
水と森のリゾートに立つハイグレード空間
友人と憩い、趣味を楽しむ山中湖の別邸
水と緑に恵まれた山中湖
東の視界がひらけた土地に別邸をつくる
ここ山中湖は、四季折々の自然と富士山の雄大な姿を楽しめるリゾート地。自然豊かな環境ならではのアクティビティも充実し、別荘地としてのニーズも高い。
そんな人気エリアに『山中湖の家』を建てた施主さまは、多忙を極める上場企業の経営者でありながら、車、バイク、ゴルフ、ウォータースポーツから音楽まで、幅広い趣味をお持ちのフットワークの軽い方。自邸のある東京からそう遠くない山中湖に、趣味を楽しんだり、仲間と集まったりできる家が欲しいと考え、ハイグレードな住宅を多数手がけている奥野さんに設計を依頼した。
計画地は別荘が立ち並ぶ一角で周囲にはほかのお宅もあるが、敷地自体は720坪を超える贅沢な広さ。かつ、森林が広がり、土地がゆるやかに下っている東側は、諸条件から今後も建物が建たない可能性が高い──すなわち、視界がひらけて開放的で、プライバシーをあまり気にせずにすむ環境だった。その自由度の高い東側には以前の土地所有者が庭として使っていたと思われるスペースがあり、そこには、1本の見事なけやきがそびえていた。
「初めて現地を訪れたとき、このけやきをシンボルツリーとし、建物と共生させるプランが頭に浮かびました」と奥野さん。その思いは施主さまご夫妻も同様だったようで、けやきの木を中心としたおおらかな邸宅がつくられることとなった。
居心地や景色が楽しく変化
心豊かな生活をかなえる「連続する大空間」
生活空間とガレージの間につくられた、奥の玄関へのアプローチもいい。天井が低めで隠れ家的な雰囲気があり、なんだか秘密めいているのだ。しかし、その先には庭のけやきと森林の木々が垣間見え、「この奥に素敵な空間が待っている」と、訪れる人の期待を高めてくれる。
邸内は、生活空間であるゲストルーム、主寝室、ダイニング、リビングが、西から東にかけてほぼ一直線に並んでいる。広大な敷地を生かした平屋であり、建具を開け放すとゲストルームからリビングまでが1つの大空間になる連続性が特徴的だ。だが、日頃から「設計では、空間体験の豊かさを大切にしたいと考えています」と話す奥野さん。この家も、移動や居心地の楽しみはバリエーション豊かにつくられている。
居心地の違いがよく出ている好例は、ダイニングとリビングだろう。ダイニングは天井の高いのびやかな大空間。ここはちょうど目の前にけやきが来る位置なので、大木の大きさ・おおらかさを体感でき、居心地も開放感たっぷりだ。
ところが、ダイニングのすぐ隣りのリビングは天井高をぐっと抑えてあり、庭のけやきの見え方も一変する。
適度なこもり感のあるリビングは、施主さまがご友人と一緒に楽器演奏やお酒など、インドアの趣味を楽しむのにぴったりのスペースだ。とはいえ、3方向に大きな窓が設けられ、天井や床は外のテラスまで連続するデザインで、庭との一体感はとても高い。さらに低めの天井や窓配置の相乗効果で、けやきのどっしりとした足元や、周囲の森林の広がりが強調される。景色も居心地も隣のダイニングとは異なる「横の開放感」にあふれていて、森林リゾートの爽やかさを満喫できる。
邸内の移動の緩急も素晴らしい。例えばゲストルームへの通路は、天井は高いが幅が狭く、少し薄暗い。ところがその先には間接照明の柔らかな光に包まれた和モダンな空間が待っている。ここには専用の坪庭もあり、抜群のプライベート感。狭い通路から一転、非日常感漂うホテルライクなゲストルームにたどり着いたときの感動は、招待されたご友人たちだけが味わえる。
素材選びで空間は大きく変わる
「本物」の上質感が生み出す贅沢な心地よさ
外壁はドイツ漆喰とスギで、ドイツ漆喰は左官塗りのコテ仕上げによってざらりとした質感を創出。邸内も、天井や壁のベースはドイツ漆喰、木を使った天井はスギ、床はスウェーデンのオークに深みのある塗装を施したものを採用。ゲストルームでは繊細な葦(よし)の天井も取り入れ、モダンな和を表現した。
これらの内装について、「生活空間が東西に伸びており、季節、あるいは時間帯ごとの光の変化を楽しめる家なので、光の移り変わりを捉えるような、陰影のある質感にこだわりました」と奥野さん。木々と緑に囲まれたロケーションに馴染むナチュラルな素材を厳選して仕上げの技法にも趣向を凝らし、自然の魅力を存分に感じられる住まいを目指したという。
人工的なものを極力排してクオリティの高い素材で仕上げた空間は、「本物ならではの上質感」という、ケミカルなものでは手に入らないとびきりのプレゼントがついてくる。この上質感は何ものにも代えがたく、周囲の自然はもちろん、施主さまご夫妻が選んだカール・ハンセン&サンのダイニングテーブルやTIME&STYLEのチェア、富士山をモチーフにしたペンダントライトなど、クラフトマンシップを感じる高級家具をしっかりと受け止める。また将来的には、経年も風合いという個性に変え、いつまでも贅沢な気持ちでくつろげる心地よい空間をつくり出す。
現在、施主さまは頻繁に『山中湖の家』を訪れ、アウトドアからインドアまで、ご自分の趣味を思いきり楽しんでいらっしゃるという。ビジネスの世界で活躍し、目も肥えているであろう施主さまが時間を見つけては足しげく通う──その事実が、奥野さんの設計の魅力を何より物語っているといえるだろう。
基本データ
| 作品名 | 山中湖の家 |
|---|---|
| 所在地 | 山梨県南都留郡 |
| 敷地面積 | 2395.36㎡ |
| 延床面積 | 178.05㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
| 施主 | N邸 |
撮影:中山保寛/中山保寛写真事務所
設計者情報
この建築家が建てた家
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