
井とロ -i to ro-
設計者情報
夫婦+子供2人の為の住まいである。主人は庭師を生業としている。北道路4mに接道する比較的整形された敷地である。道路は袋小路であり通過交通は殆どない。山も川も近くに存在するが、近隣の密集からそれらを感じるのは難しい立地と言える。庭師である主人はここに住まいとしての機能の他に、仕事道具を収納するスペース、小さくても集客力をもった庭を要望した。建物にも集客力が求められる。そして厳しいコストコントロールも求められた。建築的アプローチはこれら要望の整理から始めた。コストの問題から尺グリッドを保持した矩形が最適と判断したが、敷地の余白部分に車、庭、収納が広く求められる為、建物と余白のバランス検討を繰り返し建物ヴォリュームが決定された。建物の外部との関係性がより密に求められる本計画では、開口部の検討がより肝要になる。庭と屋内を掃き出しサッシで繋ぐ事が常套手段と言えるかもしれないが、庭の大きさから庭に向けた開口は眺める事に重きを置いた出窓形状とした。出入り目的が乏しい開口である為、外部との距離感を近づける建築的手段が他に必要となる。本計画では、玄関ホールを設けず、玄関土間から居間へ直接アプローチ出来る配置計画とし、屋内の生活の場に土間を近づける事により外部を近づける手段とした。電気を用いず土間を家事の場としていたその昔の民家に回帰していると言えるかもしれない。1階の平面プランは、風呂・洗面・トイレを水廻りコアとしラワン合板で箱をつくり、その周りに居間・食堂・台所・玄関の機能を配置し回遊動線を確保した。このプラン計画が集客を求める本案件における公私の距離感を上手くコントロールしている。階段はラワン壁に沿う位置とし、階段下に畳ベンチを計画した。畳ベンチに座る事で庭への視線誘導が明確化される。2階プランは階段とホールを中心に南北に6つのユニットを計画した。ユニットは3.7畳の同一寸法で構成され、引戸を設置する事により個室となる。W1100とW1300の2パターンに統一された引戸は、自由に移動出来、間取りをフレキシブルに変更してくれる。4本の柱と引戸を設置する為に放射された鴨居が、幹と枝をオマージュする意匠となった。切口として外部との関係とコストコントロールを求められた本計画であったが、この2点を突き詰めた結果が平面を簡素にした。簡素化された事により、構造の安定性、間取りの可変性が実現した。簡素さ故に住まい手は住まい方に知恵を求められるかもしれない。だが、それこそが建物への愛着となり、特別な家族の記憶となっていくのだと思う。庭師の主人により造成された庭に呼応する家として、記憶に残る「家庭」の一助になればこれ程喜ばしい事はない。
基本データ
- 所在地
- 静岡市葵区
- 敷地面積
- 147.45㎡
- 延床面積
- 99.93㎡
設計者情報
この建築家が建てた家
この実例を見た人はこちらも読んでいます

保土沢の家
撮影者:株式会社 tophoto 石田剛基

下馬の家
コンパクトな敷地の中に 様々な質の異なる空間を盛り込んだ住宅になります。 北側斜線なりのシャープな鋭角で切り取られた外観は、印象的なファサードを形成しています。 また外部斜線規制がもたらす影響を 内部空間にも最大限に活かして、随所に吹抜を造り空間につながりをもたせることで明るく 圧迫感を感じさせない工夫がされています。 内装においては 床は檜・壁は杉材でくるまれた構成となっており、肌さわりも良く 木のぬくもりや癒やしを感じさせる空間となっています。

本井手の家
敷地は熊本県荒尾市の郊外に位置し、北側には福岡との県境にまたがる大きな山の緑が広がる。 周囲は住宅地であるものの、田畑が広がるのどかな地域である。 建て主(妻)の実家がすぐそばにある土地に、豪雨で住む場所を失った夫の母との2世帯住宅を計画した。 2世帯の距離感に配慮し、水廻りは完全分離とし、玄関も別途設け、それぞれの世帯での生活のリズムを尊重することとした。 北側の山の風景と馴染ませるように、建物近傍に植栽を施し、その周囲は多用途に使える芝庭とした。 性格の違う庭の緑がグラデーションを描くように、北側の山の風景へと繋がる。 内部空間は、大きな家型の断面空間をタテヨコに利用し、様々な用途を持つ居場所を散りばめた。 天井が高いところもあれば、天井が低いところもあり、視線が抜けるところもあれば、籠れるところもある。 1段下がったピットリビングからは出隅部に設けた開口部から外との繋がりを感じると共に、デッキとのレベル差を利用し、そこに腰かけることで、室内側との繋がりも確保した。 ウッドデッキは2室から利用可能であり、木漏れ日の中で鳥の囀りを聞きながら寛ぐ時間は格別で、アウトドア好き家族の活動の中心となっている。 新築後、第二子も産まれ、「本井手の家」は賑やかさを増し、幸せな暮らしの舞台としての役割を存分に果たしている。

多摩のコートハウス
角地という立地から、陽当りの良い空間を目指しつつ、人の目からプライバシーを守るプランニングを目指しました。 まずリビング空間を突出させ、左右にウッドデッキの庭を設けます。 さらにその空間を囲うようにモルタル仕上げの壁で覆うことにより、庭をLDKに取り込んだ開放的なコートハウスとなります。 固いイメージを与えるモルタル壁が、外部に対しては守る印象を、内部に対しては素材の柔らかさを演出します。 またウッドデッキはキッチンや洗面室にも行き来でき、LDK全体に回遊性を持たせる効果を与え、リビングを中心に様々な生活シーンが描かれるでしょう。

光善寺の家
角地で高台に建つ、北側に面して大きく開いた敷地です。防犯のため外に面して大きな窓はつけたくないが、開放的な家にして欲しいという、相反するようなご要望から設計がスタートしました。防犯面を最大限に考慮するため、道路側は小さな窓のみに限定し、南側のハイサイド窓(高窓)や吹抜け上部からの光を効果的に取り入れ、さらに塀で囲まれたプライベートな中庭に大きな窓をとるという提案をし、最終的にほぼ平屋建て、一部に2階が載っているという構成となりました。北向きの敷地ではありますが、窓の取り方や立体的な断面構成をきちんと考えることで、日当たりの悪さはいくらでも解消できると考えています。さらに北側は直射日光は入ってきませんが、1日を通して柔らかく優しい光が継続して差し込むため、眩しくなく意外にも居心地がよいものです。 また忙しい奥さまのため、キッチンのすぐ横に雨の日でも濡れない大きな物干しスペースを作り、家事動線の効率化を考えました。(この場所は南側となるため、洗濯物がよく乾きます)玄関前の大きく張り出した屋根が、この家の特徴的な外観を形造り、堂々とした印象を与えることができたように思います。

恵比寿ボックス

在府町の家 / house in zaifucho

静(新築店舗併用住宅)

窓辺の家
戸建住宅、木造平家一部二階建、新築。敷地探しから携わる。 -窓辺の景色がある平家- 敷地の特性を最大限に生かし、水平と自然との一体感を追求した設計はほとんどが平屋の形状であり、ただ客間と家族の共有スペースだけが2階に配置され、日常の生活は1階にL字型に広がっている。 この家を象徴する窓は、多様な特徴を持ちながらも「窓辺」という景色を織り成している。様々な形状の窓からは、光と風が豊かに注ぎ込み、その瞬を感じることができる。窓は単なる機能だけでなく、詩的なイマジネーショをもたらす存在なのだ。四季折々、窓辺は一日の中で変化し続け、住人の語幹に心地よい感覚を呼び起こす。






