
妻の趣味と夫の仕事を両立し、
快適な暮らしも叶えた建築家の自邸
ペットと快適性と趣味を満たす住まいの計画
1つ目は愛犬のコーギー・エリカが快適に過ごせること。角野さんはまず、滑りにくく比較的やわらかなパインの無垢材を床に用いて犬の足の負担を少なくし、LDKと客間、バスルーム・洗面所からなる2階の住居スペースを引き戸ですべてつながる間取りとした。今では新しく家族となった愛猫・ルナも加わり、俊敏に走り回っているとか。回遊性を高めてペットが動きやすい動線を確保することは、人の使いやすさにも通じるところだ。
2つ目は日当たりと風通し。土地を購入する段階で、すでに南側に住宅が建つことはわかっていた。だから「南側を除外した三方向から、いかに光と風を取り込むか。朝は日差しを浴びて目を覚まし、明るい光のなかで朝食を味わいたいと思い、寝室とキッチンは東側に配置しています。一般的に南側に置くリビングも、今回は街路樹が並ぶ北側に持ってくることで窓に緑の景色を取り込みました」と角野さん。リビングの勾配天井に設けた開閉式のトップライトからは、北側とは思えないほど明るい光が射し込み、風が抜け空気が循環する気持ちのよい空間を実現した。
そして、3つ目は奥様の趣味であるバイクガレージ。2階部分を屋根代わりとした玄関横にガレージスペースを作り、玄関を入ってすぐ右手にバイクのブーツやツナギ、ヘルメットなどが仕舞える土間収納を設け、そこからウォークインクローゼットを連続して配置している。「帰宅したらバイクを停めて、ブーツやツナギを脱ぎ、そのまま普段着にすぐ着替えられるよう、一連の流れをつなぎました。ここは完全に妻の生活スタイルに合わせています」と角野さんはにこり。
こうして、3つのミッションに対する回答プランを計画。奥様が納得する唯一無二の一軒に仕上がった。
使い勝手や断熱性能で暮らしの満足度を高める
「夫婦共働きのため、洗濯物が干しっぱなしでも大丈夫なように屋根のあるインナーバルコニーにしています。また、2階が居住スペースのため、ゴミを仮置きしたり、小さなイスやテーブルを置いてコーヒーを飲めるようキッチン・リビングのすぐそばにバルコニーを配置しました」と角野さん。
また、各部屋ごとに天井高を変えているのも角野さんのこだわりだ。1階の設計事務所は、来客との打ち合わせスペースを少し高めの天井でゆとりのある空間に。作業デスクなどがある自身の仕事場は床を上げ、天井は下げて少しこもった秘密基地のように仕上げている。2階は基本の天井高を2.3mとし、リビングは最高3.2mに至る勾配天井で、伸びやかで開放的な印象とした。一方で客間は座して過ごすことを前提に、天井高を2.15mに抑えてより落ち着きのある和室としている。
さらに、2016年4月よりスタートした建造物の省エネルギー性能を公的に評価する制度『BELS(ベルス)』で、最高ランクの5つ星も獲得している。「BELSの評価はエネルギーロスで判断されます。だから断熱性能を特に重視し、建物全体が魔法瓶に包まれているようなイメージでプランニングしました。基本的な断熱材や窓・サッシだけでなく、例えば厚さ20㎜と厚めの無垢材を床に用いてより断熱性を高めたり、リビングの勾配天井に木を張り込んで断熱と調湿性能を持たせたりしています」と角野さん。法令で省エネ基準への適合が段階的に義務化されていくこれからは、特に無視できないポイントとなってくるだろう。
住宅はわかりやすい間取りやデザインについ目が行きがちだが、根本的な暮らしやすさを追求した住宅こそが、より高い満足度となり、充実した生活の土台となるのだろう。新居で実際に暮らし始めてから、奥様は角野さんにこう言ったという。「家を建てて本当によかった」。
間取り図
基本データ
| 所在地 | 愛知県名古屋市 |
|---|---|
| 間取り | 3LDK |
| 家族構成 | 夫婦 |
| 予算 | 2000万円台 |
| 施主 | S邸 |
設計者情報
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