
上質なシンプルはこんなにも心地いい。
緑と暮らす、インナーバルコニーのある家
中庭で、プライバシー確保と
緑に囲まれた暮らしを両立
緑豊かな周囲の環境に溶け込み、かつ、緑を上手に取り入れた友人の家の心地よさに惹かれたTさま夫妻は、「同じ環境で同じ建築家につくってほしい」と考えるように。さっそく土地を購入し、友人宅を手がけたdesusの稲垣裕行さん・花形将壽さんに設計を依頼した。
ところがT邸の建設予定地は2つの道路に面した角地で、周囲の緑を取り込む家づくりを計画するとプライバシー面の懸念が生じる状況だった。そこで、「緑を眺める」と「プライバシー確保」を両立すべく生まれてきたのが「中庭のある家」というプランだ。
完成したT邸は道路側に中庭と木製フェンスを配置し、光を採り入れながら外部の視線をシャットアウト。建物は中庭を囲むコの字型で、どこにいても外とのつながりを感じられる造りになっている。
植栽に彩られたアプローチを進み、玄関ポーチにたどり着くと正面に中庭が現れ、うれしい驚きを与えてくれる。そして邸内に足を踏み入れると、ガラス越しの中庭を眺めながら2階に上がっていく階段が。
階段の先は中庭側の大開口とハイサイド窓から陽光が降りそそぐ、勾配天井ののびやかなLDK。この動線には、「玄関からLDKに行くまでに突き当りをつくらず、中庭に沿って移動できるようにして、緑の眺めと空間の広がりを得る」というdesusの設計意図がある。また、ハイサイド窓は近隣の山の緑を切り取るピクチャーウインドーの役割を果たしており、近くの中庭の緑と遠くの山々の緑をともに感じることで奥行き感が生まれ、より「緑に囲まれている」と感じる。
T邸が屋外の自然とのつながりを感じられる住まいになったもう1つのポイントは、LDKのリビング側にある広いインナーバルコニーだろう。バルコニーへの掃き出し窓は壁の端まで大きく取られ、床の段差もないため、リビングがそのまま空中へ伸びたような一体感。バルコニーの道路側は壁で囲われ屋根もあり、人目も天候も気にせずに過ごせる。
「中庭をつくると決めたとき、中庭からいろいろなアクティビティが広がっていくといいな、と考えました」と稲垣さん。アウトドアグッズのメンテナンスなどができる屋根付きの玄関ポーチや、室内感覚で使えるインナーバルコニーは、desusのそんな発想からつくられたもの。いずれも中庭に面し、緑のそばで何かをする楽しさを満喫できる。
T邸は、毎日使う動線や、いつもいる場所、何かをする場所のすぐそばに中庭がある。暮らしを十分にイメージした設計のおかげで中庭の緑は日常にすんなり溶け込み、Tさま家族は念願の「緑に囲まれた暮らし」を手に入れた。
家具が引き立ち、愛着の湧く住空間
「心地よいシンプル」の魅力
そもそも、住宅というものは生活感のある設備などがどうしても存在し、本当の意味でシンプルにするのはかなり難しい。しかしdesusが本当の意味でシンプルを極める配慮と設計力はすごいのだ。エアコンなどの家電や設備を極力隠し、施工も細部までこだわって、ホテルかはたまたギャラリーか……? というほど、余計なものがない心地よい空間をつくってくれる。
Tさまのリクエストで全館空調も取り入れているが、その空気の経路も空間デザインの心地よさを損ねないように熟考し、屋外設備は玄関ポーチの壁にさりげなく潜ませた。仰々しい機械や興ざめな給排気口はどこにもなさそうなのに、T邸は常にきれいな空気に満たされる快適性も備えているというわけだ。
一方で、要所要所でアーティスティックなセンスも発揮して、見た目のカッコよさや楽しさもプラスする。例えば、お子さま2人の子ども部屋につくった造作ベッド。このベッドは、上のベッドと下のスタディコーナーを垂直に交差させた公園の遊具のようなデザイン。机にいるときとベッドにいるときでは見える景色が異なり、梯子の上下移動もワクワクして、子どもが無条件に喜びそうな楽しさがある。
「私たちの希望を専門知識と素敵なアイデアで膨らましてくださったdesusさんには、本当に感謝しています」とTさま夫妻。「遊びに来た方が驚くような奇抜さはないけれど、年齢を重ねても落ち着いて気持ちよく暮らせる家になりました」という夫妻の言葉は、desusがつくり出す「心地よいシンプル」の魅力を何より物語っているだろう。
間取り図
基本データ
| 作品名 | CH3インナーバルコニーの家 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県鎌倉市 |
| 敷地面積 | 164.98㎡ |
| 延床面積 | 116.1㎡ |
| 間取り | 4LDK |
| 家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
| 予算 | 3000万円台 |
| 施主 | T邸 |
設計者情報
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