常に次の時代につながる新しい考え方や独自性を模索しています。その先に目指すものは、私たちが「よい建築」と呼びたいものです。独自の世界観とディテール、さらにそれを支える素材が不可分なくそろい、よい建築は成り立つのではないでしょうか。 そして、よい建築を支えるもうひとつの要素があります。 それは楽しげであること。 楽しいという言葉には、人の数だけ解釈があるでしょう。私たちは建築に対する大きな願いを抱きながら、その建てもので過ごす人にとっての楽しさを大切に考えています。
道路から2m上がった敷地。擁壁を掘り込み
出入りしやすいビルトインガレージを実現
依頼を受けたのは、有限会社 藤原・室 建築設計事務所の藤原愼太郎さん、室喜夫さん。お施主さまはホームページや以前の作例を実際に見て気に入ってくださったとのこと。ホームページには美しいRC造の家が数多く紹介されており、お施主さまも当初よりコンクリートに木やガラスの表情が組み合わさったRC造の家を望まれていた。
お施主さまは室さんたちとともに検討したうえで、敷地が道路より2m程上がっている分譲地を購入。完成したのはRC造の利点を土地の特性に生かした地下1階、地上2階建ての建物だ。
地下は既存の擁壁を掘り込みつくったもので、ご希望だったビルトインガレージや、事務所を配置した。暮らしの空間は1階と2階。1階には家族それぞれの個室を集め、2階にLDKや水回りを計画した。
ビルトインガレージは法規上でいうと地下だが、道路からフラットに入ることができる。ガレージから直接室内に入ることもでき便利だ。また、ガレージの隣に配置した玄関から一番近い位置に事務所をつくったおかげで、住まいの動線と切り離すことができた。トイレも居住空間へ向かう廊下の手前に設けており、プライバシーが守れる。仕事関係の来客が生活空間に入ってくる心配がないのは、ご家族にとってなによりもの安心につながるだろう。
RC造らしさ美しさを極めつつ、機能性も。
浮遊感が感じられる入れ子構造
対して西面はコンクリートに木やガラスといった異なる素材を組み合わせ、高いデザイン性を持ってお施主さまお好みの雰囲気を表現した。
思わず目を止めてしまう佇まいなのには、他にも理由がある。RC造というと、どっしりとした建物というイメージがあるが、この家はなんとなく浮遊感も感じられるのだ。1階から上の住居部分は、既存の擁壁から張り出してつくられた大きなコンクリートの箱の中に入れ子のように入っている。加えて既存の擁壁と大きな箱の間に空間をつくり、このふわりとした軽さを印象付けた。「さらに、地下にあたるビルトインガレージにはアルミシャッターを取り入れるなど、上の階と地下の仕上げを分けて見え方を異ならせました」と2人。これらの工夫から地下と地上の建物が視覚的に切り離されたおかげで、より浮遊感が高まった。
生活空間を大きな箱で包むように計画した理由はいくつかある、と事務所の2人。
まずひとつは、お施主さまがお好きなRCの雰囲気を家の中からも楽しめるようにしたかったからだという。1階の4つの個室のうちの2つ、また2階のLDKの両側は外側のコンクリートの箱に向けての大きな開口がある。
「コンクリートを景色のように見せたかったのです」と室さん。箱と入れ子の間には天窓を設けた外部通路を設け、天窓や南側から入る日射による光と影など、移ろう時間から生まれる美しさなども一緒にコンクリートの表情が室内から眺められるようにした。通路は風が抜け、天窓から落ちた光は室内にも届く。プライバシーを守りながら外部と繋がり、さらにコンクリートも堪能できる。同時に全て叶えることなど無理と考えるのが普通だと思うが、こんな方法があったのか、と驚いてしまう。
また、この構造は家の機能性を高める役目も担っている。外部も内部もコンクリート打ち放しをそのまま生かしたいとなると、やはり外気の影響を考えなくてはならない。夏は暑く、冬は寒い家になってしまうのだ。そこで、入れ子状とした内側の部分にはしっかりと断熱材を入れた。さらに外部通路がバッファとなり、より室内を快適に保つことができるようになったという。
要望を叶えながら、暮らしのことまで見通したプランニング。洗練された、かつ大胆なデザインは確かな設計力、技術力の賜物なのだ。
お施主さまのご要望に対して誠実に取り組み
イメージを具現化する家づくり
室内は、窓に向かって奥にダイニングキッチン、手前にリビングを配置し、キッチンからベランダまで徐々に床のレベルを下げた。キッチンに立っているときでも、遮るものなく景色が見えるように配慮したという。
景色の見え方にもこだわり、ブラインドは天井面のボックスに収納。スパッと切り取られた四季折々の景観は、まるで絵画のよう。また、室内からベランダの軒までがチーク材で統一され、気持ちよく視線が伸びていく。
以前より家づくりに興味があったというお施主さま。2人は木材のチークだけでなく、床面のタイルや石材、和紙畳など、選ばれた素材をバランスよく室内に取り入れ全体に調和をもたらした。コンクリートを基調とした空間の中に、ほどよく温もりがプラスされ、くつろぎの空間が実現。
素材だけでなく、洗面やキッチンなどにはお施主さまのアイデアもたくさん詰まっているという。ひとつひとつ丁寧にヒアリングし、図面を起こすことを繰り返しながら実現したそうだ。お施主さまにとって一番使いやすい、オリジナリティに満ちた空間が叶えられたことに、とても喜ばれているとのこと。
お施主さまの好みやご要望に対しこの上ない熱量で向き合い、ときに大胆さを持って実現する。藤原・室 建築設計事務所との家づくりは、こんな家がつくりたいというイメージをお持ちのお施主さまにとっても、とても楽しいものになりそうだ。
撮影者:平 桂弥(studio REM)
間取り図
基本データ
| 作品名 | 北摂の事務所兼住宅ーRC住宅 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府 |
| 敷地面積 | 229.45㎡ |
| 延床面積 | 174.72㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
| 施主 | K邸 |
設計者情報

藤原 慎太郎
ふじわら しんたろう
有限会社 藤原・室 建築設計事務所
大阪府 大阪市天王寺区
「おもしろい空間」 普通の間取りでも、住むにはこと足りる。店舗だって、おしゃれな家具と照明を置くだけでもよいかもしれない。しかし、巷に安価な物件があふれる一方で、決して安価ではない建築設計もまた求められている。 世の中にはおもしろい空間が欲しいという人がいて、 おもしろい空間をつくりたいと思っている私たちがいる。 そこに他にない体験性があるだろうか。 それは使う人の人生や生活、イメージに合うだろうか。 過ごす人の真の望みを形にして、おもしろい空間をつくりたい。建築によって、日々の景色は変わる。生活はきっと楽しくなる。20年近く実例を積みかさね、その確信は日に日に増していく。

室 喜夫
むろ よしお
有限会社 藤原・室 建築設計事務所
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「楽しげな空間」 建築をご依頼いただく際、十人十色のご要望をいただきます。それは眺めの美しさであったり、居心地の良さであったり、あるいは機能性の高さであったり、実にさまざまです。 その度に、建築について考えながら、常に次の時代につながる新しい考え方や独自性を模索しています。その先に目指すものは、私たちが「よい建築」と呼びたいものです。独自の世界観とディテール、さらにそれを支える素材が不可分なくそろい、よい建築は成り立つのではないでしょうか。 そして、よい建築を支えるもうひとつの要素があります。 それは楽しげであること。 楽しいという言葉には、人の数だけ解釈があるでしょう。私たちは建築に対する大きな願いを抱きながら、その建てもので過ごす人にとっての楽しさを大切に考えています。
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