
HOUSE-N
設計者情報
この住宅には、2つの課題があった。1つ目は「コスト」である。土地・建物を合わせて2900万と予算に大きな制限があった為、敷地選定の段階から全体のコストバランスを見極め、計画を進めていく必要があった。敷地は、ロケーションを売りにしている高台に面した新興住宅分譲地だが、冷静に見るとそのロケーションがそれ程魅力的ではない。それならば、敢えて高台に面していない価格を低く設定している区画の中で、日照条件や法的条件が有利な敷地を選択した。 2つ目の課題は「距離感」である。クライアントは、家族同士の距離感を大切にしており、非常にオープンな家庭環境であった。単純に個室がそれぞれ用意されているのでは閉じ過ぎている。だからといって全てをオープンなワンルームのようにしてしまうのも乱暴過ぎる。この家族にとって心地良い距離感を保つ為には、どのような空間構成が望ましいのかを思案するべきだと考えた。 土地を1100万で購入した為、1800万で建物の計画を進める必要があった。そこで、まず、設計の初期段階にコストの観点から建坪を25坪以下と制限を掛けた。やや狭小寄りになったこの住宅に広がりを持たせる為、7枚の床レベルをランダムにスキップさせた2階建のワンルームのような構成としている。また、天井を貼らないことにより、天井材及び下地材が省略され、コストを抑えつつ、敢えて足音が響きやすい設計とした。そのように構成された空間は一定の距離感を保った様々な〝場〟の設えにもなっている。家族それぞれが好きな時間に、好きな場所を見つけ、好きなことをして過ごす。視線は、床レベル差で遮られるが、気配や音で他の家族がどこで何をしているのかを何となく感じとれる空間とした。 一見、複雑な構造に見えるが、事前に加工業者と打合せをし、経済的かつ効率的に構造が組めるよう調整を図り、特殊加工を施さないスタンダートな構造に抑えた。また、工種を少なくする為、外壁や内壁を木貼りとし、外壁業者や内装業者の手間を大工手間1つにまとめる等して、コストコントロールを図っている。 構造が露出し、内壁が木貼りとなっているこの住宅は、絵を掛けたいと思えば自由に飾れ、棚が必要だと思えば自由に追加し、ハンモックを掛けたいと思えば自由に設置でき、間仕切りが欲しいと思えば容易に増設ができる。設計時点で全てを決め切らず、生活しながら住まい手のアイディア次第で、自由に成長できる「可変性」に富み、「余白」の準備された空間構成にもなっている。 「コスト」と「距離感」という2つの課題に「可変性」と「余白」という新たな要素を加え、全てを同時並行で融合させて考えることにより、心地良い住空間の提供を目指した。
基本データ
- 所在地
- 東京都八王子市
設計者情報
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老齢の母と娘が終の棲家として購入されたマンションの一室でのリフォームである。 間取りは一般的なファミリータイプの3LDKであったため、今後の老々介護を見据えた間取りに変更し、かつ一日の大変を寝室で過ごす母親にとってより良い住環境とすることを目的とした住まいである。 具体的には母親にとって負担の少ない動線とするため、洗面・脱衣・浴室・トイレを直線的に配置し、将来的に歩行器や車椅子となった場合にも行き来できる廊下幅を確保しました。 またLDKと寝室は3枚の建具のみで仕切られており、全開すれば広々としたワンルーム空間となるとともにコミュニケーションを生み出し、全閉すればそれぞれのプライバシーを確保した空間となります。 さらに住環境をより良いものとするために消臭・調湿効果のあるスペイン漆喰を用いることでマンション特有の湿気や臭いの問題を解消しています。

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増築したのは吹抜け空間、つまり空気なのです! 海を見下ろす高台の閑静な住宅地に建つ、木造2階建ての増改築です。 改修前のお宅は在来工法で和室中心、門かぶりの松のある立派な和風邸宅でした。 お施主様のご要望の要となるのは、眺めの良い2階を家族で過ごすダイニング、リビングにしたい、和を感じる要素を残さずに全て洋室としたいというものでした。 また、奥様はデザイン同様に家事動線が大事!とプラン検討に熱が入ります。ご主人は、ダイニング、リビングの床はピカピカのタイル貼りでそれがテラスへと繋がっていくイメージをお持ちでした。 わたしたちは、ほとんど使われていなかった2階の広いテラス(1階リビング上部)を取り払って新たな屋根を架け吹抜けを作ることを提案しました。 階段を上がるとタイル張りのリビング、ダイニングが広がり、ガラス手摺の向こうには吹抜けを通して大きなフィックス窓から大磯の海が開けるのです。 そして、吹抜けを介してご家族の様子がお互いにやわらかく伝わります。 外観は、もとの大きな勾配屋根にスタイリッシュなボックスが新たに付け加えられたような形となりました。 夕方から晩にかけては、そのボックスから暖かな照明のオレンジ色が通りにこぼれて行灯のようです。 1軒の住宅のリノベーションが、ささやかですが町の景色にも寄与できた事例だと思います。 設計:NASCA + AeO 設計共同体






