
株式会社アサヒ 新倉庫・作業場
設計者情報
様々な「機械の刃」を研磨するための作業場と倉庫機能を持つ建物です。 「機械の刃」と言っても金属加工、木材加工、そしてスケートリンクの表面を平滑にする製氷車の刃もその一つです。 話題になった「そだねージャパン」の常呂にあるカーリング場の製氷車もそうですし、道内のフィギュアスケートやアイスホッケー場の製氷車の刃も殆どがこの作業場で研磨、再調整が行われているのです。 そんなミリ単位の仕事を支える快適な環境を作ることをテーマに、自然光を考えた窓形状、照明計画と使いやすい動線計画をオーナーと一緒に考えました。 建築の断熱・気密を初めとして、換気、暖房そして大型集塵施設の導入に至るまで一貫して良好な労働環境を目指しています。 作業場の内部は倉庫内と休憩室から見えるようにして、作業状況が一目でわかるように「見える化」をしており、来館者にも見学しやすい構成にしています。 構造は在来鉄骨ではなく、「ビルドエッチ」という鋼板を成型して柱・梁を作る「横河システム建築」を採用しました。 この工法は形容すると「グライダー」の設計の様に思っています。 必要な構造耐力に対し、過度な安全率を当てはめるのではなく、必要な平板鋼材を無駄無くカットし溶接して作り上げる柱・梁は、独自の構造ルールはありますが、在来工法よりも鋼材トン数が減少でき、その姿は機能美を感じさせます。 冬期間の施工でしたが現場溶接などが少ないために、建て方は非常にスムーズで全体工期の遅延はありませんでした。 基礎工事ですが、支持層まで4mといった微妙な地盤でしたが、作業機械の積載荷重が非常に大きくかつ繊細なので、不動沈下のリスクを考え、杭と表層改良工法を併用することで、それぞれの持ち味を生かしつつ強度とコストのバランスをとることができました。 施主はオスモ塗料代理店であり、木材加工品も扱っていることから、外観においては企業イメージを考え、軒天や入口外壁に道南杉板張りを採用し、とかく固くなりがちな倉庫・作業場の外観に柔らかさを持たせています。 近年は「下町ロケット」「陸王」といった「ものづくり」に焦点を当てたドラマがヒットしていますが、海外製品の流入によって日本の技術力の衰退が深刻な中で、この施設はまさにそんな「ものづくり」の一端を担うための施設であると同時に、これからのものづくりの現場にその在り方を発信していけると期待しています。
基本データ
- 所在地
- 札幌市
- 延床面積
- 476.11㎡
設計者情報
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