
住宅密集エリアでも開放的に暮らす。
快適さ、自由さを同時に叶えた半内テラス
隣家が迫り、道幅も狭い密集市街地。
LDKを2階に配置し明るさと開放感を確保
実はこの家は、沖縄県那覇市の中でも古くからの街並みが残る密集市街地にある。敷地は両隣の家が迫っており、前を走る道路の道幅も狭く、さらに背面には高層マンションも建設されたため「明るくオープン」な家を実現することがなかなか難しいのだ。建て替え前の家に住んでいたことがあるO様だからこその、切なる要望だったといえる。
そこで2人が出した提案が、暮らしの中心の場を2階へ上げること。1階は寝室や水回りなど、外へ開く必要がそこまでないものを集めた。また、1階に配置する部屋を絞ったことで、希望されていたスペース2台分以上の駐車場も確保した。
2階にはLDKや子ども室、畳コーナーを計画した。これら居住空間に付随する形で道路側、幅いっぱいに設けられているのが「半内テラス」だ。位置的にはバルコニーだが、先述の通り道路の幅も狭く、そのままではカーテンが閉じっぱなしになってしまうだろうと考え、壁や天井で囲い中央部分だけを大きく開口した。
周辺環境との距離の取り方についてこだわった部分はほかにもある。心理的な部分も考慮し、道路に対して最前面である半内テラスから家の奥へ向かって居室のプライバシー性を強めていき、暮らしやすさをさらに高めたという。
光や風を入れ、自然の猛威から家を守る。
外部と内部を繋ぎ、かつ、仕切る半内テラス
生活の中心である2階はLDK、畳コーナー、子ども室、そして半内テラスまでが大きなワンルームのようになっている。天井の上に梁を設ける「逆梁」を採用しており天井が高く、広々と感じられる空間だ。
半内テラスのある道路側は南にあたり、光は存分に入る。そのうえ、窓を開ければ半外部空間となり、風や雨もそのまま感じることができて気持ちがいい。それでいてLDKなど生活空間ではテラス分だけ距離があることで、外からの視線が届きにくいという。
また、ここで中央部分のみに集中して開口したことが生きてくる。視線の抜け方や光の入り方が絞られ、外部との繋がり具合の調節がしやすいのだ。
まず、外壁面のアルミサッシの建具に加えて居住空間とテラスの間にガラスの間仕切り建具をつくり、さらに居住空間も、居室ごとに木製の引き戸で仕切れるように計画。仕切り方によって外部に対して開く場所、閉じる場所を変化させることができるようにした。
全てを開け放てば沖縄の伝統である、深い庇を持つ雨端空間のように外部と内部が一体となった感覚を得られ、その上で閉じたい場所は閉じられる。もちろん外壁面の窓だけを閉め、半内テラスまでを大きなひとつの空間としてもいいだろう。
半内テラスがあるおかげで、沖縄特有の強い日射や台風のような雨風からも生活の場が守られ、安心感が高まったという。ほかにもたくさんの魅力や利点があるが、外壁面の窓を開ければ外部、閉じれば室内、と使い勝手の幅が広いこともその1つだ。Oさまがこれまでどのような使い方をされたか伺ってみると、窓を開け、焼肉パーティーを開いたこともあった一方、台風の日には窓を閉めたテラス内でお子さまがフリスビーで遊ばれたこともあったとのこと。
オープンな暮らしをする上での快適性も整えた。一年通して暑いイメージがあるが、室内を風が通れば過ごしやすいという沖縄。そこで、どこをどのように仕切っても涼しい風が抜けるよう、すべての面に窓を設けている。
2人は「明るくオープンに」との要望に、暮らしやすさや暮らしの楽しさなど、更なる利点を数々加えて実現したのだ。
壁面にも変化する木製の引き戸によって
叶えられた、自由な暮らし
秘密は建具、木製の引き戸にある。引き戸には全て上下に鍵がついており、閉め切って壁とすることができるのだ。「お子さまたちもいずれは独立されますし、可変性の高さを重視しました」と久志さん。
ライフスタイルの変化というと、大きな時間の流れの中にあることのように思いがちだが、変化は日々起こる。だからこそフレキシブルに使いやすい家であれば、細かく、または大胆にその時々に応じて過ごし方を変えることができると考えている。
例えば「子ども室」として設けているのは1部屋のみ。しかし、お子さま2人が窮屈に過ごしているかといえば全くそんなことはない。たとえばおひとりが子ども室を使っているとき、もうおひとりは半内テラスの壁際に机を置いて勉強する、という具合だ。「環境に応じて思い思いに自分で過ごす場所や過ごし方を決めていらっしゃると知り、嬉しかったですね」と國定さんは話す。
もちろんそれは、思い思いの過ごし方に対応できるだけの環境を整えているからだ。小上がりの畳スペースはリビングの延長、くつろぎの場として使用されているが、一部床を掘り込んで座れるようにし、カウンターや棚も取り付け書斎としても使えるようにした。また、畳コーナーの床下収納には布団を仕舞っているため出し入れがしやすい。それは、お嬢さまがよくこちらで就寝している理由のひとつでもあるようだ。
ほかにも、照明の配置や角度を自由に変えられるものにするなど、小さな、しかし確実に便利な工夫がたくさんちりばめられている。
さらに、細かく間仕切りを変えられるということは、居場所を広さも含めて自由自在に設定できるということでもある。特に親戚など大人数が集まったとき、半内テラスも含めて建具を臨機応変に動かせることが大変喜ばれたという。
開放的に、自由に暮らせる家。家の中の雰囲気と、立地のギャップにまず驚く人は多いことだろう。そして家の中で過ごしているうちに、心地よさに魅了される。そんな家が完成したのは、studiojagのお2人がお施主さまの要望に真摯に向き合いながら、柔軟な発想で解決策を見出す建築家だからに違いない。
間取り図
基本データ
| 作品名 | 半内テラスのある家 |
|---|---|
| 所在地 | 沖縄県那覇市 |
| 敷地面積 | 129.18㎡ |
| 延床面積 | 135.03㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
| 予算 | 3000万円台 |
設計者情報
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