
限られたスペースを有効活用!
築40年、37平米のマンションを素敵にリノベーション
根気強く希望の条件を満たす物件を探して見つけた今の住まい
「予算内で収まりながらも、南西向きで日当たりもよく、都会でありながら、ベランダに洗濯物や布団も外に干せる。季節を問わず日当たりが良好なので、ひさしが必要なほどです。しかも、駅にも近く、立地もいい。もちろん、子どもの保育園も変わらずに済む物件でした」と語る。
こうして、ようやく希望条件に見合う物件を探し当てた瀧内さん。しかも選んだマンションは、マンションに長く住んでいる方との隔たりもなく、ご近所づきあいもあるということで、当初の予定にはなかった希望をも叶えた物件だったのだ。
自分自身の住まいをリノベーションし、暮らしているからこそ分かることがある
「実は2年ほど住みながらじっくりとプランを練った後、ちょうど同じマンション内の別の部屋を2ヶ月ほど貸してもらえることになり、リノベーション工事に着手することができました。日当たりの問題はクリアできたので、風通しにも気を配りました。ベランダと反対にある玄関側のトイレを間仕切ってしてしまうと風が入らないため、隣にある収納室の間に扉を付けて、さらに収納室
と小上がりの間の壁も開口し、風が抜けるようにしました。小上がりのスペースは家族団らんにも使えますし、洗濯物をたたむときにも便利です。ロフトの下は収納室になっていて、ウオークインクローゼットを兼ねているだけでなく、小上がりの下にはベッドを収納しています」と瀧内さん。
瀧内邸の玄関を入り、左手には大きなキッチンカウンター、右奥には勉強机が置いてあり、小上がりのスペースもある。さらに小上がりにはハシゴが掛けられ、ここはロフトスペースとなっている。
2DK(37平米)のマンションに家族で住まうことで、小上がりのスペースを造れば、確かにスペースは狭くなる。しかし、衣類を収納する家具やベッドを置いたり…ということを繰り返しているうちに、すぐに手狭になってしまう。そこで、小上がりとロフトのスペースを縦方向に作ることで床面積を増やし、家具を置かずにさまざまなものを集約することで、限られたスペースでも広々とした空間を作り出すことに成功している。小上がりと収納室の間の通風採光の45センチ角の開口窓から、脱いだ衣類を収納室の洗濯カゴに入れられたりもするので、小上がりが散らからない。また開口窓の下には両側から引き出せる引出があり、洗濯物をたたんでそのまま引出にしまえるという逆の動線も可能だ。さりげなくも、女性らしい細やかな設計が行き届いていることが分かる。
瀧内邸を訪れてみてもうひとつ印象的なのは、大きなキッチンカウンターだろう。壁には奥行き30センチの可動棚が備えつけられているものの、扉がなく、出し入れや収納もスムーズにできそうだ。これなら、収納したまではよいものの、奥の方にしまいこんでなかなか使う機会がない…といった食器類や調理器具もなくなるだろう。キッチンカウンターの隣がテーブルとなっており、できあがった料理をサッと置ける。玄関をあがってまっすぐ進めばリビングスペースに、右はトイレやバルスルームや洗面フロア、左はキッチンスペースと、動線が極めてシンプルであることが分かる。
瀧内邸は瀧内さんの住まいであり、ご自身が手掛け、そしてリノベーションした案件でもある。そんな瀧内さんにリノベーション対する思いを伺った。
「欧米には新築の建物がほとんどないそうです。スクラップ&ビルドで町並みが変わっていくことに抵抗があります。だからこそ、今ある姿を残していきながら、よい物は残しつつ、次の世代に引き継いていけたらと思っています」と瀧内さんは熱っぽく語ってくれた。ちなみに、物件選びにも同行してくれるという。
瀧内さんに曰く「物件の購入を検討している方にお伝えしたいのは、日当たり・窓の眺望・風通しは重視してください」とのことだ。リノベーションのプランを考えることは楽しいし、夢が膨らむだろう。しかし、物件選びを間違えてしまうと、どれほど素敵なプランを練り上げても、快適な住まい空間を創ることは困難なケースもある。瀧内さんご自身が自ら体験し、実践しているので、とても説得力がある。
リノベーションの魅力は、“自分で造り上げる空間”に加えて、新築に比べてコストが抑えられることだろう。瀧内さんが手掛けるリノベーション物件は、マンションはもちろん、戸建てでもOKだ。狭小住宅を手掛けることが多く、延べ床面積は増やせない。そこで、立体的にすることを心がけているという。
新築物件には新築物件ならではの良さがあるだろう。しかし、リノベーションならではの魅力も必ずあるはずだ。住まう人や家族が暮らしやすいよう、住まいを素敵にリノベーションする。自らの住まいで実践し、暮らしている瀧内さんだからこそ伝えられること、実現できることがあるに違いない。
基本データ
| 所在地 | 東京都台東区 |
|---|---|
| 家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
| 施主 | T邸 |
設計者情報
この建築家が建てた家
この実例を見た人はこちらも読んでいます

たっぷりの採光と経年を楽しむ二世帯の秘策は外観で一目瞭然!?
2世帯・4世代・8名が住む家の一番の課題は、両親が住む1階にどれだけ太陽光を落とせるかだった。また、床面積が一般的な住宅より広いため、このままでは厳しい建築条件が課せられることに。両世帯ともに明るく、暮らしやすい空間を作るために、建築家の清水義文さんが考えた秘策とは。

上質なモダン建築がもたらす極上の時間。 都心に佇む羨望の高級邸宅
住まいは一生の中で多くの時間を過ごす場所。その場所が、いるだけで至福を味わえる空間だったらどんなにいいだろう。そんな施主の思いをかなえたJWA建築・都市設計一級建築士事務所 渡辺純さんの、上質なモダン建築の魅力を紹介する。

LDKを2階に。国道沿いでも カーテンを開けて生活できる、店舗兼用住宅
建築家の髙須さんは奥さまが経営する美容室を第一に考え、自邸として店舗兼用住宅を建てること計画。店舗と住宅それぞれが機能的にも快適さにおいても申し分ない建物をつくりあげた。往来が激しい国道沿いの立地でも開放的に暮らせる秘密は2階に設けたLDKだという。素材感も存分に楽しめるこの家の秘密を探る。

公園の延長のような住まい。桜と共に過ごす大空間リビング
すぐ目の前の公園は、春になると見事な桜並木に。この景色を家にいながらにして楽しみたいというS様ご夫妻。「こもった感じが好き」というご主人と「開放的にしたい」という奥様の相反する思いを上手く実現させたのは、イノウエヨシムラスタジオの「1階の天井を高くしたスキップフロア」というプランだった。

これがスイートルームの居心地!多彩な使い勝手と贅沢なあしらい
「庭はいらない。夜、ゆっくりくつろげる家がいい」。多忙な日々を送るMさんの言葉で建築家の北園徹さんがつくったのは、インナーガレージや屋上テラスのあるスキップフロアの家。家族や友人との団欒も、静かなひとりの時間も楽しめる魅力的な間取りとは?

縦にも、横にも、上下にも広がる空間使い 敷地の周囲の緑を暮らしに取り入れた家
「どういう家なら楽しく住めるか」を考え、住むプラスアルファの要素を加え、他人に自慢できる家をと、常に住む人の暮らしのことや家づくりの満足度を意識しているという建築家の塚本さん。そんな塚本さんが設計事務所を起ち上げて最初の顧客となるM様邸は、敷地条件を生かしたコンセプトワークにも注目してほしい。

4年かけて土地探しするほど施主が惚れた デザイン性と使い勝手と両立させた家
女性目線を大切にしながら「暮らしやすさ」と「デザイン性」を兼ね備えた住宅を生み出している株式会社人と古民家 ヒトコミデザインの牧野嶋さん。施主のTさんご夫妻は、牧野嶋さんに自邸を設計してほしいと、約4年もの間土地を探し続けていたのだという。 Tさん夫妻の理想の住まいを実現した、牧野嶋さんの手腕に迫る。

わずか建坪9坪の狭小住宅とは思えない 光と風、そして広さを感じられる住まい
東京都品川区中延の、下町情緒が残る住宅地に建つ作品をご紹介しよう。敷地は16坪、建坪はわずか9坪という木造3階建ての狭小住宅だ。屋内に足を踏み入れると、その内部は驚くほど明るく、風が通り抜け、自然を感じられる。そして、数値以上の広さを感じられるのだ。この作品に込められた工夫の数々をご紹介しよう。

片流れ屋根の下、家族がひとつになりながら プライバシーを保って暮らせる住まい
開放的で、同じ空間に家族皆がいると感じられる家が欲しい。けれど子どもたちのプライバシーは保ちたいと考えられていたお施主さま。購入したのは2方向に見える山の風景が美しい、山裾にある土地だった。建築家の中川さんは、恵まれた環境を生かしつつこれらの希望を全て叶えた家をつくり上げた。

