
四季の太陽の動きもバッチリ計算!
徹底的に快適な家づくりとは?
スキップフロアで採光・通風の効果もアップ
このような場合、通常、プランニングは長野の特性を知り尽くした地元の建築家に依頼するのがセオリーかもしれない。しかし、Nさんはあえて、東京・世田谷区豪徳寺でHAN環境・建築設計事務所を主宰する建築家・冨田享祐さん・松田毅紀・南澤圭祐さんに託すことにした。その約半年前、都内で開催された建築家無料相談会のイベントに参加した際、何名かの建築家に話を聞くなかで、冨田さんと家づくりに対する考え方が近いと感じ、実際数分間の会話で、家のコンセプトや骨格となる間取りが決まったという。
Nさんが思い描いていたコンセプトは、長野の風土に合った「明るく開放的な住まい」。というのも、古くから長野はその土地柄、寒冷地域特有の“外に対して閉ざされた家”が多く、「明るく開放的な住まい」こそ、Nさんの憧れだった。そこで新居の条件に「室内に陽光をいっぱい取り込めるようにする」「外に対してより開かれた空間をつくる」というテーマを掲げたのだ。
これに対して冨田さんが提案したプランは、降雪にも強いシンプルな片流れ屋根の木造2階建て。室内はスキップフロアにして、1階、1.5階、2階の各フロアが緩やかにつながるように。さらにリビングを2階にして、最も陽当たりがよく、最も眺望が開けた南東角にL字型のデッキテラスを配するというものだった。
完成した家に住んで、Nさんは「想像以上に採光と通風が素晴らしい」と驚きを隠さない。スキップフロアとしたことが、やはりキーポイント。これによって、勾配天井の高窓から取り込む光を、2階リビングを通じ、北側1.5階の部屋全体まで行き渡らせることを可能にした。スキップフロアは同時に、機能的な生活動線にも役立つ。例えば、1.5階に水廻りを配したことで、2階のキッチンとラクに行き来できる。また、スポーツを日課とする家族が帰宅後すぐに浴室で汗を流し、スッキリしてから2階で寛ぐというスタイルを定着させたのも、スキップフロアの効果だろう。
もう一つ、大切なテーマである「外に対してより開かれた空間にしたい」という希望は、リビングに隣接するデッキテラスをL字型にして、室内外に回遊動線が生まれことで叶えた。さらに、デッキテラスの南側全面に木製ルーバーを設置して、隣家からの視線をカットしつつ、室内からの視線をコントロール。内から外へ抜けたような開放感を与えながら、一方で、ルーバーの囲いでリビング全体が広がったように感じさせるというバランスが絶妙だ。
「冨田さんに依頼して大正解。とっても快適で、休日には家でゆっくり過ごす機会が増えましたね」と幸せそうなNさんご一家だ。
【冨田 享祐さん コメント】
夏は日射しを避けたい、冬は日射しを取り込みたいというように相反する部分が多いのも家づくり。このような場合、どちらに重きを置くか、いろいろな状況を例に出しながらお施主様と話し合います。さじ加減が難しいケースもありますが、最終的に絶妙なバランスで決まるとうれしいですね。
【夫婦+子ども2人】
冨田さんは、東京から長野まで何度も足を運び、現地の様子を確認してくれました。プランニングの段階で、100分の1の模型で、どこから太陽の光を導き、どちらに眺望を開くか、また、建物や庭の位置、大きさのバランスに問題がないかなど、分かりやすく説明してくれたので、とてもイメージしやすかったです。
基本データ
| 家族構成 | 夫婦 |
|---|---|
| 施主 | N邸 |
設計者情報
この実例を見た人はこちらも読んでいます

のびのびと暮らせる秘密は中庭にあった。 毎日「いいな」と感じる我が家
まんなみ一級建築設計室の堀井博さんが設計したK邸は、外観と内部空間のギャップに驚かされる。外に向かってはほぼ窓もなく閉じた印象なのに対し、家の中は明るく開放的な空間が広がっている。それを可能にしたのは、家の中心にある中庭。中庭を内包する家での暮らし方とは、一体どのような感じになるのだろう。

戸建住宅?実は集合住宅! 唯一無二のサーファーズハウス
サーフィンの聖地ともいえる場所に「日本中どこを探してもここにしかない」と言ってもいい集合住宅が建っている。この家を設計したのは、TAWs DESIGN代表の田辺さん。唯一無二のサーファーズハウスの秘密に迫る。

洗練の大空間と、家族のためのくつろぎ空間 創造力を刺激するアトリエ兼住居
札幌市内にあるこちらの建物は、アートディレクターの施主さまのアトリエ兼住居。自分でアレンジするのが楽しい「倉庫のような空間」を実現した仕事場や、ホッとくつろげる居心地抜群の住居について、設計を担当した高木由美子さんに話を聞いた。

わずか建坪9坪の狭小住宅とは思えない 光と風、そして広さを感じられる住まい
東京都品川区中延の、下町情緒が残る住宅地に建つ作品をご紹介しよう。敷地は16坪、建坪はわずか9坪という木造3階建ての狭小住宅だ。屋内に足を踏み入れると、その内部は驚くほど明るく、風が通り抜け、自然を感じられる。そして、数値以上の広さを感じられるのだ。この作品に込められた工夫の数々をご紹介しよう。

親世帯と子世帯、それぞれの希望を叶えた 完全に独立した家が並ぶ2世帯住宅
長く暮らしていた家を2世帯住宅に建て替えることに決めたお施主さま。希望したのは、それぞれのエリアが完全に独立した、2階建ての家だった。建築家の傳寶さんは世帯ごとの希望を丁寧に叶えつつ、どちらも風や光に満ちた家を計画。家2つ分と大きな規模の建物でも街並みに馴染み、悠然と佇む家の秘密を探る。

家族をつなげる「吹穴」とは? 居心地抜群のLDKをローコストでも可能に
独創的でセンスあふれる空間設計を得意とし、多大なコストをかけずに「洗練された住みやすい家」をつくってくれるイノウエヨシムラスタジオ。N邸でもその手腕は発揮され、一般的な家では見かけない「吹穴」があるという。いったい、どんな家なのだろうか?

コンパクトな中に、驚きの大収納も欲しい部屋も、全部ある!
川沿いに建つ、ランダムにあけられた窓が印象的なI邸は、間口4.5m、奥行き12m、約10坪の狭小住宅。しかしそのコンパクトな外観からは想像できないほど、居住空間はのびやか。スキップフロアのLDKは大容量の床下収納も備えるなど、随所にワザありの住まいなのです。

ホール・LDK、ライブラリー。「3つの集いの場」で家族がつながる家
緑豊かな公園そばの土地に家を建てることを決めたHさんご夫妻。お2人が最初に希望したのは「周囲に対して開かれた住まい」だった。この要望に応えて設計者である角倉剛氏が考えたのが、大きな土間のある玄関ホール、LDK、そしてライブラリー、3つの場で家族や友人が集う住空間だ。随所に斬新なアイディアがあふれる、角倉氏の家づくりを覗いてみよう。

幼いころからの夢が叶った 音も広がり家族の和も広がる大黒柱のある家
幼い頃に思い描いた「こんな家に住みたい」をどれだけの人が叶えているのだろう。Mさんは、幼少期に近所あった設計事務所がつくる「赤瓦屋根とコンクリート壁の混構造の家」を「かっこいい!」と思い、30年以上の時を経て自邸の設計を依頼したという。その事務所こそ沖縄の風土に根差した家づくりを続ける東設計工房でした。
