
敷地を最大限活用し、空間を使い切る。
質感が感じられるLDKが魅力的な木造住宅

鈴木 宏昌
すずき ひろまさ
いのはな建築事務所
東京都 東村山市
当事務所は建築設計・構造設計という2つの柱を業務の軸としており、意匠性に優れた開放的な空間と耐震性を両立させたバランス良い設計が得意です。快適で安全な「建築」をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
本当に木造? 余計な柱や壁がない
ワンフロア全てがゆったりつながるLDK
空間を比較的自由に構成できるRC造ではなく、この家は木造でしかも3階建て。それでいて、2階を壁や柱が極端に少ないつくりにできたのには理由がある。鈴木さん自らが構造計算を担い、とことん検討するからだ。このLDKもキッチンに接するように建てた柱と外周の壁で支えることで、ここまでのシンプルさを実現としたという。もちろんしっかりした耐震性も確保している。
「このエリアは土地の価格が高く、建蔽率などさまざまな条件もあります。その中でどれだけ建物を大きく建てられるかが重要です」と鈴木さんは言う。敷地を最大限に活用できる建物のフォルムや配置に加え、設計力でSさまお望み通りの贅沢な空間をつくりあげた。
家族が集まる場にふさわしい
都会的なセンスでまとめられた落ち着き空間
床と天井は素材を揃え、ウォールナットの羽目板を使用。色合いや素材から感じられる重厚感から、LDKはシックな雰囲気。一角に設けられたキッチンは、石目調のメラミン材を用いた作業台を採用した。キッチンの床は石目調の塩ビシートを用い、また大きな柱も色を合わせたシートを貼るなど、調和が感じられる。そのうえで、キッチンの壁面には奥さまが選んだタイルを貼り、空間にアクセントを加えた。
キッチンの背面には家電などを収納するための扉付きの棚を計画。「家電が常に目に入る状態ですと、どうしても生活感が出てしまいます」と鈴木さん。一方で、小物やフルーツなどを置く見せる収納を大きな柱に設け、キッチンの使い勝手を向上させながらインテリアのアクセントとしても活用できるようにした。
また、大容量のパントリーをキッチンとは反対側の壁面いっぱいに計画。幅は隣り合う階段と揃えており、その面全体がフラットな仕上がり。構成する線が少ないほど、空間がすっきりとして広く感じられるという。
長方形の一部が欠けたような五角形のフォルムを持つ「本駒込のすまい」。斜めの辺に通しのカウンターを造り付け、3人のお子さまの勉強スペースとした。カウンターの上を大きく開口したおかげで、ちょうど正面に位置する交差点に向かって視線が開ける。またこのカウンターはキッチンのすぐ脇にあり、お子さまたちとキッチンで過ごす奥様のよいコミュニケーションの場にもなっている。
また、勉強スペースから続く南側の面にも大きな窓を設けた。2階にあり、かつ前を走る道路の幅も広いことと、南西から南にかけての2つの大きな窓のおかげで、LDKはとても明るい。
日が落ちると、ダイニングエリアに設けられた吊り照明やリビングのダウンライトからの光によって、床や天井の美しさを堪能できる。ダウンライトは調光・調色機能を備えており、シーンに合わせて室内の雰囲気を変化させられるのも、暮らしに豊かさを与える心憎いエッセンスだ。
開放的で広いというだけではなく質感を重視した内装により、空間が持つ魅力が何倍にも引き立てられた都会的な設えのLDK。訪れる友人の方々も「いいね」と納得の声を上げられるのだとか。プライベート空間から独立していることも、人が集い、招く場として最適だといえるだろう。
予算をかけるべき部分にはしっかりかける。
ひとつひとつ最善を吟味した住宅設備
3階は3人のお子さまそれぞれの個室を配置した。Sさまの「しっかりしたプライベート空間を持たせたい」という思いから、ひとつひとつの部屋は広めに計画。「東京ですので、将来独り暮らしをせずにこの家から大学へ通われることもあるでしょうから」と鈴木さん。こちらもお子さまひとりひとりに合わせて選んだ壁紙を壁面の一部に貼り、インテリアのアクセントとした。
また、屋上はデッキや人工芝を入れ居心地のよい空間をつくりあげた。見晴らしがよく、スカイツリーも見えるのだとか。テーブルを出して家族でお食事を楽しまれることも多いとのこと。
今回、土地選びから相談を受けていたという鈴木さん。文京区の中でもアップダウンが多いエリアでの土地探しに、余計な建築費がかからない条件をアドバイスするなどコストパフォーマンスにもこだわった。施工も検討に検討を重ね、最適な会社を選んだという。
しかし、ただただ安く、というわけでない。羽目板を全面的に取り入れた2階のLDKなど、かけるべきところには惜しまないメリハリあるコストコントロールを徹底した。キッチンは既製品を採用しコストを抑えつつ、背面の棚は家具職人にオーダーし整形ではない建物にピタリと収まるものをつくる、といった具合だ。
「メンテナンスが少なく、コストパフォーマンスのよい住宅設備を選びたい」と考えられていたSさま。キッチンの床には掃除のしやすい塩ビシートを、日よけにはブラインドではなくほこりがたまりにくいシェードカーテンを、と、柔軟に、細やかに提案を重ねた。
「素材や設備は、施工会社の協力も得ながらお施主さまと一緒によく吟味して選びました」と鈴木さんは当然のことのように話す。しかし、なかなかここまでじっくりと向き合い、よりよい解決策を見つけてくれる建築家はいないのではないか。構造設計も含め、すべてにおいて惜しみなく力を注ぐ鈴木さんだからこそ、実現できる家があるのだ。
基本データ
| 作品名 | 本駒込の住まい |
|---|---|
| 所在地 | 東京都 文京区 |
| 敷地面積 | 64.21㎡ |
| 延床面積 | 120.12㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども3人 |
| 予算 | 4000万円台 |
設計者情報
この建築家が建てた家
この実例を見た人はこちらも読んでいます

その土地を知り尽くした設計! 自然と共存し、暮らしを継ぐ家
いまだ自然あふれる東京郊外。その土地に住み兼業で農業を営むSさんは、家の老朽化により二世帯住宅への建て替えを考えていた。しかし、建て替えには難しい敷地条件があり、建築家の大沼徹さんに相談。谷あいという個性豊かな土地で大沼さんが実現した、農家という昔ながらのファクターを受け継ぎながらの新しい家づくりとは?

まるで公園!広い庭とテラスで 内と外がつながる、開放的な住まい
外から見るとまるで公営の公園のように見える、南津軽郡のK邸。「敷地全体を使った地域に開かれた開放的な住まいにしたい」というKさんの要望を叶えたこの住まいは、随所に外部空間と内部空間をつなぐ工夫がされている。家のどこにいても外が感じられるこの開放的な住まいを形にしたのは、Kさんの中・高校時代の同級生であるmizuiro architects 一級建築士事務所、葛西瑞樹さん。その家づくりの詳細について、お話を伺った。

旗竿地、斜線規制…。土地のデメリットをみごとに解決! 開放的で明るい「スキップフロアの家」
東京の人気エリアに立つS邸。四方を家に囲まれた旗竿地でありながら、建物の中は驚くほど開放的で、室内には明るい光が降り注いでいます。地形、斜線規制といった土地の難点をデメリットと思わず、Sさんが思い描いた広がりのある空間を実現した山口健太郎さん。設計のカギは、空間と空間をゆるやかにつなぐ「スキップフロア」という発想にありました。

快適動線と洗練デザインに大満足。 「図面の見える化」で納得の家づくり
完成イメージを写真のような画像にしながら、納得の家づくりを進めてくれる建築家の完山剛さん。M邸では少ない要望を見事にふくらませ、大満足の住宅を設計。洗練されたデザインや快適動線、吹抜けを活用した採光など、参考にしたいトピックが満載の家だ。

もはや建築物ではなくアート。約200㎡のマンションを美しくリノベーション
長い海外生活を経た後に日本で暮らしているという依頼主のAさん。生活の基盤を日本国内に置くすることが決まり、それを機に、現在の住まいであるマンションのリノベーションを決意。そんな、海外経験が豊富なAさんが選んだパートナーは、STAR(有限会社エスティエイアール)代表の佐竹永太郎氏でした。Aさんが思い描くハイセンスな世界観を見事に具現化した住まいを紹介します。

公園の緑に包まれる広縁と、ブックカフェのような土間空間のある家
向かいの公園の緑を効果的に取り込み、建築面積が約9坪という制約を感じさせない居心地抜群の住まいをつくり上げた菅家建築計画工房。どの家にも存在する「あるスペース」を省いて誕生した、洒落たブックカフェのような土間空間も必見だ。

正面は「田」の字形のコンクリート外壁。防火地域ながらも、外壁の安心に囲まれて家族の将来を見守り続ける木造の家
20年~30年後、50年後、100年後の未来を見据え、家族構成の変化や、その時々に住まう人のライフスタイル、将来的なリノベーションなども考慮して設計している「裕建築計画」の浅井さん。キーワードは「長く住み継げる」&「ライフスタイルの変化に順応できる」家。今回紹介するK様邸は名古屋の商業地、防火地域にあり、難しい諸条件を斬新な発想で解決して、末永く住み継いでもらえる住まいだ。

築36年の住宅をフル・リノベーション クルマ好きの建築家とつくり上げた「ガレージハウス」
ご両親が長年住んでいた一戸建てを活かし、新たな住まいをつくることを決意した40代のO夫妻。思い入れのある家をフル・リノベーションして誕生したのは、使い勝手のいいガレージと明るいLDKを有する現代的な邸宅だった。築36年の邸宅は、果たしてどのように生まれ変わったのか。設計を担当した高橋貴大一級建築士事務所の高橋さんにお話を伺った。

土間縁側で内と外がゆるやかに繋がる 夫婦の時間も家族の集まりも心地よい家
昭和初期に建てられた農家建築を取り壊し、夫婦2人の住まいを建てることを計画したMさん。依頼を受けたアトリエウィの宇佐美さんが提案したのは、以前の家の面影が感じられるフォルムを持ち、昔の暮らしぶりを、現代にマッチした形で再現できるような、土間縁側をもつ家だった。



