
クリエイター家族自ら提案!
私も使いたいリノベコンセプトとは?
仕事、生活を近接した家のなかの距離感
もっと仕事にも、家族の生活にも集中できる拠点を整えたいと考えていた。ふたりとも場所にしばられる仕事ではなかったから、地域にこだわりはない。どこに住んで、どう働きたいか。友人である建築家の渡辺泰敏さんは、ふたりが暮らしかたを考える段階から話を聞いていて、都内の一軒家を見に行くのも付き合ったことがあるという。
葉山にエリアをしぼり、一軒家をリノベーションすることに決めたHさんご夫婦は、築50年の古い家に出会った。緑のトンネルの向こうに家が見えるアプローチに奥さまは一目惚れ。しかし、なかなか年季の入った家にHさんはクリエイティブにふさわしい拠点になるのかと心配になった。現地を見た渡辺さんの「これなら、何とかなる」という言葉がゴーサインとなり、住宅兼スタジオ兼アトリエの計画がはじまった。
「仕事の都合によっては誰かに貸して別のところに住んでもいい、そのうちフランスへという話も出ました。先のことは分からないので、現状をどう良くするかを全員で考えていきました」と渡辺さん。一般の住宅ではキッチンと作業部屋は離れているが、ふたりにとってはどちらも仕事場。Hさんの使う作業場と奥さまの使うキッチンは隣り合わせにした。「キッチンと作業場をどう仕切るかはひとつのポイントでした。仕事中に『ちょっとこれ食べて』とか、『これ見てくれる?』というやり取りをどのぐらいするのか聞いて、ベストを探りました。ちょうど良かったのが低いカウンターを置き、空気感で分ける、ゆるい仕切りかたです」と渡辺さん。お陰でコミュニケーションがとりやすくなり、仕事もはかどるようになったという。
両親が仲良く働く姿は、子どもたちが部屋の方から見ると、木のフレームで切り取られて絵のようになる。アートやデザインをテーマに活動する夫婦の拠点として、こんな遊び心も随所にとりいれた。「ご主人は建築のコンセプトづくりにも興味を持たれていて。通常は打ち合わせの内容から察して次第に言葉になっていくのですが、この家の場合はどんな場にするのか、始めから言葉で話しました」と渡辺さん。話し合うなかでHさんから出てきた言葉が「Class(くらす)」。
「上質な」という意味のClassにはたくさんの意味が込められている。ふたりの子どもたちと育ちあっていく場としての教室、「クラス」。そして、働き、遊び、学び…、生活する場としての「暮らす」。
葉山の古い家は、holidayの仕事とH家の生活にぴったりはまる家に生まれ変わった。
住まい手のセンスを生かせる余白をつくる
「ごちゃごちゃしてもいいかなと思っていたんです、もともと。ある程度、余白を残しておけば、それなりのものをつくっている人たちですから、いい感じに使ってくれるだろうと思っていて」と渡辺さん。ペタペタと紙やテープが貼られた壁も、無造作に並べられた大小の靴も絵になっている。
光の入りかたや窓の外の見えかたが計算されているから、空間全体として狭く感じられることはない。完成して数年。残された余白に日々の暮らしが重ねられ、ますます「Class(くらす)」らしくなっている。
間取り図
基本データ
| 所在地 | 神奈川県三浦郡 |
|---|---|
| 敷地面積 | 148.76㎡ |
| 延床面積 | 81.02㎡ |
| 間取り | 2LDK |
| 家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
| 予算 | 〜2000万円台 |
| 施主 | H邸 |
撮影:ide
設計者情報
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