
築90年の生家を新たな住まいに!
建築家が自ら設計した「理想の二世帯住宅」
陽光注ぐ空間、BBQテラス…
両親と設計者の夢が詰まった新居
「設計にあたっては、元の家は古いこともあり暗くて寒かったので、なるべく明かりを取り入れること、また、両親の要望を受けて、既存の蔵とお地蔵様が祭られている祠を残すことなどを前提にプランを考えました。自分の家ということで好きなことができるので、設計も楽しかったですね」。
と、設計当初を振り返る松隈さん。
間取りは昔住んでいた家をベースにし、高齢のご両親のことを考えて練り直したのだという。
それでは早速、松隈邸の間取りを見てみよう。玄関を入ると、玄関ホールを挟んで正面は中庭になっている。隣家の庭がとても美しかったため、玄関の奥をガラス張りにし、中庭と共に借景を楽しめるデザインとした。
来客が多いということで、入ってすぐ右側には応接室が。そしてその奥には、ご両親の寝室が配されている。足腰が弱っていた高齢のご両親のために、寝室からほど近い場所にバリアフリーのトイレと浴室、洗面脱衣所を設置。楽に移動できるよう工夫した。寝室を出てすぐの場所には屋内エレベータもあり、2階へもスムーズに移動できるようになっている。
「浴室は露天風呂にしたい。という要望がご両親からありましたが、メンテナンスが大変なため浴室の壁を檜にし、天井をガラス張りにすることで癒しと開放感を演出しました。さらに浴室の隣に坪庭を配することで、景色も楽しめるように工夫しています」と、松隈さんは語る。
そして、玄関の左側には、吹き抜けの明るい食堂とリビングが。さらにその奥に配されているのが、キッチンとご両親のための和室である。この和室には掘りごたつも設けられており、冬でも温かく快適に過ごせるそうだ。
そして、リビングの奥には、来客用の大広間がある。リビング・食堂とこの大広間をつなげるとかなり広い空間となるため、法事などで多くの親戚が集まるときにも便利なのだそう。この大広間には玄関を入ってから廊下を通ってアプロ―チできるよう工夫されており、リビングや食堂を通らなくても来客を通せるようになっている。
あえて世帯で空間を分けず
ご両親に目が行き届くレイアウトに
通常の二世帯住宅のように、親世代と子世代の間取りが明確に分かれていないのも、松隈邸のユニークなところ。その理由について、松隈さんはこう語る。
「以前の家も三世帯の大家族で暮らしていたため、もともと世代で空間を分けるという感覚がなかったんです。両親も高齢になっていたので、いつでも目が届くよう、あえて世帯で空間を分けない間取りを心がけました」。
自身の家ということで、スムーズに完成までたどり着くことができたと話す松隈さん。「苦労したことはあまりありませんが、大広間の欄間など、昔の家の建具を使っているところは、サイズ調整が少し大変でした。また、空調のドレーンなどが外に出てしまいがちだったので、これをいかに外壁に出さないようにするかというところは、少し苦労しましたね。あとは、浴室ができたあと、両親からやっぱり暗いという話があって、コンクリートの壁を壊して窓にしたりもしました(笑)」と振り返る。
こうして、松隈さん、ご両親の希望をすべて叶える形で完成した松隈邸。段差がなく使いやすい間取りは、ご両親はもちろん、訪れるお客様からも好評だそう。今も松隈さんとお子さん、ご両親の三世帯が、この家で楽しく暮らしている。
住む人に寄り添う住宅づくりを得意とする松隈さんだが、もともと賃貸経営の実績があり、さらに独立前はアパートやマンションの設計も行っていたそう。「賃貸経営の収支計算もできますし、不動産管理をしている会社ともリレーションがありますので、要望がある方はぜひお声がけいただけると嬉しいですね」。とのこと。
これまでの知見を活かして、マンション・アパートの設計だけでなく、賃貸経営のコンサルティングまで行うことが可能だそう。一般の住宅はもちろんだが、賃貸経営に興味がある方にも、松隈さんは力強い味方となってくれそうだ。
間取り図
基本データ
| 所在地 | 福岡市城南区 |
|---|---|
| 敷地面積 | 583.05㎡ |
| 延床面積 | 406.69㎡ |
| 家族構成 | 2世帯 |
| 予算 | 5000万円台 |
| 施主 | M邸 |
設計者情報
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